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樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』本番で最大限の力を発揮するための4大ポイント

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.02.21 06:00 最終更新日:2022.02.21 06:00

樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』本番で最大限の力を発揮するための4大ポイント

「緊張する」と思うと緊張する

 

(3)「緊張する」と言わない

 

 会社でのプレゼンテーションの前。多くの人は「失敗したらどうしよう」「緊張したらどうしよう」と不安な気持ちを言葉に出してしまいます。その瞬間「頭が真っ白になって、言葉がひと言もでなくなった自分」「質問に答えられずに、白けた雰囲気になった会場」など、失敗のイメージがありありと浮かんできます。

 

 それはまさしく「ネガティブなイメージトレーニング」。「緊張したらどうしよう」とイメージするごとに、「緊張の回路」が脳内で強化されます。

 

 失敗のイメージトレーニングを1回することに、成功確率は1%ずつ下がると考えてください。毎日「失敗したらどうしよう」「緊張したらどうしよう」と考える人が、本番で成功できるはずがありません。

 

 本番で緊張した自分をイメージするほどに、脳は本番において過剰な緊張を誘発するのです。それが、失敗のイメージトレーニングの “効果” です。

 

 ハーバード・ビジネス・スクールのアリソン・ウッド・ブルックス氏による実験では、カラオケを歌う前に「不安」と言ったグループは、「ワクワクする」と言ったグループと比べて、歌唱得点が27%も低い、という結果が出ました。

 

「不安」や「緊張」を言葉に出す人ほど、本番のパフォーマンスが低いことは、科学的に明らかにされているのです。

 

 実際、緊張しやすい人ほど、「緊張したらどうしよう」が口癖になっていると思います。じつは、それこそが、「緊張の原因」になっているわけですね。

 

(4)感謝の言葉を多く言う

 

 五輪のメダリストのインタビューを聞いていると、「コーチや監督、応援してくれたファンの皆さんに心から感謝します」「自分を支えてくれた家族に感謝します」のように、「感謝」という言葉を連発しているのに気づくはずです。

 

 なぜメダリストは、何度も「感謝」を口にするのでしょうか。それは、言葉にして心から感謝することによって、エンドルフィンという脳のパフォーマンスを飛躍的に高める物質が分泌されるからです。

 

 また、「家族」や「ファン」のために頑張るというのは、「他者貢献」「親切」につながり、そういう状態においては、「愛とつながりのホルモン」のオキシトシンが分泌されます。オキシトシンには、強いリラックス効果があることが、多くの実験で証明されています。

 

 そして、脳の警報装置ともいえる「扁桃体」を抑制する作用もあります。つまり、オキシトシンは緊張や不安を抑制する効果があるのです。

 

 感謝の気持ちを持ち続け、そのことを言葉として表わす人は、オキシトシンが優位な状態が作られます。そのため、本番でも緊張することなく、ふだん以上の実力が発揮できるのです。

 

 反対に、他人の悪口や誹謗中傷が口癖になっている人は、ノルアドレナリンが優位な状態で、脳の警報装置である扁桃体も興奮しやすい状態になっています。これでは、ちょっとしたことで緊張や不安が高まります。

 

 本連載では、繰り返し「他人の悪口は言うな」とお伝えしてきました。それは悪口が多い人ほど過度に緊張しやすく本番で力が発揮できないからなのです。

 

 五輪のメダリストは、世界中の何千万人、何億人の競技者のトップです。彼らの言葉には、究極の成功法則が隠されているに違いありません。選手のインタビューやドキュメンタリー映像なども、「自分に役立つ点はないか」という視点で見ていくと非常におもしろいと思います。

 

 

かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計60万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動

 

イラスト・浜本ひろし

 

( 週刊FLASH 2022年3月1日号 )

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