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キングオブコント優勝「どぶろっく」下ネタ撤退寸前の逆転

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2019.10.04 06:00 最終更新日:2019.10.04 06:00

キングオブコント優勝「どぶろっく」下ネタ撤退寸前の逆転

左から森、江口。保育園から小中高、大学まで一緒

 

「自分たちがやってきたことを大きく変えてまで、芸能界にいる意味はあるのかな」

 

 いまから2年ほど前、どぶろっくの2人は、そんな思いを胸に抱いていた。

 

 どぶろっくが、歌ネタ「もしかしてだけど」で大ブレイクしたのは2013年だった。翌年、翌々年と、テレビ出演、地方営業……目の回るような忙しさが続いた。

 

 

「あのときは、お互いにちょっと険々してました。もともと友達だったのに、仕事上のつき合いになっていた」(江口直人)

 

「まわりから、『(生き残るためには)トーク力を磨かなきゃ』とか、『下ネタ以外もやらなきゃ』とか言われて、焦りもあったんだと思います」(森慎太郎)

 

 何かやらなきゃと試行錯誤を繰り返すうちに、仕事は徐々に減っていった。その背景にあったのは、年々高まる「下ネタへのコンプライアンス」というハードル。アンチの罵声も聞こえてきた。それでも好きなのは歌で、おもしろいと思うのは下ネタだった。

 

「あれこれ考えるのをやめて、あきらめというか開き直りというか、『自分たちができることを貫こう』と思ったら、すっきりしたんです」(江口)

 

「『好きなネタをやり続けて、仕事がまったくなくなるなら、芸人をやめてもいいか』。そのぐらいの気持ちでした」(森)

 

 それが2年前だった。ちょうどその時期、持ち前の歌唱力を買われて、オペラの舞台に出演している(2017年7月7日『ひかりのゆりかご~熊になった男~』)。2人は思った。オペラでネタができないだろうか?

 

「森が、オペラっぽいメロディを作ってきて、稽古場でギターを弾いてたんです」(江口)

 

「そうしたら、サビのところでいきなり江口が、『大きなイチモツをくださ~い』って歌ったんですよ」(森)

 

 2019年のキングオブコントを制した “あのネタ” の核となるフレーズが、産声を上げた。どぶろっくが「歌ネタ、下ネタに芸人生命を懸ける」と覚悟を決めた2年前。それを後押しするように、すでに「イチモツ」は生まれていたのだ。

 

 ライブでの観客の反応は上々。ケンドーコバヤシがMCを務めるネット番組で披露すると、収録後にケンコバが、「あのネタ、もっとデカい舞台でやったほうがええんちゃうか」と言ってくれた。キングオブコント用に、尺を5分にブラッシュアップした。その破壊力は抜群だった。

 

「ネタ的に自信はあっても、ゴールデンタイムで生放送できるのか? って思っていたから、決勝進出のコールを受けたときは、『あ、(テレビで)イチモツOKなんだ』って、そっちのほうに感動しました(笑)。

 

 間違いなく、『もしかしてだけど』のときより風当たりが強くなってます。下ネタも、セクハラやパワハラと一緒にされる感じで、『女性蔑視』という批判もありますし」(江口)

 

 世の風潮を憂いつつ、“ナチュラルボーン・エロ” の江口は、優勝決定後の生放送中に、衝撃のアドリブをぶっこんだ。MC・浜田雅功に「泣いてるやん」と突っ込まれると、涙ながらに「我慢汁です」と……。

 

「家に帰ったら、嫁に『よけいなこと言わないで、黙って泣いてれば感動的だったのに』って言われました」(江口)

 

「うちの奥さんは、『我慢汁』をいちばん評価してましたね。で、奥さんの口から『我慢汁』って単語を初めて聞いたので、少し得した気分です(笑)」(森)

 

 2人は、保育園の歌の時間に、運命的な出会いを果たした。

 

「自信のあったボクが張り切って歌っていると、ボクより通る声が聞こえてきたんです。そっちを見ると、その日に入園した森が、目で『よろしくな』って。ボクらが『イチモツ』でキングになるのは、あの日から決まっていたんです」(江口)

 

「『ボクらをつないでるのは、ずっと音楽なんだ』って最近つくづく思います」(森)

 

「一篇の戯曲のような、ミュージカル下ネタを作ってみたいですね」(江口)


取材&写真・ヤマザキ

 

(週刊FLASH 2019年10月15日号)

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