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47都道府県「地震で揺れやすい街」を徹底調査!「増幅率」ワースト2は秋田駅、1位は?
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.12.07 06:00 最終更新日:2021.12.07 06:00
名古屋市では、名古屋駅の東側にある名古屋城周辺では、増幅率は低い。しかし駅の西側はほぼ全域で増幅率が高く、その範囲は岐阜県、三重県にまで広がっている。
大阪府でも、大阪城近辺の地盤は非常に強固だ。北端に大阪城があり、そこから南に向けて細長く伸びる上町台地の増幅率は、1.3〜1.4とかなり低い。しかしその周辺は、増幅率が2.0を超える場所がほとんど。とくに台地の東側の城東区から、東大阪市、守口市、門真市にかけての増幅率は高い。
大阪府の最高地点は、大阪城から北東へわずか2kmの場所だ。また、淀川周辺の増幅率は総じて高く、それは京都府にまで続いている。京都府の最高地点は、宇治川(淀川の中流名)と桂川に挟まれた場所にある。
福岡県で目につくのは、たびたび氾濫を起こしてきた大河川・筑後川の周辺だ。その下流域に広がる筑紫平野では、大川市や柳川市、さらには佐賀県佐賀市なども含め、ほぼ全域で増幅率が高い。福岡県の最高地点である大刀洗町は、その筑後川の中流域にある。
北海道では、札幌市を含む石狩平野のほぼ全域で増幅率が高い。そのなかでも、札幌の北部、丘珠空港の北側周辺には増幅率が2.3を超えるエリアが広がっている。
ただし、表層地盤は地下30mほどで計算されたものであり、その増幅率がそのまま、建物の揺れに比例するというわけではない、と横山氏は説明する。
「表層地盤の増幅率は、一戸建てやそれほど大きくない建物には大きく影響します。しかし、大型の建造物は、表層は軟弱地盤でも、地下の強固な支持層に基礎が打ち込んであり、耐震構造などの対策が施されているので、受ける影響は変わってきます。
また、地震の周期にも左右されます。増幅率はあくまで表層地盤の評価であり、その場所で今後、大きな地震が起きる確率は含まれていない点にも注意は必要です」
主要駅のなかで増幅率がワースト1、2となったのは、富山駅と秋田駅。だが、J−SHISの「30年以内に震度6強以上となる確率」では、富山駅が3.5%、秋田駅は3.0%と、かなり低い数値になっている。ちなみに「30年以内に震度6強以上となる確率」は、東京駅が5.6%、大阪駅が14.2%、名古屋駅が32.3%だ。
J−SHISの「表層地盤」は今年更新され、関東地方のデータはほかの地方よりも精度の高いものになっているという。
「たとえば渋谷は、『谷』という字が示すように谷底で、地震に弱いと考えられていました。しかし今回の更新により実測データが用いられたことで、じつは意外と揺れにくい地盤であることがわかったのです」
渋谷駅の地盤増幅率は1.23。新宿駅の1.52、上野駅の1.4よりも低い数値なのだ。参考までに、都内のおもな駅の増幅率は以下のとおり。
・新橋駅=1.52
・品川駅=1.33
・池袋駅=1.46
・錦糸町駅=2.43
・新小岩駅=2.42
・立川駅=1.11
このデータを、我々はどう生かしたらよいのだろうか。
「まずは、自分が住む場所にどんなリスクがあるかを知ることです。地盤増幅率が1.6を超えるようなら、家の建て替えとまでは言いませんが、耐震補強について考えたほうがいいでしょう。とくに古い家に住んでいるならば、要注意です。それから、家具の転倒防止対策は必須です。
地震保険の加入も検討したほうがいいでしょう。もしこれから家を購入する予定があるなら、真っ先にこのデータを調べるべきです。微動探査という、ピンポイントで増幅率を調査できる方法もあります。揺れやすい地域の戸建て住宅であれば、耐震等級3の家づくりが望ましいです」
増幅率が低い=地震があっても揺れない、というわけではない。近くで大きな地震があれば、増幅率の低い地域でも被害を受けやすい。データを参考に、備えを怠らないことが、我々には重要なのだ。