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プロが辛口検証「1億円貯める本」学ぶべきは考え方かノウハウか

ライフ・マネー 投稿日:2020.08.19 06:00FLASH編集部

プロが辛口検証「1億円貯める本」学ぶべきは考え方かノウハウか

 

《1億円貯める》《1億円稼ぐ》。そんな題名のビジネス書が増えている。冒頭の図は、2019年12月以降に発売された “1億円本” から、本誌が選んだ注目の10冊だ。

 

「 “1億円本” の流行の兆しを作ったのは、2011年に私がプロデュースして出版した『一生かかっても知り得ない 年収1億円思考』(江上治著・経済界)だと思います。その後も、ベストセラーが何冊も出ていて、現在のブームに繋がっている。

 

 

 (8)『年収1億円を稼ぐ人の頑張らない成功法則』の著者である、現役1億円プレーヤーの午堂登紀雄さんは、さまざまな世代に知り合いがいます。彼ならではの切り口がおもしろいですね」

 

 そう語るのは、ビジネス書評家の土井英司氏だ。

 

「近年は、『どんな投資や資産運用をすれば、1億円の資産を作れるか』を具体的に綴ったものが増えています。(1)『33歳で手取り22万円の僕が1億円を貯められた理由』・(3)『今からはじめれば、よゆうで1億ためられます!』は、その典型。

 

 なるべく業者に頼まず自分でリフォーム、短期売買で儲けるという(1)の方法は、リアリティを感じました。(3)も、不動産の賃貸収入は自動的に入ってくる『不労所得』ではなく、手間暇をかけつづける必要がある『労働所得』だとあり、誠実な内容だと思いました」(土井氏)

 

 元億り人の個人投資家・山口三尊氏は、どう読んだのか。

 

「1億円を貯めたいと思う人は、吉原を貸し切りにしたいとか、高級ブランドのスーツが着たいとか考えているのかもしれませんが、実際に貯められるのは、しまむらの服を中古で買ったり、旅行へ行くときは夜行バスを利用するタイプです(笑)。

 

 ふだんは節約して、そのぶんを投資に回す。(1)・(2)『超お買い得になった株と不動産で1億円つくる! 株-1グランプリ優勝3回のサラリーマンの(秘)投資術』・(3)の著者にも、そういうスタンスが感じられます。

 

 一方、株式投資のテクニックを解説する(4)『専業主夫けいくんのほったらかし投資で1億円稼ぐ株ドリル』(5)『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円』は、著者はその方法で実際に資産を作ったのでしょうが、読者が読んで再現できるかはわかりません。

 

(7)『しっかり1億円貯める月1万円投資術』は、投資の教科書みたいなイメージ。大きく稼ごうというより、入門書としては、いいかもしれません」

 

 一方、かつてはカリスマ経営者として大金を動かした天野雅博氏の意見はどうか。

 

「 “1億円を稼ごう” と思っても稼げませんよ。“100億円稼ごう” と思っていたら、1億円くらいなんとかなるだろうけどね(笑)。

 

(5)の著者は、大企業の株や投資信託ではなく、自分で急成長しそうな銘柄を探し、そこに集中投資している。新卒でベンチャー企業に入社し、考え方を学んだんだね。

 

 ビジネス書の “キモ” はノウハウではなく、その人の考え方が伝わるかどうか。(6)『天職を見つけてお金持ちになる 1億円勉強法』(9)『うまくいく人がやっている1億円会話術』もいいね」

 

 ノウハウは、考え方が定まっていれば、おのずと選べる。考え方が定まっていないと、どう稼ぐかは決められない。

 

(10)『億を稼ぐ人の考え方』も金儲けの話ではなく、金を稼ぐということについて、著者の考え方がリアルに伝わってくる。いちばん刺さるね。著者に会ってみたいよ」

 

 読んだら、次は行動。目指せ、1億円!

 

【プロ3人が検証した “1億円本” 10冊】
(1)『33歳で手取り22万円の僕が1億円を貯められた理由』井上はじめ(新潮社)
 取り柄は節約だけ。平凡なサラリーマンが投資信託で……

 

(2)『超お買い得になった株と不動産で1億円つくる! 株-1グランプリ優勝3回のサラリーマンの(秘)投資術』東条駿介(ダイヤモンド社)
 元公務員が教える、コロナ禍でリセットされた市場で勝つ方法

 

(3)『今からはじめれば、よゆうで1億ためられます!』八木エミリー(ビジネス社)
 証券会社勤務の26歳がアパートを一棟買い! いまは人気FPの著者の投資術

 

(4)『専業主夫けいくんのほったらかし投資で1億円稼ぐ株ドリル』山下勁(宝島社)
 株価チャートの読み方を設問形式で。年3〜4回の売買で億万長者に

 

(5)『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円』遠藤洋(ダイヤモンド社)
 時価総額の小さい株に集中投資。1年で、株価3倍以上のチャンスも

 

(6)『天職を見つけてお金持ちになる 1億円勉強法』石井貴士(かんき出版)
 元地方局アナウンサーで、ベストセラー作家の思考回路

 

(7)『しっかり1億円貯める月1万円投資術』世古口俊介(あさ出版)
 資産コンサルタントの著者が、“投資は危険” のイメージを覆す

 

(8)『年収1億円を稼ぐ人の頑張らない成功法則』午堂登紀雄(学研プラス)
 新世代のお金持ちたちの、“脱・がむしゃら” の稼ぎ方とは

 

(9)『うまくいく人がやっている1億円会話術』岡崎かつひろ(きずな出版)
「またお願いします」と言わないなど、話し方、聞き方のコツを紹介

 

(10)『億を稼ぐ人の考え方』中野祐治(きずな出版)
 複数の会社を経営する実業家が実践する33の思考と習慣

 

●土井英司/ビジネス書評家・出版コンサルタント
1974年生まれ 出版社勤務を経て、2000年、「アマゾン」日本サイト立ち上げに参画。著書に『20代で人生の年収は9割決まる。』ほか多数

 

●山口三尊/個人投資家・元億り人
1967年生まれ ブログ「証券非行被害者救済ボランティアのブログ」主宰。株式投資で資産1億3000万円を築いたが、現在は1億円を切る

 

●天野雅博/「定食酒場食堂」経営
1967年生まれ 22歳まで少年刑務所で過ごしたあと、さまざまな事業を展開。一時の日収は400万円。現在は東京・曙橋で飲食店を営む

 

(週刊FLASH 2020年8月18・25日号)

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