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空き家再生の専門家が語る「田舎の実家が“負動産”になる」理由

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.10.05 11:00 最終更新日:2020.10.05 11:00

空き家再生の専門家が語る「田舎の実家が“負動産”になる」理由

 

「相続の遺産分割をして、『誰も住んでいない田舎の家を私がもらうことにしてハンコをつきますけど、この先のことは落ち着いたら考えてみます』というような方が多いですね。

 

 その後、『どうしましたか?』と確認すると、『手付かずで放置したままです』という方がほとんどです」と話すのは、遺産問題に詳しい木野綾子弁護士だ。

 

 

 両親が住んでいた実家を相続したものの、そのまま放置してしまう人が増えているという。実際、「平成 26 年空家実態調査 調査結果の概要」によると、人が住んでいないと回答した戸建て空き家などを取得した経緯については「相続した」が52.3%と最も多くなっている。

 

 空き家再生が専門の不動産会社、オハナホーム株式会社の菊池まさお氏はこう話す。
「両親が亡くなり、空き家になってしまった“実家”をどうにかしてほしいという40代~60代の方からの依頼が、どんどん増えています。私は千葉県内を中心に空き家の再生や相続相談などをおこなっていますが、1週間に5~6軒、現地を見に行くこともあります。手離れが良ければ売ってしまおうという考えの方が多いですが、買い手がつかないこともある。そもそも処分にお金をかけたくないので、家の中に荷物が多すぎたりすると、そのままにしてしまう方も多いようです」

 

 金目にならない地方の空き家は、どんどん増えていくだろうと、木野弁護士は話す。
「人口が都市部に集中して地方には人が少なくなっていることもありますが、空き家の専門家が不在なんです。誰に相談したらいいかわからないから、そのままにしてしまうようです。

 

 空き家のほかに財産が数千万円ありますよという場合は、一括して遺産分割をする遺産の対象になるんですが、相続するものが空き家しかないと、わざわざ遺産分割をする気力がない。だから話し合いもせず、遺産分割もせずに放置してしまうんです。

 

 そのまま放置していると、相続人の方たちが亡くなった後に、その子供、さらにその子供の代まで相続人が増えてしまう。孫の代になって、突然行政から、『空き家が崩れ落ちそうなので処分してほしい』という連絡がきて、はじめてその空き家の存在を知るということもあると思います」

 

 こういった相続問題を起こさないため、空き家をこれ以上増やさないためにも、両親が亡くなる前に、活用方法を決めておくことが大事だと木野弁護士は話す。

 

「不動産は相続で必ず揉めます。都心の価値がある不動産は“奪い合い”になり、地方の価値のない不動産は“押し付けあい”になります。遺言書を残すか、生前に処分する、または処分方法を決めておく。リフォームしたり解体する費用分のお金を残しておくべきです。そうすればそのまま放置はせず、積極的に取り組むと思います」
 “争続”にならないためにも、不動産をどうするかは、両親が元気なうちに話し合っておこう。

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