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ビットコイン急落…SNSでトレンド入りした「サトシ」とは?
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.05.21 17:00 最終更新日:2020.05.21 17:00
5月20日、アメリカのツイッターでSatoshiという言葉が一時トレンド入りし、『ポケモン』ファンが「何事だ?」と騒いだ。しかし、これは『ポケモン』ではなく、仮想通貨(暗号資産)の話で、ファンにとってはぬか喜びとなった。
世界的に経済が大打撃を受けているなかで、ビットコインが激しい動きを見せている。
新型コロナによる外出制限が始まった頃に大暴落したが、その後上昇を続け、1ビットコイン(BTC)あたり100万円近い値をつけていた。20日には2009年から保有されていた初期のビットコインが動き、創設者のサトシが売ったのでは、という憶測が流れ、30分間で2万円ほど下落した。
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ビットコインの発明者はSatoshi Nakamoto(ナカモトサトシ)とされるが、実際には誰なのかわかっていない。彼の名前で発表された論文を元に有志たちが開発した決済システムは、当初、ほぼ無価値から始まったが、2017年には1BTCあたり200万円超の最高値を記録した。
2014年、東京に拠点を構えていたマウントゴックス社がハッキングされ、約480億円のビットコインが盗まれ破綻するなど、あまり健全なイメージを持てない人も多い。だが、実際にはすべての支払い記録、いわゆる台帳がオープンになっている。匿名性は高いが、透明性も高く、米国シカゴのマーカンタイル取引所でもビットコインの先物取引がおこなわれている。
手に取れるコインは存在せず、中央銀行のような管理組織がないかわりに、世界中のコンピューターをつなげて取引を記録している。この作業をマイニング(採掘)といい、一番最初に処理に成功した人に報酬のビットコインが配られる。この作業により、ビットコインはどんどん増加していく。
マイナー(採掘者)は全世界に100万人ほどいると推測されている。学生から社会人までさまざまな人間が参加しているが、電気代や設備費がかかるため、コストの安い国で大規模にマイニングする専門家や企業が多い。現在、およそ6割が中華系だとされ、対抗してアメリカのマイナーも増えている。もちろん日本企業も進出している。
マイニングによってビットコインの供給量は増える一方なので、4年ごとに強制的に半減する仕組みになっている。5月12日、3度目の半減期を迎え、ルールによりマイニング報酬も半減した。結果、ビットコインは大幅に値上がりし、15日のシカゴの取引量は通常の10倍に達した。
世界中でビットコインの動きに注目が集まるなか、20日、「5000万円相当のビットコインが3654ブロックから動かされた」と報告された。このブロックは最初のビットコインが採掘された翌月にできたもので、創設者や共同開発者周辺の人にしか動かせないはずだ、と話題になった。
2009年に始まって以来、このビットコインが動かされたことはなかった。そのため、「サトシが生きている」「今日は歴史的な日だ」と喜ぶ声もあったが、「開発者がコインを売った」とリスクだととらえた反応が多かった。価格はみるみるうちに急落し、1時間で7%も下落。価格の急落は、サトシの口座ではなかったと発表があるまで続いた。
ビットコインには多くの謎がある。なかでも、個人で180万BTC(1BTC=100万円だとして1.8兆円)を保有する大物がいるとされ、「crypto phantom(暗号界の幽霊)」「Patoshi(パトシ)」などと呼ばれている。パトシとサトシが同一人物かどうかもわかっていない。
最近ではあまりニュースで騒がれなくなったビットコインだが、まだまだこのコインを支える人たちは多い。ビットコインは今日も10分ごとに新しい採掘が続けられている。(取材・文/白戸京子)