お酒は飲まないほうがいいのですが、お酒好きな人に「一滴も飲まないのが健康」と言っても、やめるのは難しいでしょう。そこで、コロナ禍のストレスと上手につき合うための、「お酒に飲まれない5つの方法」をお伝えします。
(1)適量飲酒を意識する
お酒は飲めば飲むほど健康によくありません。ですが、少量の飲酒であれば健康への問題はさほど心配しなくていい、というのが「適量飲酒」です。
生活習慣病のリスクを大きく高めない飲酒量は、純アルコール量で、1日20g、週100gといわれています。ビールだと1日に500ml缶を1缶です。
「そんな少ない量で満足できるか!」と思うでしょうが、それは毎日飲んだ場合であり、飲酒量は「週単位」で調整すべきです。
つまり、1日おきに飲むならば、ビール500ml缶を2缶までが適量飲酒となりますから、けっして少ない量ではないはずです。
(2)毎日飲まない
お酒と健康を考える場合、「量」に注目しがちですが、私は量以上に「毎日飲酒する」のが健康によくないと考えます。毎日飲酒すると肝臓に休む暇がなくなって、ものすごく負担をかけます。
さらに、つねにアルコールが体内にある状態が続くと、脳がそれに慣れてしまう。つまり、毎日飲酒することで、アルコール依存症のリスクが飛躍的に高まるのです。「もっと飲みたい」という飲酒欲求も強まり、飲酒量も増えていきます。
週に2日の休肝日(お酒をまったく飲まない日)を作る。これがとても大切です。
(3)「寝酒」にしない
寝る前にお酒を飲むと、睡眠の質を悪化させます。ですから、「寝酒(寝るためにお酒を飲む)」は最悪です。
ただし、お酒を飲んでから、2時間以上経過すると、アルコールはかなり代謝されます。つまり、「寝る前」ではなく、食事と一緒に、早い時間に飲むことで睡眠への悪影響を減らせます。
また、水分をたっぷりとると、アルコールの代謝が進み、二日酔いにもなりづらくなります。
(4)コミュニケーションを楽しみながら飲む
前述したように、お酒でストレスは発散できません。ですから、ストレス発散のためにお酒を飲むべきではありません。ただ、お酒はコミュニケーションの潤滑剤なので、会話などを楽しみながら飲むのはいいでしょう。
食事中に家族と話をしながら飲む、オンライン飲み会というのも、いいかもしれません。一人で飲むと、飲酒量はどんどん増えます。
(5)ストロング系チューハイはNG
最近、アルコール度数が9%以上もある「ストロング系チューハイ」が流行っています。安くて酔える、コスパがいいということで、サラリーマンや学生にも人気です。
しかし、「ストロング系チューハイ」は、非常に危険なのでまったくおすすめできません。
アルコール度数9%のストロング系チューハイ1缶(500ml)の純アルコール量をウイスキー(40%)に換算すると、なんとシングルで3.75杯分にも相当します。私はウイスキー好きですが、シングル約4杯は、バーで2時間以上かけて飲む量です。
しかし、ストロング系チューハイはジュースみたいに飲みやすいので、30分もかからず1缶を空けてしまう人もいるでしょう。それは、ウイスキー1杯を8分で飲み干すのと同じ。あり得ないほどのハイペースです。
なかには1日で3缶飲む人もいるでしょう。3缶の純アルコール量は、ウイスキーの量でいうと337.5ml。なんと、ボトル半分に相当するのです。仮にこれを毎日飲み続けたとすると、アルコール依存症になってもまったく不思議ではありません。
ストレスが多いコロナ禍において、毎日「宅飲み」する可能性も考えると、ストロング系チューハイは避けるべきです。
かばさわしおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし
(週刊FLASH 2021年2月23日号)