舞台だけで100作以上に出演し、2019年もNetflix配信の『全裸監督』や、三谷幸喜監督の映画『記憶にございません!』などの話題作に出演。ワンシーンで、忘れられない演技を見せた。
「僕ね、しゃべってない人に、興味がある人なんですよ。言葉は嘘をつくから、『言葉には騙されないぞ』って思いが、昔からあります。
僕、『パピヨン』(フランクリン・J・シャフナー監督、1973年)という映画が大好きなんです。スティーブ・マックイーン演じる、無実の罪で終身刑になった主人公が、最後に離島から脱獄するという話。
映画は、脱獄の手助けをした男が、無言で主人公を見つめる顔で終わるんですが、その男を演じたダスティン・ホフマンの表情がなんともいえないんです。当時、僕は中学生で、『役者ってこんなことができるんだ、何もしゃべってないのに、こんなに何かを訴えてくるんだ』って驚きました。
僕も演じるときに、その役の “インナーボイス(内なる心の声)” を表現するようにしています。僕の演技が、もし皆さんの印象に残っているとしたら、そのことが影響してるんじゃないかな」
話が弾むにつれ、近藤はこんな話もしてくれた。
「僕ね、“あげちん” って言われるんですよ(笑)。オーラが見えるという方が、僕が写っている写真を見て『この人、黄金のオーラが出てる』って。しかも、ふつうは背中から出るらしいんですが、僕の場合は股間から出ていると(笑)。
それを、あるドラマのプロデューサーに話したら、そのとき僕が出演していた第1話の視聴率がよかったんですよ。それでシーズン2も第1話に呼ばれて、また視聴率がよかった。
『僕のあげちん効果を狙っているんじゃないですか?』って聞いたら『そうです』と。以来、誰よりも視聴率を気にしています(笑)」
日が落ちるのも早くなった。緑が見える2階席での取材を終え、近藤が階下に下りると、「日南」のカウンターは、もう満席だった。
こんどうよしまさ
1961年8月13日生まれ 愛知県出身 1976年、ドラマ『中学生日記』(NHK)でデビュー。1979年に劇団青年座研究所に入所。舞台『笑の大学』(1996年)や、映画『12人の優しい日本人』(1991年)『THE 有頂天ホテル』(2006年)など、多くの三谷幸喜作品に出演。映画『喝 風太郎!!』(柴田啓佑監督)が公開中。舞台『正しいオトナたち』(上村聡史演出、12月13日~24日、東京グローブ座ほか)に出演予定
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(週刊FLASH 2019年11月19日号)