■(2)週に1回「ハグの日」を
『逃げ恥』に、毎週火曜日は必ず1回はハグをするというエピソードが出てきます。「ハグの日」です。
日本人はあまりハグをしません。しかし、ハグはメンタル的にとてもよいことなのです。
ドラマでも、「ハグは最も手軽で偉大なスキンシップ手段です!」というセリフが出てきます。実際そのとおりで、たった20秒のハグでオキシトシンが分泌され、その効果は1時間も持続するのです。
オキシトシンは「愛のホルモン」「幸福ホルモン」と呼ばれています。これが分泌されると、「愛されている」という感覚とともに「ハッピー」な気持ちになり、「癒やされ感」に満たされます。夫婦円満、良好なパートナーシップを維持するために、定期的なスキンシップは、必要不可欠というわけです。
またオキシトシンには、細胞修復効果、免疫力アップ効果、アンチエイジング効果があるので、医学的にも私たちの体を癒やしてくれる。
つまり、ハグによるオキシトシンの分泌で、「心の健康」と「体の健康」の両方が手に入るのです。
オキシトシンには、不安やイライラを取り除くリラックス効果や、感情を安定させる効果もあります。もしあなたのパートナーがイライラしているのなら、それはオキシトシン不足、つまり、スキンシップ不足なのかもしれません。
■(3)家事の分担
コロナ禍におけるテレワークの増加によって、夫が家にいる時間が増えています。それにともない、夫に「家事を分担してほしい」と思う妻が増えています。
『逃げ恥』でも、「家事の分担」は重要なテーマとして描かれていました。もともと家事代行として家事をこなしていたガッキー演じるみくりさんが、ドラマの後半では、自分も「働きたい」と言って、外に働きに出るようになります。
当然、星野さん演じる平匡さんは家事を分担することになります。もともとは、家事をしたくないから家事代行を雇ったはずが、結局は家事をしなければならなくなるという矛盾。そこには「妻は家政婦ではない」という主張が隠されているのでしょう。
ドラマの中では、「主婦の労働価値は月給で19万4000円」と示されます。平匡さんからプロポーズされたみくりさんは、結婚することでこれまで有償でしていた家事が無償になることに気づき、「好きの搾取」だと言ってプロポーズを断わるのです。
家事労働は、非常に大変な仕事なのだから、それを担っている妻にもっと感謝すべきだし、家事や育児を分担するべきである――。
最近では当たり前のように言われていることを、5年前に指摘した『逃げ恥』は、やはり時代を先取りしたドラマだったといえます。
ほとんどの家庭では、夫の家事、育児の分担は少ないはず。コロナ禍のストレスに関する妻へのアンケートでは、「夫が家事を手伝わない」が必ず上位に入っていることからも、それがわかります。
夫が家事を分担すれば、妻のイライラが減る、妻の機嫌がよくなり夫婦喧嘩が減る、夫婦関係が円満になる……。だとしたら、これほど「簡単な解決策」はないでしょう。
コロナ禍で家族と一緒にいる時間が長くなったことから、今まで以上にオキシトシン的幸福(愛・つながり)の重要度が増しています。
今回、ガッキー&星野さんの結婚を祝福しつつ、「夫婦関係」がうまくいく3つのコツを取り入れることで、ガッキーたちに負けないくらいラブラブになっていただきたいと思います。
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし
(週刊FLASH 2021年6月15日号)