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樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』忙しい「師走」を乗り切る時間術~脳を “騙して” みよう

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.12.13 06:00 最終更新日:2021.12.13 06:00

樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』忙しい「師走」を乗り切る時間術~脳を “騙して” みよう

脳を “騙して” 楽しませよう

 

 今年中に終わらせなければいけない仕事がたくさん残っている……。「ああ、忙しい」「どうやってこの膨大な仕事をこなせばいいんだ」と頭を抱えている人も多いはず。

 

 そこで今回は、1年で最も忙しい師走を乗り切るための時間の使い方、仕事を効率的にこなす方法をお伝えします。

 

 

(1)「忙しい」を「充実」に置き換える

 

 この時期は、つい「ああ、忙しい! 忙しい!」と「忙しい」が口グセになりがちです。しかし、「忙しい」と言えば言うほど、さらに忙しくなるのは、ご存じですか? ほとんどの人は自覚していませんが、脳科学的にそうなるのです。

 

 人間の脳は、「楽しい」と思ったときには、脳内物質のドーパミンが出ることで集中力が増し、脳のパフォーマンスが高まって、仕事の生産性がアップします。

 

 一方で、「苦しい」「つらい」と思えば、ドーパミンは出ません。ストレスホルモンの「コルチゾール」が分泌されるからです。この状態が長期にわたって続くと、脳のパフォーマンスは著しく低下し、意欲、集中力、生産性は大きく下がります。頑張っても頑張ってもミスが増えて、仕事が捗らなくなるのです。

 

「忙しい」は「心」を「亡くす」と書くように、非常にネガティブな言葉です。「苦しい」「つらい」「もうこりごり」「やだ!」という状況で使います。そういうときは、モチベーションが上がらず、仕事が捗らなくなるのは言うまでもありません。

 

 そう考えると、ものすごく「忙しい」ときでも、「忙しい」と言ってはいけない。では、どうするか? 「充実している!」と口にすることです。

 

「今月、仕事がいっぱいで、すごく充実している!」
「コロナウイルスで仕事が減っている会社も多いというのに、こんなに仕事が充実しているなんて!」

 

「忙しい」を「充実している」に置き換えるだけで、非常にポジティブなニュアンスが生じます。そうすると、脳は騙されてドーパミンを出すのです。結果として、集中力が高まり、仕事がものすごく捗り、本当に楽しくなってくるから不思議です。

 

「忙しい」と言えば、作業効率は3割マイナス。「充実している」と言えば、反対に3割プラス。あなたは、どちらの言葉を使いますか?(注:「3割」は筆者の実感値)

 

(2)「師走を乗り切るゲーム」に参加する

 

 さあ「師走を乗り切るゲーム」の始まりです!
 あなたは、仕事が好きですか? おそらく「好きではない」と答える人のほうが少し多いのではないでしょうか。では、ゲームは好きですか? きっと多くの人は、「好き」と答えるでしょう。

 

「仕事をしなければいけない」と思うと「やらされ感」が生じてドーパミンの分泌は減少します。「この仕事はゲームだ。さあゲームを始めよう。なんだかワクワクする」と言えば、本当にワクワクしてきて、自発的に行動する意欲が湧いてくる。その結果、ドーパミンが分泌されるのです。

 

 ハーバード・ビジネス・スクールの研究によると、数学のテストの前に「ワクワクする」と口にしたグループは、「落ち着いて」と口にしたグループや、何も言葉を発しなかったグループと比較して、正答率が8%も高くなったといいます。「ワクワクする」と口にして仕事を「ゲーム」化すると、パフォーマンスの違いが顕著に表われるのです。

 

 また、仕事をゲーム化することで、「楽しい」がより強調されます。師走は一年で最も仕事が立て込んでいる時期。自分は今、この「師走を乗り切るゲーム」に参加していると考え、忙しさを楽しみながら、うまく乗り切ってみる。

 

 それが達成できれば、ほかの時期の仕事は、とても「楽」に感じられるはずです。さらに「仕事力」と「時間管理力」のアップというご褒美も手に入ります。

 

「仕事をやらされている」モードから、「時間を上手に使う、作業を効率化するゲームをしている」モードに切り替えるだけで、作業効率は確実に上がるのです。

 

( 週刊FLASH 2021年12月21日号 )

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