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【食堂のおばちゃんの人生相談】37歳・公務員のお悩み

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.05.15 11:00 最終更新日:2020.05.15 11:00

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

 

【お悩み/航海の真っ最中さん(37)公務員】
 私の浮気が原因で昨春、離婚した。娘とは、月に1度会っているので寂しくないと思っていたが、先日ひとり鍋をしていたら、不意に涙が。家族仲よく鍋を囲んでいたころ、シメに稲庭うどんを入れていたのを思い出して、つい。今になって反省している私に、良き助言をください。

 

 

【山口先生のお答え】
 なるほど、後悔先に立たず、提灯持ち後ろに立たずって奴ですね。別離のダメージというのは、カウンターパンチのように速攻で効くものもあれば、ボディブローのように後からジワジワ効いてくるものもあります。あなたの場合は一年経って身に沁みたのですね。

 

 離婚に至った事情は存じませんが、一人寂しく鍋を食べている生活にはご同情申します。シメの稲庭うどんが哀しい……。

 

 ただ、今あなたが味わっている寂しさともの悲しさは、人が生きていればいつか必ず経験します。特に、人生の後半にさしかかった人は、多かれ少なかれ孤独と虚しさを抱えているのではないでしょうか。

 

 すでに若くはなく、人生のゴールも見えてきて、伴侶がいても家族がいても、やはり心も身体も別物で、結局人間は死ぬときは一人です。このような思いをひっくるめて「無常観」と言います。

 

 あなたは離婚を経験したことで、人より早く「無常観」を感得しました。これは言い換えれば人間としてスケールアップしたのです。今のあなたは、離婚前より他人の気持ちに気を配り、深く理解できるようになったはずです。人間力がアップしたのです。

 

 どうぞ、お酒や遊びで今の「無常観」を紛らわせるようなことはせず、しっかりと向き合って下さい。それから前を向いて進んで下さい。あなたはまだ若いんです。必ず新しい幸せが見つかりますよ。

 


やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中

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