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紅葉の絶景に食堂車…Go To解禁で乗りたいローカル線「鉄印」旅
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.10.18 06:00 最終更新日:2020.10.18 06:00
神社や寺を参拝した記念にもらえる御朱印。それに着想を得た第三セクター(以下・三セク)のローカル鉄道各社が個性あふれる「鉄印」を作り、観光客を呼び込む企画を7月からスタートさせた。参加する鉄道会社すべての鉄印を専用の「鉄印帳」に記帳すれば、「マイスター」に認定される。
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「時間がゆっくり進んでいて、都会のような忙しなさがない。旅の情緒を味わえるのが『三セク ローカル線』の魅力です」
そう語るのは、鉄道ライターの所澤秀樹氏。ほとんどの三セクの車両はディーゼルカーで、新潟トランシスが製造・販売しているため、同じ形だという。また、座席はボックスタイプ。一杯やりやすい雰囲気なのが、酒好きには嬉しい。
「食堂車がある路線もあり、ローカル線で初めて設置したのは明知鉄道(岐阜)です。ただ、本格的な内装で地元料理を提供する肥薩おれんじ鉄道(熊本・鹿児島)の食堂車を、私は推します」(所澤氏、以下同)
京都丹後鉄道も、観光列車で食堂車を走らせている。
東京発着の「Go To トラベルキャンペーン」も解禁となり、紅葉を楽しみながらの鉄印記帳は、どの鉄道がいいか。所澤氏のおすすめ路線を聞いた。
「東京からは、わたらせ渓谷鐵道(群馬・栃木)もいいんですが、同じ路線で往復しないといけない。私のイチ押しは、復路の選択肢が豊富で、東武鉄道と野岩鉄道が直通する会津鉄道(福島)です。
出発は浅草駅。レトロな外観に復元された駅ビルは、いかにも始発という感じがして、気持ちが盛り上がります。ここから特急スペーシアに乗車して下今市駅まで行ったら、『SL大樹』に乗り換え。昔懐かしい車両と汽笛の音は、旅情をかきたてます。その後、鬼怒川温泉駅で会津田島行きに乗り換えます」
会津鉄道の鉄印が記帳できるのは、会津田島駅だ。
「復路は、せっかくなので違う経路で帰りましょう。山々の中をトコトコと走る会津鉄道の沿線は、これからの季節、車窓からの景色が本当に素晴らしい。時間に追われる日常を忘れて、スローな時間を楽しむのも、乙なものです。
会津若松駅に出たら、JRの磐越西線で郡山駅に向かい、郡山から新幹線で帰京します。磐越西線も『SLばんえつ物語』が走っているので、SLに乗車するのもいいでしょう。新潟駅まで出て新幹線で帰る、というルートもおもしろいですね」
もし1泊できるなら、所澤氏がぜひ行ってほしいというのが、湯野上温泉だ。
「川沿いに露天風呂があって、素晴らしい景色なんですよ。会津鉄道を途中下車して寄ってもらいたいですね」
しょざわひでき
交通史・文化研究家、旅行作家。1960年東京都生まれ。著書に『鉄道時刻表の暗号を解く』、『「快速」と「準急」はどっちが速い?』、『鉄道会社はややこしい』(以上、光文社新書)、『鉄道手帳(2021年版)』(創元社)などがある
写真提供・会津鉄道
(週刊FLASH 2020年10月20日号)