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布袋寅泰に織田哲郎…「最強のギター工房」プロ絶賛の超絶技
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.01.12 16:00 最終更新日:2020.01.14 17:53
- 左から織田、松崎氏
工房内に音はなく、窓の外の高速道路から、わずかに車の振動が伝わってくる。松崎淳氏(54)は、取材陣には目を向けることなく、もう1時間近くもギターのネックにやすりをかけていた。
東京・池尻大橋にあるゾディアックワークス。プロギタリストたちのギターのメンテナンスや、カスタムメイドをおこなうギター工房だ。
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工房の入口には、「G(ギタリズム)柄」のエレキギターが飾られている。誰もが知っている、布袋寅泰の代名詞だ。布袋のギターは、創業以来同社が手がける。松崎氏は、やすりをかける手を止め、ふっと息をついた。
「布袋さんとは30年以上前、BOOWY時代からおつき合いいただいています。1992年にここを設立してからは、布袋さんのギターのカスタムメイドを始めました」
顧客には、布袋のほか、HYDE(ラルク・アン・シエル)、トータス松本(ウルフルズ)、前田亘輝(TUBE)、HISASHI(GLAY)など、日本を代表するミュージシャンがいる。
しかし、松崎氏が楽器メーカー・フェルナンデスから独立したときは、ほとんどゼロからのスタートだった。
「当初は、あまり仕事はありませんでした。そんなとき、以前の僕の仕事を喜んでくれたムッシュかまやつさんが、所有するギターすべてのメンテナンスを依頼してくださったんです。それが終わると、『次は(吉田)拓郎のリッケンバッカーを見てね』と」
現在は、月に50本をメンテナンスし、20~30本のカスタムメイドギターを制作する。カスタムメイドは21万円から(パーツ代を除く)。塗装やボディの削り出しは、神奈川にある工房でおこなう。
音楽プロデューサーの織田哲郎も、そんな松崎氏を信頼するプロのひとりだ。
「彼は職人なのに、意見を押しつけてくる意固地な部分がなく、音に対するこちらの要望を、最大限に実現してくれる」
織田が松崎氏に笑顔を向けた。今回の依頼は、1979年製のフェンダー・テレキャスターのメンテナンス。織田は「上の音の抜けがよくない」という、わずかな違和感を訴える。
「実際にギターを弾いていただき、その音を聴いたうえで、共通の “言語” を見つけて、サポートしていきます。今回は、配線やジャックを交換し、樹脂製のナットを牛骨製に替えました」(松崎氏)
織田のもとに、楽器が戻った。ちなみに今回のメンテナンス費用は、1万4000円だ。
「ギターは、絶えずメンテナンスしていかなければならないものだし、こちらからも常に要望が出る。それを聞いてくれるのが、彼なんです」(織田)
別の日、工房にギターを引き取りに来たのは、HOUND DOGで活躍した西山毅だ。近年はアニメ『進撃の巨人』主題歌でも知られる「Linked Horizon」のツアーにも参加。今回は、1986年製フェルナンデスのクリーニングを依頼していたのだ。ちなみに、メンテナンス費用は5000円。
「松崎さんがフェルナンデスにいたころからだから、もう30年以上のつき合いです。今回も、ギターが15年くらい若返った印象ですね。人に『信頼できるギター職人はいないか』と聞かれたら、僕は必ず彼を紹介します」(西山)
この道34年になる松崎氏だが、今も心は “ギター少年” だ。
「ギターは、ギタリストにとっての “顔”。その立ち姿に合わせて、いちばんカッコよく見えるギターを作りたい。
彼らが望む音を実現し、ビジュアルでも、それを支えることができるなら嬉しいですね。ギタリストは、僕にとって、いつまでもヒーローであり、スターですから」
(週刊FLASH 2020年1月21日号)