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樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」リーダーは「北風」型より「太陽」型を目指せ

ライフ・マネー 投稿日:2021.08.30 06:00FLASH編集部

樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」リーダーは「北風」型より「太陽」型を目指せ

君臨して従わせる「北風」型から、部下に伴走する「太陽」型へ

 

■次々に炎上するオジサンたち

 

 プロ野球・北海道日本ハムファイターズの中田翔選手が、後輩選手に暴力をふるい、球団から出場停止処分を受けたことが、大きく報じられました。奇しくも最近、暴力とはいかないまでも、似たようなタイプの出来事や炎上事案が多発しているように思います。

 

 

 名古屋市の河村たかし市長が、ソフトボール女子日本代表・後藤希友選手の金メダルをかじって、メダルの交換や給与の返上にまで発展した問題。『サンデーモーニング』(TBSテレビ系)で野球評論家・張本勲氏が女性およびボクシングを揶揄する発言をして番組が謝罪に至った問題。

 

 少しさかのぼりますが、森喜朗元総理の「女性は話が長い」発言がもとで、今年2月に東京五輪の組織委員会会長を辞任した問題。元電通のクリエーティブディレクター・佐々木宏氏が、東京五輪の開閉会式の演出で女性タレントの容姿を侮辱する提案をしたとして、3月に責任者を辞任した問題。

 

 これらに共通するのは、年長の男性が上から目線で後輩や女性に対し権威をふりかざしたり、からかったりする振舞い、つまり「昭和的体育会系」気質です。これらに多くの人が拒絶反応を起こしたことを見ると、彼ら高圧的年長者やリーダーに対し、みんな嫌気がさしていると考えられます。

 

 こうした問題が、なぜ今、立て続けに起きているのか。今回は、その心理的な背景と、これからの時代に求められるリーダー像について考えたいと思います。

 

■SNSとスケープゴート効果

 

 これだけ似たような事案が連続して起きるのは、偶然ではなく、必然と考えられます。いずれも「コロナ禍におけるストレスの高まり」と「SNSの普及」が背景にあります。

 

 緊急事態宣言とそれにともなう行動制限の延長に次ぐ延長は、私たちに想像以上のストレスを与えています。「もう限界」と感じて、行動制限、外出自粛の要請に応じない人も増えています。

 

 そんな爆発寸前の国民のストレスのはけ口が、「不祥事を起こした有名人」に対する過剰なバッシング。いけにえ(スケープゴート)を探し、それを叩くことで、ストレスの発散をしている。「スケープゴート効果」とでも言いましょうか。

 

 そして、SNSの普及がそれに拍車をかけています。コロナ禍で外出を自粛している人たちは、今まで以上にインターネットやSNSに触れています。

 

■「悪気はなかった」はもう通用しない

 

 ただ、これだけだと、よくある有名人バッシングですが、今回特徴的なのは、これまで「年だから仕方ないよね」と目こぼしされていたオジサンたちに、批判の矛先が容赦なく向かっている点です(中田選手は30代前半で、オジサンというには少し若いですが)。

 

 彼らに共通するのは、時代は変わったのに、それに気づいていないという「無神経さ」。謝罪会見などで発する「悪気はなかった」という言葉に、「まさかここまで叩かれるとは夢にも思っていなかった」という本音がにじみ出ています。

 

 今、昭和レトロは女性たちに高い人気ですが、 “昭和オジサン” (的な態度の人)はお呼びでなくなっている。厳しい言い方になりますが、そのことを自覚したほうがいいのかもしれません。

 

 そんな時代の変化を象徴するのが、22年間続いた朝のワイドショー『とくダネ!』(フジテレビ系)の今年3月の終了です。

 

 かつては、出演者に遠慮なくツッコむなど歯に衣着せぬ物言いの小倉智昭氏に「よくぞ言ってくれた」と思う視聴者も多かったでしょう。それが昨今では、「ウザい」「偉そう」と感じる人が増えてきた。後継番組の『めざまし8(エイト)』のMCは谷原章介氏。小倉氏とは真逆の優しく穏やかな進行は好評のようです。

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