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食べログPV数が日本1に!サラリーマンが殺到する野菜炒め『ベジ郎』…八百屋社長が明かす、コロナ禍からの大逆転秘話

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.05.27 06:00 最終更新日:2022.05.27 06:00

食べログPV数が日本1に!サラリーマンが殺到する野菜炒め『ベジ郎』…八百屋社長が明かす、コロナ禍からの大逆転秘話

「経営に苦しむ全国の飲食店に『ベジ郎』のノウハウを提供し、出店をサポートしていきたい」と竹川社長

 

 最近、大手定食チェーンや、居酒屋ランチなどでもやたらと目にする野菜炒め定食。その火つけ役となったのが野菜炒め専門店「肉野菜炒め ベジ郎」だ。2021年12月に渋谷総本店がオープン、この4月23日には池袋に二号店を出店。いずれも飲食店が軒を連ねる場所で、連日行列ができている。

 

 定番メニュー「肉野菜炒め」(中盛り700円)は、大量のキャベツやもやし、タマネギを鶏の唐揚げとともに豪快に炒め、最後に背脂をかける。その見た目は、あの「ラーメン二郎」の“野菜マシマシ”を彷彿とさせる。

 

 

「“二郎インスパイア系”のように二郎に影響を受けたわけではなく、ビジネスモデルとして野菜炒めの大衆性を追求した結果です。店名もキャッチーなものを考えていたら、二郎に寄ってしまいました」

 

 そう語るのは、店舗を運営する株式会社フードサプライ代表取締役の竹川敦史さん(42)。ちなみに二郎は好きとのこと。野菜炒め専門店の立ち上げは、コロナ禍の売上減少に悩む青果店の起死回生のアイデアだった。

 

「もともと僕らは飲食店に卸す八百屋で、今5千店舗くらいに野菜を納品してます。コロナ前は1カ月の売上高が5億~6億円くらいありました。それが、2年前の緊急事態宣言で、売り上げが2億円弱になったんです。それでも農家から野菜は届く、お金はない、センターは在庫の山……窮地で仕掛けた『ドライブスルー八百屋』が当たったんです」

 

 2021年、コロナ禍で全国の契約産地での野菜廃棄を防ぐため、人との接触を極力減らしたドライブスルー形式の青果店を東京、千葉から開始。その後、北海道、静岡、大阪、京都など全国で展開した。野菜詰め合わせを3千500円、お米付きを5千円で売り、ブームとなった。売り上げはある程度戻ったが、コロナ禍は続く。次の一手として、自社で扱う野菜を直接消費者に提供できる飲食店を出すことにした。

 

「野菜を食べられる店を考えましたが、サラダだと『量』が出ない。食べ放題の鍋料理などいろいろ検討して、行き着いたのが野菜炒め。食材は自分たちで卸すから在庫管理も自前ででき、まとまった量も安定供給できます。味や調理法、人員の確保など絶妙なバランスで運営しているので、簡単にはまねされません」

 

 しかも、たかが野菜炒めではない。竹川社長は、考え抜いて店を運営している。

 

「野菜の量は、普通が400グラム。マシ(500グラム)、少なめ(300グラム)への変更は無料、野菜マシマシ(50円追加)にすると、600グラムの野菜を食べることになります。これが意外と食べられるんですよ。野菜は量があっても熱を入れると食べやすくなり、食べたときの満足度が高い。肉を唐揚げにしているのも意味があります。揚げ物は面倒だから、家では調理しづらいですよね。野菜炒めとの組み合わせも今までにない」

 

 竹川社長は大学卒業後、食品商社、大手外食チェーンなどを経て、2007年に独立。飲食店経営、外食産業のコンサルティングなどを手掛け、2009年にフードサプライを設立した。

 

「自分がいろいろと飲食系の仕事をしているとき、肉や魚、酒などと違って八百屋には有名な企業がなかった。他方、世間は野菜ブーム。ここにミスマッチがあるから、自分たちがかけ橋になって農家の顔が見えるような企業、八百屋になろうと。自分は二代目ではないですし、地盤もまったくない状態でしたけど、農家、市場、野菜の生産団体などに直接交渉して、少しずつネットワークを広げていきました」

 

 強気に見える竹川社長だが、「ベジ郎」の開店準備を進めるなかで急に不安になったこともあったという。しかしオープン直前にTwitterでバズり、2022年1月の食べログのPV数は日本1位に。

 

「今後は『ベジ郎』というコンテンツを提供してオーナーさんに店舗で営業していただき、僕らは野菜をどんどん供給していきたい。店舗への一日の野菜供給量は、『ベジ郎』はぶっちぎりに多いですから。一般の飲食店は、一日で10キロくらいしか野菜を使いませんが、『ベジ郎』は200キロ以上使う。10店舗に供給すれば、一日2トンにもなる。農家で余った野菜があればそれも使えるんです。ナスが余っているなら『トッピングに使おう』とか。今までの卸の考え方って、飲食店のメニューありきでした。でも『ベジ郎』ならとりあえず仕入れて、野菜炒めに入れられる。全国に野菜の受け入れ先を作り、大きな需要を生み出したいんです」

 

 万人にとって身近な野菜炒めで、新たな地平を開いた「ベジ郎」。今後は利益だけでなく社会貢献も目指したいという。

 

「厚生労働省は、成人が一日に摂取すべき野菜の量を350グラムとしていますが、実際に摂れているのは280グラム程度。『ベジ郎』なら1食で400グラム摂れる。日本人の野菜不足解消を目標とすれば、社会的意義も生まれる。そこはPRしていきたいですね」

 

写真・福田ヨシツグ

 

( 週刊FLASH 2022年6月7日号 )

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