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『江戸前の旬』原作者が語る「文豪に学ぶ飲食店とのつき合い方」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.05.11 16:00 最終更新日:2020.05.11 16:00
マンガ雑誌『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)で、1999年から今も連載が続く、“老舗” の寿司漫画『江戸前の旬』。寿司の具である “タネ” のエピソードを中心に、すでに100巻が発売されている。原作者の九十九森先生が、「寿司ウンチク」を存分に語ってくれた。
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「美食家としても有名な(文豪の)池波正太郎先生の逸話で、おもしろい話があります。
いまは2代目の息子さんがやっている、『いまむら』(銀座)という料理屋さんがあって、初代にあたるお父さんが、池波先生にとてもかわいがられていた。その初代が亡くなる1~2カ月前に、知り合いの寿司屋でたまたま居合わせて、池波先生の話を聞いたんです。
先生は食通ですし、とてもうるさそうなイメージがあったのですが、出されたものには絶対文句をつけなかったそう。『ああそうか。ここのお店は、こういう味つけなんだな』と言うだけ。ただ、ちょっと売れていい気になっていたとき、直にお呼びたてを受けて、『最近、天狗になってるらしいな』と、ひと言いただいたそうです(笑)」
池波先生は、普段から馴染みの店との交流を欠かさなかった。
「お店がお昼休憩の時間帯に、奥様と散歩がてらお茶を飲みにいらして、世間ばなしをして帰っていかれていたんですって。そんなときも必ず、最後にお金を払っていかれたと。『邪魔したな』って。
その話を聞いて、『そうなんだ、そうありたいな』と思うんですが、私は仲のいいお店には、どうしても『ああしてくれ、こうしてくれ』と口が出てしまう(笑)」
つくもしん
青森県出身 漫画原作者 作画担当のさとう輝先生とコンビで週刊漫画ゴラクで連載中『銀座「柳寿司」三代目 江戸前の旬』、スピンオフ作品の『寿司魂』『旬と大吾』『ウオバカ!!!』などを執筆。メディアへの出演は、連載20年で「ほとんどない」そう
(C)九十九森/さとう輝・日本文芸社
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