(4)動画は脳を疲れさせる
ここ数年で、ユーチューブなどで動画を視聴する習慣が、私たちの生活にすっかり定着しました。その流れをコロナ禍が加速させたといっていいでしょう。
動画は情報量が多く、視聴する人に大きなインパクトを与えます。しかし人間の脳は、そのリソースの80%近くを視覚情報の処理に使っているといわれるので、動画は脳を広範囲に興奮させて、疲れやすくさせます。
日中、仕事でパソコンとにらめっこし、帰宅してからは動画、テレビ、ゲームなどの視覚系の娯楽を楽しむ……。これでは、一日中、脳は休まる暇がないでしょう。
動画やゲームがおもしろいのは、脳が興奮するから。就寝前2時間以内の視覚系娯楽は、睡眠に悪影響を与えますので、できれば避けるべきです。
一方のクラブハウスの場合、「音声情報」ですから、動画ほど情報量は多くありません。ですから、ラジオを聴いているような感覚で、2時間くらい連続で聴いても、「脳が疲れにくい」という特徴があるのです。
私が高校生だったころは、夜中にラジオを聴きながら受験勉強したものです。そんな昔の深夜放送を彷彿させるのが、クラブハウスです。
(5)一回性/秘匿性の魅力
クラブハウスが、今までのSNSと違う最大の点は、アーカイブ(記録)が残らない、残せないことです。
ユーチューブなどの配信ライブを見逃したとしても、多くの場合は後で録画が公開されます。
しかし、クラブハウスでは、記録が残せないし、「録音」も禁止。そして、ルームで話された内容を、ほかのSNSに書くことも禁止されています。つまり、今聴かないと二度と聴けない。希少性、「一回性」の魅力が大きいのです。
また、内容がほかに漏れづらいので、スピーカーは「ここだけの話」ができる。聞いたことがないような「裏話」「とっておきの話」が出やすいわけです。これも「渇望マーケティング」のひとつといえるでしょう。
(6)アウトプットの練習の場
クラブハウスのすごいところは、テレビに出ている芸能人やベストセラー作家などの有名人と直接、話せるということです。
1000人以上が参加しているルームで、「質問がある方は挙手してください」と募っても、1人、2人しか手が挙がらないことがよくあります(挙手ボタンというのがあります)。
1000人もの前で話をするというのは、非常に緊張するかもしれませんが、憧れの芸能人やタレントと話せるなんて、めったにないチャンスです。
しかも「話す」というアウトプット力を鍛えるうえで絶好の機会ですから、積極的に挙手すべきでしょう。
「話し下手だからクラブハウスなんて無理」と考えるのではなく、話し下手だからこそ、クラブハウスを上手に活用したいものです。
今回はクラブハウスについて心理学的に分析してみましたが、ひと言で言えば「チョーおもしろい」ということ(笑)。iPhoneなどの利用者は、始めてみるとよいでしょう。
始め方は簡単です。AppStoreから、「Clubhouse」アプリをダウンロードして、すでにクラブハウスを始めている招待枠のある友人から、招待してもらってください。
ちなみに、樺沢のクラブハウスのアカウントは、@zionkabasawaです。あるいは、「樺沢紫苑」と検索すると出てきます。
樺沢のルームであれば、「質問」募集のタイミングで挙手していただけると、樺沢と直接、話せるかもしれません。ぜひ、フォローしてください。
かばさわしおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし
(週刊FLASH 2021年3月9日号)