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『江戸前の旬』原作者が語る「自分好みの寿司屋を見つける方法」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.05.04 16:00 最終更新日:2020.05.04 16:00
マンガ雑誌『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)で、1999年から今も連載が続く、“老舗” の寿司漫画『江戸前の旬』。寿司の具である “タネ” のエピソードを中心に、すでに100巻が発売されている。原作者の九十九森先生が、「寿司ウンチク」を存分に語ってくれた。
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「寿司は基本的に、『お店のやり方と自分の好みが合うか』で楽しむものです。世間的にはたとえば、『玉子焼きで味がわかる』と言われますよね。
昔はたしかに、店の味がわかるひとつのタネだったんですが、いまは『貸し玉』といって、『松露』などの専門店から買ってくるお店もあるぐらいなんです。一方、高級店では、いまでも自分の店で焼いているところが多い。芝エビとか貝柱を使った、カステラみたいな玉子焼きが主流かな。
玉子焼きにも何種類かあって、江戸前だと甘いタイプ。その代表が、江戸時代から続く王子(東京・北区)の『扇屋』で、めちゃめちゃ甘いです。焦げ目がつくほどふんだんに砂糖を入れるのが、江戸前の伝統でした。
ほかには、カステラみたいなタイプや、『柏づけ』という薄焼きでシャリを包むタイプなどがあります。ちなみに私は、ふつうはお客に出さない、端っこの一番硬いところが好きで、そこをわざわざ頼むんです」
魚介類のタネで、味の好みを探るには、どうすればいいのか。
「コハダが一番わかりやすいと思います。もちろん、嫌いなのに頼む必要はありませんよ(笑)。ただ逆説的ですが、“自分の理想の店” を見つけるのは、ほぼ無理。
たとえば、東京の天ぷらには、『てんぷら 近藤』『みかわ是山居』という “2大巨頭” があります。私の好みでいえば、エビはそれぞれ良さがありますが、アナゴだと『みかわ』、最後の天茶(かきあげなどをご飯に乗せたお茶漬け)は『近藤』というように、ものによって好みが分かれる。
だから寿司でも、本当に理想を求めたいなら、『いいとこどり』をするのが一番いい。『アナゴ食べるならここ』『マグロに脂が乗る季節だから、あそこに行こう』という、“ジャンルベスト” を持っておくことですね」
基本的なところで、美味しい店を見極める方法がある。
「見ための美しさが、重要なポイントのひとつです。『きたない寿司屋はマズい』というのが、私の持論。食通として有名な寺門ジモンさんも、『美味しい料理は美しい』と言っていて、同感です。美しいだけで、美味しくない店もあるんですが(笑)」
つくもしん
青森県出身 漫画原作者 作画担当のさとう輝先生とコンビで週刊漫画ゴラクで連載中『銀座「柳寿司」三代目 江戸前の旬』、スピンオフ作品の『寿司魂』『旬と大吾』『ウオバカ!!!』などを執筆。メディアへの出演は、連載20年で「ほとんどない」そう
(C)九十九森/さとう輝・日本文芸社
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