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【食堂のおばちゃんの人生相談】45歳・会社員のお悩み

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.08.07 11:00 最終更新日:2020.08.07 11:00

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

 

【お悩み/街セブンさん(45)会社員】
 長年、同じ組織で仕えている女性上司の当たりが、私にだけきつい。売り上げ報告の際など、同じ内容でも、同僚たちには穏やかに接しているのに、私には口調がきつくなる。みんなは、「信頼されているからだよ」と言ってくれるが、やっぱり嫌われているのだろうか。

 

 

【山口先生のお答え】
 お悩みを伺って、その上司はあなたを嫌っているのではなく、あなたが苦手なのではないかと思いました。

 

「嫌い」と「苦手」は、似ているようで微妙に違います。ある程度正当と思われる理由があって相手を好きになれないのが「嫌い」、本人にも正当な理由が見つからないのに好きになれないのが「苦手」です。

 

 つまり「仕事が出来ない」「ずるい」「顔や態度が下品」「臭い」など、本人が納得できる理由があれば「嫌い」で、「どういうわけかわからないけどあの人、ダメ」という場合は「苦手」です。

 

 そして、「苦手」意識の深層心理には「小学生の時の意地悪な担任教師に似ている」とか「大嫌いな母親の口癖と同じフレーズを口にする」など、本人も不当だと認めざるを得ない原因があります。

 

 そんなわけで、その女性上司の苦手意識を取り除くには、カウンセリングでも受けてもらうしかありません。それでも本人は多分あなたを「苦手」としていることを認めないでしょう。「嫌い」は上から目線ですが、「苦手」は被害者意識に通じ、プライドが傷つきます。

 

 だからあなたは、相手があなたを「苦手」としているという事実を踏まえた上で、何事もないかのように振る舞うことが大切です。勿論、上司に揚げ足を取るチャンスを与えてはいけません。遅刻・無断欠勤・連絡ミスなど、絶対に犯さないようにして下さい。

 

 そして、上司の言動を記録して下さい。毎日細かくメモを取り、売り上げ報告の際はICレコーダーで一部始終を録音しましょう。

 

 これはあなたの守り刀です。使わないですめばそれに越したことはありませんが、もし上司の恣意で危機に瀕したときは、しかるべき場所に持ち込んで、身を守ることをお勧めします。

 

 守り刀は持っているだけで心が落ち着きます。お心安らかにね。

 


やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中

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