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高城剛の健康術「記憶力が落ちたのは『カビ毒』のせいかも」

ライフ・マネー 投稿日:2020.07.06 16:00FLASH編集部

高城剛の健康術「記憶力が落ちたのは『カビ毒』のせいかも」

 

 世界を飛び回るクリエイター・高城剛は、健康マニアとして有名だ。最新の医療現場を取材し尽くして知った「カビ毒」について聞いた。

 

 

 マイコトキシンとは「カビ毒」のことだ。人間に対して有害な作用をもたらすこの毒が、どれだけ体内に蓄積されているかを調べるテストが「マイコトキシン検査」である。

 

 

 高温多湿な夏がある温帯地域に暮らす日本人は、相当「カビ毒」に侵され、不調の原因になっているが、医師がこれに言及することは滅多にない。

 

 カビ毒は、カビ(真菌)そのものではなく、植物病原菌となるカビが吐き出す有害な物質の総称で、これが心身にかなりの悪影響を与えている。

 

 食品にカビが生えているかどうかは肉眼で確認できる場合もあるが、カビ毒が含まれているかどうかは見た目ではわからない上に、カビ毒は熱に強く、通常の加熱では死滅せず、500℃以上でないと死滅しないものもある。

 

 身近なコーヒーを例にしよう。

 

 ブラジルで収穫したコーヒー豆は、湿度の高い赤道直下の海を渡って遠く日本まで運ばれてくる間にカビてしまう。薬剤や熱で、見た目のカビは死滅させることができても、そのカビが吐き出した毒性の強いカビ毒は残る。日本で毎日飲んでいるそのコーヒーは、カビ毒の塊(とモノによっては砂糖の塊)と考えたほうがいいだろう。

 

 そこで、かつては「コーヒー中毒」同然だった僕は、「カビなしコーヒー」や、新鮮な豆の産地に出向いたときだけコーヒーを飲むようになった。

 

 数年前に、日本でもベストセラーとなった『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』(ダイヤモンド社、2015年)の著者デイヴ・アスプリーは、「Bulletproof Coffee」(直訳すれば「防弾コーヒー」)のブランド名で、カビ毒爆弾を「防弾」したコーヒーを販売し、著作で儲けた以上の財を築いた。

 

 1965年からこの55年の間に、日本ではほとんどの食品の自給率が低下している。大豆や小麦に至ってはほぼ100%、くだものや魚、肉の半分以上は輸入品だ。

 

 50年前を考えてみれば、はるばる海を越えて運ばれてくる食べ物はとても貴重で、輸入量も少なく、それを食べることができたのは一部の人だけだった。多くの人は、地元で獲れたものを食べ、遠方からの食べ物もせいぜい国内からだった。そんな時代には、カビ毒の問題はほとんど起きなかった。

 

 そう、カビ毒は「グローバリゼーションの徒花」ともいうべき、現代病のもとなのである。

 

 現在、カビ毒として認識されているものは、300種類以上報告されている。

 

 なかでも、「アフラトキシン」は、最も発がん性の高い物質のひとつだ。ピーナツやピスタチオ、トウモロコシ、ハトムギ、豆類などに発生する。また、カビ毒に侵された飼料を食べた家畜の影響で、牛乳や卵、肉からも多く検出されることもわかっている。

 

 このアフラトキシンを生み出すカビは、熱帯や亜熱帯地域に分布しているため、これらの地域で生産された農作物は、アフラトキシンの汚染を受けている可能性が高い。日本では食品全般に対して、アフラトキシンの規制値が設けられているが、その緩い規制値はあまり意味がないように思える。

 

 また、「オクラトキシンA」と呼ばれるカビ毒は、穀類やブドウジュース、乳製品、スパイスやワイン、輸入干しブドウなどから検出されることが多い。毒性はかなり強く、最近の研究では、このカビ毒が体に溜まると、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の発症につながる可能性があるといわれる。

 

 神経系に影響を受けやすく、記憶力や集中力の低下、めまいなども起こる。「最近、記憶力が落ちてきた」と感じているのは、加齢のせいではなく、長年溜め込んだカビ毒が原因かもしれないので、留意されたい。

 

 さらに、胃腸管や肝臓の細胞にダメージを与え、肝臓がんや腎臓がんなどを引き起こす恐れがあると言われているのが「ステリグマトシスチン」。パン、チーズ、コーヒー豆、スパイス、大豆、ピスタチオ、穀物やトウモロコシなどの食品から見つかる種類のカビ毒だ。日本では、米を汚染するカビ毒として頻繁に検出されている。

 

 またカビ毒は、食べ物だけでなく、身近な環境からも取り込んでしまう。

 

 ご存知のように、皆さんのご自宅やエアコン、車両などに潜むカビだ。どれだけきれいに掃除をしたつもりでも、日本は高温多湿ゆえにカビはとても身近で、カーテンの裏、エアコンの送風口、水回りなどにあっという間に繁殖し、カビ毒を吐き出す。

 

 しかも、カビそのものが体内に入れば、そのカビが体内でカビ毒を吐き出すことになる。カビの胞子は増殖に都合の良い条件を見つけると、2~3日で目に見えるカビの塊に成長し、1週間もするとたくさんの胞子を作って周囲に撒き散らす。

 

 驚くべきことに、食べ物や空気を通して消化管に入ったカビは、体内でも増殖する。体内は、ちょうどカビの好む湿度や温度であり、健康に良かれと思って摂った栄養も入ってくるので、増殖しやすい。

 

 カビ毒は脂肪組織に蓄積される。その影響は、「カビ毒バンク」と僕が呼ぶ脇腹や太腿など痩せにくい部位に溜まっていく。

 

 このような、カビ毒がどれくらい体内に蓄積してしまっているのか、また、どのカビ毒が多いのかをチェックする検査が「マイコトキシン検査」だ。現在、日本で詳細な検査結果を提供できる研究機関がないため、国内でサービスを提供しているクリニックを通じて、米国に検体を送らねばならないが、価値は十分にある。

 

 

 以上、高城剛氏の新刊『高城式健康術55~医師が教えてくれない家庭の医学~』(光文社新書)をもとに再構成しました。遺伝子マネージメント、腸内リセット、直感が冴える乳酸菌など、医者が教えない「21世紀の家庭の医学」です。

 

●『高城式健康術55』詳細はこちら

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