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子供相手に本気の球を投げる水島新司『ドカベン』で野球への思いが結実/6月28日の話

ライフ・マネー 投稿日:2021.06.28 06:00FLASH編集部

子供相手に本気の球を投げる水島新司『ドカベン』で野球への思いが結実/6月28日の話

水島新司(2002年撮影)

 

 2018年6月28日、この日発売された『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で、『ドカベン』シリーズが最終回を迎えた。初代『ドカベン』は1972年から連載が始まり、1981年に終了したが、その後『大甲子園』『プロ野球編』『スーパースターズ編』と続き、最終章『ドリームトーナメント編』で完結した。単行本は通算205巻に及び、累計発行部数は4800万部を超えた。

 

 

 作者である水島新司氏の故郷、新潟県にある「新潟市マンガの家」は、新潟ゆかりの漫画家やその作品を中心に、漫画の魅力を発信している。
 館長を務める小池利春氏に話を聞いた。小池氏は『ドカベン』の魅力について、次のように語る。

 

「物語のなかでは、“明訓高校” など新潟に実在する名前が出てきたり、『ドカベン プロ野球編』でも、実在するプロ野球選手がキャラクターとして登場します。『フィクションの世界』と『リアルな世界』が融合しているのが大きな魅力です。いまは権利関係などいろいろ難しい面がありますが、当時のNPB(日本プロ野球機構)や各球団は『水島さんの作品だったら』と、作品作りに協力されたと伺っています。

 

 また、『ドカベン』を読んで野球のルールを覚えたり、野球というスポーツを好きになったり、プロ野球選手を目指した子供たちも多いと思います。リアルに野球人口を増やすなど、スポーツ界に対して大きく尽力した作品です。野球界や漫画界を盛り上げるパワーを持っており、まさに野球漫画の金字塔だと思います」

 

 多くの読者が『ドカベン』の虜になったのは、そのリアリティさだ。

 

「実は、水島さんご自身が野球のプレーヤーでした。草野球チームを2つ持っておられ、連載しながら試合に参加していらっしゃいました。なので、戦術的なことや試合の展開などが、徹底的に考え抜かれたものなんです。漫画を読んでいるというより、『野球中継』を観ているようでした。

 

 水島先生は、本当に野球好きな方です。新潟においでになられたときは、地元の方々と野球を楽しんだり、『ドカベン』の名前を冠した子供向けの野球リーグを主催されたり、積極的に活動されていました。

 

 地元の小学生とキャッチボールをしている姿を見たことがあるのですが、子供を相手にしても、水島先生は本気ですごい球を投げるんですよ(笑)。水島先生にとって、漫画は野球のプレイの一部だったのかもしれないですね」(前出・小池氏)

 

 2018年、多くのファンに惜しまれながら『ドカベン』シリーズは幕を下ろした。2020年には、水島氏自身も漫画家を引退。それでも、『ドカベン』の魅力は色褪せない。

 

「新潟市内には、ドカベンの銅像が飾られている商店街があるのですが、いまでも多くの観光客が訪れています。連載が終了してもなお、永遠の人気を得る作品だと思います。

 

 僕らが小学生の頃は、『週刊少年チャンピオン』が全盛期で、その中心に水島先生の『ドカベン』がありました。僕も当時は『ドカベン』を読んでいましたし、マネをして漫画を描いたこともあります。

 

 いまは漫画関係の仕事をしていて、水島先生の存在にはすごく勇気づけられます。そういう意味で水島先生は、郷土の誇りというか、“永遠のアイドル” ですよね。そう思っていらっしゃる新潟市民の方は多いと思います」(同)

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