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人生のこだわりは「27歳までに天職に」見つけたのは飲食店ライフ・マネー 2017.05.18

『写真:AFLO』

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 自らの天職を飲食業と決めた男。見習い修業の末、30代で3店舗を開店させた。

 小嶋健太さん(39)は東京の町田市で3店舗の飲食店を展開する経営者だが、その名刺には「夜明け前」という会社名の上にロゴマークが入っている。そのマークがユニークだ。人という字に三角形の山の稜線が重なり、その山の端から赤い太陽が昇る図だ。この会社名とロゴマークに小嶋さんの経営理念が表われている。

 

「太陽が昇ったことを成功とすれば、夜明け前は挑戦し続ける姿勢、成功の一歩前と考えることができる。常に何かに挑戦し続ける集団でいたいと思って、社名に使った。会社のロゴは山の端の陽が昇るところに、人という字が入っている。人の上に陽は必ず昇るという意味。僕にとっていちばん大切なのは人で、お客様、従業員とその家族」(小嶋さん、以下同)

 

 小嶋さんはデザイン学校でコピーライティングの勉強をした。卒業後はコピーライティングの仕事や、バックパッカーの体験記を書いたりしていた。それが会社や店の印象に残るネーミングに生かされている。

 

 物を書く仕事だけでは食べていけないので、飲食店でアルバイトをした。そのときの接客態度を見て「うちで働かないか」と声をかけてくれたのが、多摩地区で時間貸しの駐車場を経営していた社長。

 

 営業職は初めてだったが、23歳から27歳までトライした。営業の内容は、空き地と月極めの駐車場を探して所有者を調べ、時間貸しの駐車場を造る交渉である。相手を不快にさせない交渉術が、後の接客に大いに役立った。

 

「昔から天職に就きたいというこだわりがあり、27歳までに見つけようと考えていた。その年になり、これまでの仕事を振り返った。飲食店がいちばんよかった。過ごした時間の長さだけでなく、携わった人たちから評価されたときの喜び。それがモチベーションになって、上昇志向が生まれた。飲食業こそ天職だと思った」

 

 サラリーマンを辞めて飲食店を開くことを計画した。そして、どんなスキルが必要なのか考えた。いちばん足りないのは料理だった。

 

 日本料理を食べ歩き、一軒の料理屋に給料は要らないからと弟子入りを願い出た。27歳からの遅い修業は追い回し(使い走り)から始まった。兄弟子に追いつくために倍以上働いた。店からは家賃を払えるだけの給料がもらえ、1年半、料理の基本を学ぶことができた。

 

 次に繁盛店を作るには何が重要かを考え、町田で40年以上の人気を誇る老舗の居酒屋に入り、システムを学んだ。店の厚意で朝の仕入れ、掃除、仕込み、営業、片付けと経理という一連の仕事をやらせてもらった。

 

 そしてその店のスタイルを自分の店に持ち込んだ。4年にわたる修業期間を経て31歳のときに1軒めの居酒屋「この世の天國」をオープン。次がワインダイニング、その次が朝まで営業の居酒屋&洋食屋と、業態の違う3店を開店させてきた。

 

「町田は居酒屋の消長が激しく、1店の9年間は長いほう。初めは多店舗展開の予定はなかったし、法人にするつもりもなかった。

 

 しかし、2店めを作るきっかけとなった仲間とか、慕って来てくれている従業員にとって環境がよく、その人のスキルが生きる場所を作りたい、と思い始めたのが法人化のきっかけで、僕にとっての転機だった」

 

 会社を作り法人登録をしたのは平成21年の暮れだ。従業員が多くなれば社会保険やその家族のことも考えなければならない。現在の正社員数は11人、それにアルバイト。店舗展開のビジョンがなければ法人化する意味がない。しかし、外食産業には逆風の吹くこの時代。ただでさえ客の財布の紐が固くなっていて、店を出せば人が入る時代ではない。千円でベロベロに酔える「せんべろ」のような店と、しっかりとした酒、料理とサービスを提供できる店の二極化が進んでいる。

 

「数ではなく強い店を作らなければ淘汰されていく。居酒屋という古きよき大衆文化の形態を、ほかの街に広げたい。基本は同じで客単価は3000~3500円。普段使いの人たちが毎日来ても飽きないように、目の前の大皿料理や美味しい刺身が提供できて、街の老舗として残る店を作りたい」

 

 じつは、小嶋さんの頭の中では新店を出す街も決まっている。後はタイミングだけだ。

 

「これからは僕が現場に出なくてもいい状況を作り上げて、社長業にもう少し時間を割かないと、増え続ける従業員のケアが十分にできない。ただ、現場にも出ないとお客様の生きた声が聞けないし……」

 

 人の評価が小嶋さんの人生を決めてきた。社長業か現場か、次は自分で決める番だ。

(週刊FLASH 2017年5月30日号)

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