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iPhoneとアンドロイド、充電コードが違うの不便すぎない? EUが決めた端子の規格統一、日本にも波及するか
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.06.09 16:10 最終更新日:2022.06.09 16:15
6月7日、欧州連合(EU)は、域内で販売されるスマートフォンなどの充電器の端子を「USBタイプC」に統一する規制案で大筋合意した。2024年秋までに幅広い機器に適用される見通しで、この影響は日本を含め、世界的な広がりを見せる可能性がある。
新ルールの対象となるのは、携帯電話、タブレット、ヘッドフォン、手持ちのゲーム機、ポータブルスピーカーなど。ノートパソコンにも同様に適用され、メーカーは、新ルール施行後40カ月以内に移行する必要がある。
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この新ルールによって、不必要な充電器の購入費用、年間で約360億円が削減でき、年間1万1000トンの廃棄物を減らせるという。
現在、アンドロイド端末は「タイプC」、iPhoneが「ライトニング」を使用しているが、EUでは、ライトニングは事実上、排除されることになる。
今回の規格統一にはどんな意図があるのか。日本でも規格が統一されるのか。ITジャーナリストの井上トシユキ氏に聞いてみた。
「EUが主に見ているのはアメリカ経済と中国経済。たとえばSDGs(持続可能な開発目標)を率先して掲げるのも、環境を前面に出すことで、経済の主導権をEUに引き戻す意図があります。
インターネットやパソコンはアメリカ主導で開発されてきた。GDPR(一般データ保護規則)も、個人情報の保護を理由に、アメリカの企業にやりたいようにはやらせないぞ、という経済戦略が基本にあります。
充電器の端子をタイプCに統一していくのも、同じ戦略です。主導権は使う側にあるんだ、供給側のアメリカに常にあると思うなよ、ということだと思うんです」
ーー米アップルにとって痛手という意見もあるが。
「2023年後半の新型iPhoneは、ライトニングでなく、USB-Cに変更されます。準備は進めているんです。もともとiPadはタイプCを備えていましたし、USB端子そのものに変わったときも、アップルは素直に従ってきた。早くから両構えで準備していたと思います。
また、ワイヤレス充電に関してはアップルが特許を持っていて、ほぼiPhoneしか備えていません。充電部分での特許を持っているので、特許料は入ってくるんじゃないかと思いますね」
ーー日本でも規格が統一される見込みはあるのか。
「あると思います。ユーザーのほうでも統一してほしいという声は大きい。充電器を2個持ちしている人もいるし、家族が違うタイプで、たくさんのアクセサリを揃えている人もいる。充電ケーブルを忘れて、何度も重ね買いして、家にいくつも置いてある場合もありますからね。
家電製品の操作がスマホでできるようになり、やっとリモコンから解放されてリビングがすっきりしてきた。それなのに、携帯の充電器の端子は乱立しているわけです。おそらく、日本でもこの流れに乗っていくことになるでしょう。EUが率先して進んでいくなら、その流れに乗っていけばいいと思いますね」
ネット上では、EUでの規格統一に好意的な意見が寄せられた。
《良いと思います。世界統一にしてもいいと思う。何種類ものケーブルを持つのは非効率で無駄が多すぎ。iPhoneも早くType-Cにすべき》
《iPhoneもタイプCにしてくれたら本当に助かる。アップルのライトニングケーブルは断線がひどすぎる》
《逆に規格化されることで発展する場合もある。例えばwifiなどはきちんと規格化されているからこそ普及している。すべての機器が統一された規格で接続できるなら良いことだと思う》
充電器の貸し借りが簡単にできるような状況に、日本も早くなってほしいものだ。
( SmartFLASH )