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迫田孝也、役者人生の恩人は「三谷幸喜」電話1本で運命が激変

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.02.18 16:00 最終更新日:2020.02.18 16:00

迫田孝也、役者人生の恩人は「三谷幸喜」電話1本で運命が激変

 

「この暖簾に書かれている『おじゃったもんせ』は、『いらっしゃいませ』という意味の薩摩ことばなんですよ」

 

 そう語るのは、2018年の大河ドラマ『西郷どん』(NHK)に、江藤新平役で出演し、方言指導もおこなった迫田孝也(42)。 映画『記憶にございません!』(2019年)での、記憶喪失の総理大臣(中井貴一)の秘書官補役など、三谷幸喜作品の常連で、いま伸び盛りの役者だ。 

 

 

 首都高渋谷線のすぐ脇に、迫田が通う「かごっま屋台 火の玉ボーイ」がある。

 

「この店、地元でよく行く店の支店なんです。飲んでるときに『東京にもあればなぁ』という話をしたら、『あるよ』って(笑)。ちょうど『西郷どん』を撮っていた時期で、NHKからも近く、通うようになりました。

 

 それに、ここの『鳥刺し』、鹿児島で食べるのと同じ、コリコリのモモ肉なんですよ。東京では、ムネ肉を出すお店が多いんです。『こん味じゃ!』と嬉しくなって、芋焼酎のお湯割りが進むんです。弱いんですけどね(笑)。地方に行くときも、ひとりでぶらりと赤ちょうちんで飲むのが楽しみなんです」

 

 厳格な “薩摩隼人” の、父の背中を見て育った。父と同じ教師を目指し、県内トップクラスの進学校・鶴丸高校に進学。保健体育の専門コースがある広島大学へ進んだ。

 

「高校までバレーボールひと筋。中高では、専門の指導者がいなくて、自分たちで練習メニューを考えていました。

 

『指導者がいれば、もっと結果を出せたんじゃないか』という悔しい思いがあったんです。それで、『保健体育の先生になって、バレーボール部の顧問になろう』と思っていました」

 

 迫田の人生を変えた最初の出会いは、大学2年の夏、住み込みでアルバイトをした、奄美大島でのこと。山田洋次監督一行が、バカンスで滞在していたのだ。

 

「スタッフや島の男の子たちと、宴会したり、海で泳いだり……。映像の業界で働く人たちに初めてふれて、すごくキラキラしているように思えたんです。そこで、『自分も役者になるんだ』と、完全に燃え上がっちゃいました。

 

 そうなったら一直線で、大学3年のときに、父に電話しました。『絶対に説得するぞ』と、文面まで考えていたんですが、『わかった』と、意外とすんなり許してくれました。あとから母に聞くと、かなりショックだったようですね」

 

 大学卒業後、上京。家とバイトは見つけたが、肝心の役者のなり方がわからない。

 

「まったくのノープランで、1カ月くらいバイトだけしていました(笑)。『このままではマズい』と、オーディション雑誌で見つけた劇団に応募し、研修生として入団しました。そこで、8年ほどお世話になったんです。

 

 貴重な経験も勉強もしたんですが、僕がやりたかったのは映像でした」

 

 だが、目立った実績のない迫田が呼ばれるのは、テレビの再現ドラマくらい。1日がかりの撮影で、ギャラはせいぜい1万円だったが……。

 

「そんなちょっとした作品でも、やはり映像の仕事は楽しかったですね」

 

『西郷どん』での方言指導時に撮ったオフショット

 

 2006年ごろ、迫田にとって2つめとなる大きな出会いがあった。映画『ザ・マジックアワー』(2008年)のオーディション会場に入ると、目の前に三谷幸喜監督本人がいた。広島での大学時代、周囲に役者志望者などいないなか、何度も作品を見返した、憧れの存在だった。

 

「無心で演じ、結果は合格。撮影は1日だけでしたが、ひと言、主演の佐藤浩市さんや唐沢寿明さんと絡む台詞をいただいたんです。その台詞を、三谷さんが『いま、よかったよ』と褒めてくださった。『よし!』と、思わず拳を握りました」

 

 外に出て、仕事の幅を広げたい。その一心で、所属事務所を移るが、思うように仕事は増えなかった。「警察官A」など、名前のない役を演じる日々を変えたいと、30代なかばでフリーに。迫田は、新しい事務所の面接試験を受けつづけ、落ちつづけた。

 

 1年が経過し、心が折れそうになったとき、すがる思いで電話をしたのが三谷だった。

 

 その電話が、三谷作・演出の舞台『酒と涙とジキルとハイド』(2014年)の出演に繋がった。制作は、大手芸能事務所のホリプロ。これが3つめの出会いとなった。

 

「公演後、事務所に所属させてもらえることになり、いくつも掛け持ちしていたバイトを、やっとやめることができました。僕の役者人生が動きだしたんです」

 

 奄美大島で、山田洋次監督たちと出会ってから約20年。迫田はもがきながらも、役者の世界で居場所を見つけた。島で出会った男の子とは、いまでも連絡を取り合っている。


さこだたかや
1977年4月6日生まれ 鹿児島県出身 広島大学教育学部卒業後、役者を志して上京。近年のおもな出演作品は、舞台『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』(2019年、三谷幸喜作・演出)、映画『記憶にございません!』(2019年、三谷幸喜脚本・監督)や、ドラマ『集団左遷!!』(2019年、TBS系)など。ドラマ『前田正名―龍馬が託した男―』(2019年、KTS)で初主演。MBC・SBC 2局特番『鹿児島×長野お国自慢!(仮)』(3月25日放送予定)に出演予定

 

【SHOP DATA/かごっま屋台 火の玉ボーイ】
・住所/東京都目黒区東山3-15-14
・営業時間/17:30~24:30(LO22:30)
・休み/無休


(週刊FLASH 2020年2月11日号)

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