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商船三井も日本郵船も「配当利回り10%超え」いまこそ買うべきか、投資の達人に聞いた
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.06.14 20:08 最終更新日:2022.06.14 20:30
6月14日の日経平均株価は前日比357円安の2万6629円。3日連続の下落で、5月26日以来の安値となった。2021年にはバブル期以来の3万円台をつけたものの、2022年に入ってからは上値が重い展開が続いている。
そんななかで注目を集めているのが「海運株」だ。
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特に「商船三井」(9104)と「日本郵船」(9101)は、配当利回りが14日に一時11%を超えるきわめて高い数値となっており、国内全市場の配当利回りランキングで1位、2位を占めている。ランキング4位には「乾汽船」(9308)が入っており、こちらも7%後半となっている。
配当利回りとは、株価に対し、1年間でどれだけの配当をうけることができるかを示す数値。たとえば、株価1万円に対し、1株あたりの年間配当が1000円であれば、配当利回りは10%となる。投資の判断材料となる数値の一つで、一般的には4%を超えると “高配当株” とされる。
となると、10%超の配当利回りはかなりの高配当株ということになる。バブル期直前(1985年)には5.5%もあった定期預金の金利も、いまや0.002%(メガバンクの場合)。この時代に10%の配当って、すごくお得なのでは?
「一見すると、確かにすごい数字ですが、だからこそ要注意なんです」
そう解説してくれるのは、フィナンシャルプランナーの松岡賢治氏。証券会社勤務経験もある “マネーの達人” だ。
「長らく低迷していた海運株が上がったのは、2021年春から。その背景には、アメリカの景気の急上昇があります。そこに世界的なサプライチェーンの再構築もからみ、海運の運賃が高騰したのです。もともと海運は景気敏感株とされており、一気に株価が何倍にもなることがあります」(松岡氏)
日本郵船の近年の年初の株価をみると、2019年は1651円、2020年は1950円、2021年は2410円。それが2022年には8830円となっている。6月14日現在では9660円だ。
「一気に何倍にもなりますが、その逆もあるということです。海運各社は、2021年春から業績を一気に伸ばし、大きな利益を稼ぎ出したことは事実です。それが高配当にもつながっています。
ただ、これがいつまで続くのかは、あくまで不透明。カギを握るのはやはりアメリカ経済です。世界中の投資家が注目していますが、現状では近いうち、2023年前半にもリセッション(景気後退)があるという見方が優勢です。
そうなれば、海運株は一気に暴落します。配当金もあくまで予定なので、下げられることは間違いない。そもそも配当以前に株価が暴落しては、投資としては大損です」(同)
高配当を目当てに、簡単に手を出すのは危険だということだ。
「そもそも10%という配当利回りの数字自体、株を知っている人間からすれば “危険信号”。その株そのものに魅力があれば、配当が低くてももっと買われるはず。魅力的な株なら10%という利回りがつくはずもなく、機関投資家たちも放っておかないはずですから。
もちろん、今後も海運業績の好調が続く可能性もあります。買うなとは言いませんが、世の中の動向を、より慎重に見極めることが大事でしょうね」(同)
「貯蓄から投資へ」ーー現政権が掲げる「資産所得倍増プラン」に実効性があるかどうかは別として、今の時代を生きるにあたり、投資に対する最低限の知識は持っておくべきだろう。
※本記事は株式投資を推奨するものではありません。投資は自己判断でお願いします。
( SmartFLASH )