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「コロナ禍のSEX」男女1万人調査で判明 “巣ごもりベビーブーム” は幻だった! 担当研究者が解説
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.05.27 06:00 最終更新日:2021.05.27 06:00
「コロナによる自粛生活が長引けば、男女ともにセックスが増えるはずだ。僕は、そういう仮説を立てたのです」
そう語るのは、医師で一般社団法人「日本家族計画協会」の北村邦夫理事長(70)だ。
北村氏は、厚生労働省の「コロナ禍における第一次緊急事態宣言下の日本人1万人調査」研究班に参加。20歳から69歳の日本人男女1万人を対象に、第一次緊急事態宣言が発出された前後(2020年3月下旬から5月下旬)の生活の実態を多角的に調査した。そのなかで、北村氏が担当したのが「セックス頻度の変化」などに関する調査だ。
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「セックスの頻度が増えているはずだという仮説の根拠には、1977年にニューヨークで起きた大停電がありました。このとき市民は自宅待機を余儀なくされましたが、その9カ月後、出生率が急上昇したのです。
このことが念頭にあり、『コロナ禍の “ステイホーム” でも、同じようなことが起こるのでは』と考えたのです」(北村氏、以下同)
だが実際には、2020年度の妊娠届出数は、むしろ減少傾向にあった。出生率も、2019年度と比べて低下することが確定的だ。そして、今回の調査結果がトドメとなり、北村氏の仮説は完全に覆されたのだ。
セックス頻度は、上の[表1]を見れば明らかだ。そもそも男性の4割、女性の6割が「していない」事実にも驚かされるが、男女ともに「減った」が「増えた」の2倍以上となっている。
コロナ禍が下半身にもっとも影響したのが、[表2]で見られる40代の未婚男性で、セックス回数が「減った」(10.6%)は、「増えた」(2.4%)の4.4倍もいるのだ。
意外だったのは、男女ともに「減った」ともっとも多く回答したのが、なんと20代だったことだ。彼氏・彼女がいる若い世代は自粛生活でセックス三昧だろう……と勝手に悔しがっていた写写丸(本誌記者)には、驚きの結果である。北村氏が解説する。
「セックスの頻度が減った理由で多かったものとして、『外出を控えていた』『機会がなかった』などがありました。このような理由を挙げた人の多くは、未婚者でしょう。未婚者のセックスの頻度が減るのは、相手と出会うチャンスがなくなるのだから、致し方ないと思います」
一方、北村氏が気になったのが、「その気になれなかった」などの理由で「減った」と回答した既婚者層だ。
「たとえば、『パートナーがコロナウイルスに感染した』のであれば、セックスしなくなるのはわかるのです。しかし、そう回答したのは1%にも満たない層でした。
政府や自治体は、ソーシャルディスタンスの重要性を訴えてきました。セックスはたしかに “三密” の極致ですが、最初の緊急事態宣言では、“密” を極端に恐れた結果、夫婦がセックスまで自粛してしまったのではないかと思います」
今回、北村氏が本誌に特別に提供してくれたのが、これまで詳細なデータは発表していなかった「自慰行為の頻度の変化」だ。20代男性の18.7%が、自慰行為の回数が「増えた」と答えている。
「さらに、男性は30代から50代も、増えた層は一定数いました。60代を除いて、自慰行為の頻度が『増えた』が『減った』を上回る結果が出たのです」
少子化対策に頭を悩ませる厚労省にとっては、「巣ごもりでベビーブームになれば……」というアテが外れただけでも残念なのに、男たちが子作りそっちのけで自慰にふけっていたとは、さぞショックだろう……。と、写写丸が日本の未来を案じていると、北村氏が興味深い事実を教えてくれた。
「調査では少数派だった、セックス頻度が『増えた』と回答した男女は、自慰行為の頻度も『増えた』と回答しているケースが多かったのです。逆に自慰行為が減ったという人は、男女ともにセックスも減っていることが多かったのです。性的に活発な人は、どんな状況下においても変わらない。二極化なんです」
今日の自慰行為は、街に賑わいが戻る “近い未来” の少子化解消に繋がっている……かもしれない。
写真・PIXTA
(週刊FLASH 2021年6月8日号)