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【食堂のおばちゃんの人生相談】37歳・派遣社員のお悩み
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.08.24 11:00 最終更新日:2020.08.24 11:00
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/自称食通さん(37)派遣社員】
山口先生の小説は、いつも食事の場面が美味しそうだ。今までの人生で実際に作ったなかで、いちばん美味しかったと思う料理のレシピを教えてください。
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【山口先生のお答え】
それはどうもありがとうございます。食いしん坊なんですよ、私。これまで作った中で一番美味しいと思う料理ですか? これは難しいですねえ。何しろ私、もう60年以上も生きてますんで、18歳の頃とは好みも変わってますしねえ。
今はこってり系の豚骨ラーメンよりあっさり系の方が好きだし、量が少なくてキライだった会席料理も、最近はおつだなあと思うようになりました。だから二、三挙げますね。
まず、鰯ならカレー揚げ。生の鰯の頭と内臓を取って開き、カレー粉と小麦粉を付けて揚げ、生姜の千切りとポン酢をかけます。私は鰯の料理はこれが一番好き。
次に、変変わりコロッケ。マッシュしたジャガイモにホウレン草のバター炒め、とろけるチーズを混ぜます。それを2つに分けて、ひとつにほぐした焼き鮭、残りに炒めた粗挽きソーセージを混ぜて形成し、小麦粉・卵・パン粉を付けて揚げる。
これは普通の挽肉コロッケより美味しいと思いました。普通のコロッケも、ジャガイモに固めのホワイトソースを加えて作ると、大変まろやかで贅沢な味になります。
まだまだ暑い季節におすすめなのが冷や汁。アジの干物を焼いてほぐし、すり鉢ですり、キュウリと茗荷の千切り、すった煎りゴマと共に冷たくした味噌汁で延ばす。ご飯にかけても美味しいし、茹でた素麺を入れてもイケますよ。
そして白身魚の中華風刺身。白身の刺身に香味野菜の千切り、ワンタンの皮の揚げ物(無くてもいい。ポテトチップスでも可)を載せ、熱したピーナッツオイル(ゴマ油でも可)・塩・胡椒・好みでだし醤油を垂らして混ぜる。私は普通の刺身より好きなんです。
ああ、ダメ、止まらない! 美味しい物はありすぎます!
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中