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推定資産1000億超! “世界三大投資家”ジム・ロジャーズ「僕が100万円のへそくりがあるサラリーマンだとしたら」

ライフ・マネー 投稿日:2022.07.31 06:00FLASH編集部

推定資産1000億超! “世界三大投資家”ジム・ロジャーズ「僕が100万円のへそくりがあるサラリーマンだとしたら」

“世界三大投資家”ジム・ロジャーズ

 

「安倍晋三元首相の死によって、日本は防衛費の増額を優先させるでしょう。

 

 それが彼の悲願であり、その意向を汲むことが、政府のモチベーションにもなっているからです。しかしそれは、誤った選択だと思います」

 

 現在、シンガポールに拠点を置き、母国アメリカと行き来するジム・ロジャーズ氏(79)はそう語る。

 

 

 ロジャーズ氏は大局的な視点で市場をとらえた中長期投資を得意とし、ジョージ・ソロス氏(91)、ウォーレン・バフェット氏(91)と並ぶ “世界三大投資家” の一人だ。

 

「私がもし日本の政治家なら、防衛費の増額ではなく、少子化対策や、財政の立て直しを優先します。

 

 そうしないと、日本がこの先も安全で豊かな社会が続く見通しは絶望的だからです。今後はこれまで以上に、自分で自分の面倒を見なければならない時代になるでしょう」(ロジャーズ氏、以下同)

 

 だが、50代まで投資経験のないサラリーマンが、今から投資を始めて “自分の面倒を見る” ことは可能なのか。

 

「もし貯蓄がないなら、お金を貯めながら、辛抱強く投資の機会を待つことです。今の日本は2009、2010年から続く上昇相場の終盤戦、野球でいえば9回に突入していると思います。しかし、延長戦はあるかもしれません。バブルの最後はすべての株が不相応に上がりますが、まだそうではないからです」

 

 バブルが終わるころには、多くの人がインターネットなどから得た情報を鵜呑みにし、一獲千金を目指して投資を始めてしまう。

 

「誰もが一夜にして億万長者になることを夢見ますが、そう簡単にはいきません。あなたが50代なら、自分が長年興味を持ってきた業界やジャンルがあると思います。

 

 たとえばファッション好きなら、毎日自ら進んで新しい情報を得ているし、流行の進化も見続けているでしょう。

 

 ある企業が躍進する前兆は、服装に興味を持っている人のほうが、無頓着な私なんかよりもずっと早く気づくはずです(笑)」

 

 自分の得意分野であれば、 “世界的投資家” よりも早く、企業の将来性を見極めることができるというわけだ。

 

「そして『この会社が伸びそうだ』と思ったら、企業のホームページで財務報告を読んで自分の考えが正しいことを確認し、思い切りよく投資する。そして、再びじっくり待つのです。それが、あなたが成功する方法です」

 

 では、ロジャーズ氏自身は何に投資しているのか。

 

「私は最近、金や銀、原油やエネルギー関連商品などのコモディティ(商品先物)を買っています。インフレがさらに高まると思っているからです。鉱山会社の株にも注目していますが、それらの企業について熟知していないので、まだ購入はしていません」

 

 推定資産は1000億円超ともいわれるロジャーズ氏。仮に自分が100万円のへそくりがあるサラリーマンだとしたら、何に投資するのか。

 

「本当は、私は日本の農地を買い、農業ビジネスへ投資したいと思っています。

 

 私は、日本の農業に大きな期待を寄せています。たとえばイチゴや桃、ブドウなどは、世界的に高い競争力を持っており、私の暮らすシンガポールでも、高級食料品店で売られています。

 

 それくらい日本の農産物のレベルは高く、世界に目を向ければ、新たな市場を獲得できるはずです。皆さんも、本当は自ら農家になって、作物を育ててお金を稼ぐのがいちばんいいと思います。

 

 しかし私を含め、農家を経営して成功できる人は多くはないですよね(笑)。それなら、農業系のETFやETNを、毎月自分で積み立てていけばいいのです」

 

■1株110円台から農業ETFは買える

 

 ETFとは「上場投資信託」、ETNとは「上場投資証券」のこと。証券会社に口座があれば、簡単に買える。

 

「私は米国市場で『ロジャーズ・インターナショナル・コモディティ・インデックス農業ETN』を監修し、最高の成績を上げています。日本市場では大和証券で、穀物を組み込んだ投資信託『ダイワ/ロジャーズ国際コモディティ(TM)・ファンド』を購入することができます」

 

 一方、東京証券取引所には、農業系のETFが5銘柄上場している。すべてが「ウィズダムツリー」という運営会社が提供するものだ。

 

 たとえば「ウィズダムツリー小麦上場投資信託」は1株111円で100株単位、「農産物上場投資信託」はコーヒーや砂糖、綿花などで構成され、1株829円で10株単位で購入できる(価格は7月22日の終値)。

 

「じつは、私が監修している銘柄などを例外として、農業関連銘柄の多くは数十年間上昇しておらず、私の人生のなかでも特にパフォーマンスが悪いんです(苦笑)。

 

 しかし、農産物の価格はここ数十年間伸び悩んでいましたが、コロナ禍やウクライナ危機で生産高が減り、このところ上昇しています。

 

 さらに、各国の中央銀行がおこなってきた大量緩和で貨幣の価値が下がっていますから、さらに農産物の価格は上がっていくでしょう」

 

 ロジャーズ氏の新刊のタイトルは『世界大異変』(東洋経済新報社)。こんな時代こそ、自己責任での “一歩” が必要だ。

 

ジム・ロジャーズ
イェール大学、オックスフォード大学卒。1973年、ジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを設立し、10年間で4200%という驚異的なリターンを上げた

 

写真・共同通信
企画/構成・鈴木隆祐
取材協力・花輪陽子、アレックス・南レッドヘッド

 

( 週刊FLASH 2022年8月9日号 )

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