世界に拡大する新型コロナ。海外では、どんな暮らしを強いられているのか。台湾在住のインリンに、国の政策、外から見た日本の対応について語ってもらった。
グラビアクイーンとして君臨したインリンは、現在、故郷の台湾・台北市で、夫と3人の子供と暮らしている。
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「台湾の感染者の8割が、海外から帰国してすぐに隔離された人、あるいは自宅隔離の期間中の人なので、政府は『まだ「市中感染」という緊急事態ではない』と判断しています。そのため、外出制限などはありません」(インリン、以下同)
17年前にSARS(重症急性呼吸器症候群)を経験している台湾の人々は、予防意識が高いという。
「武漢での感染者が100人程度と報じられていた1月中旬の時点で、マスクが店頭から消えました。すると、政府がすぐに買い上げ、一般販売が禁止になりました。
すべてのマスクを政府が管理し、薬局で健康保険証を提示することで、大人は2週間に9枚、子供は10枚、購入できます。価格は1枚5台湾ドル(18約円)。保険証にはICチップが入っていて、購入履歴が記録されるため、2週間に1回しか買えない仕組みになっています」
台湾政府は、感染者を徹底管理することで、拡大を防いでいる。
「3月19日から、外国人の台湾への入境を禁止。海外から戻った台湾人も、14日間の自宅隔離が定められています。その期間に外に出ると、最高で100万台湾ドル(約360万円)の罰金が科せられます。政府の水際対策は、かなり本気です。
自宅隔離されている人は、仕事ができないため、14日ぶんで、1万4000台湾ドル(約5万円)の休業補償がもらえます。台湾政府は “飴と鞭” の使い方が上手なので、あまり文句を言う人はいないようです」
4月2日、台湾政府は、企業や個人の支援のため、1兆500億台湾ドル(約3兆7000億円)規模の経済対策を発表した。
「おもに観光業、中小企業、医療関係などの救済金です。個人には、ローンの返済延期(最大半年)や利息割引、電気、水道、ガス料金の割引や支払いを延期できる措置です。
また、子供・お年寄り・身体障害者に、毎月1500台湾ドル(約5400円)の手当を3カ月給付します。台湾の名物である夜市、小籠包屋さんなど、かなり打撃を受けています。観光地には、まったく人がいないですね」
日本政府のコロナ対策について、どう感じているのだろうか?
「日本が大好きで、心配だから言わせてもらいます。もう少し、政府は国民の気持ちになっていただきたいです。国民の命を守る、というのが政府の仕事なのに……。このままでは経済どころか、感染者がどんどん増えて、さらに失業者も増えていく。悪循環だと思います。
日本の皆さん、自分を守ることが、大切な人を守ることに繋がります。長期戦になりそうですが、お互いに気をつけて、この時代を乗り切りたいですね」
いんりん
1976年生まれ 台湾出身 1995年にグラビアデビュー。2008年に日本人の一般男性と結婚後、2011年に生活の拠点を台湾に移す。中華料理・美容の国家資格を生かし、美容家としても活動中。最新情報は、YouTubeの「インリンちゃんねる」にて
(週刊FLASH 2020年4月28日号)