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女性誌の“セコセコ”節約術は効果があるのか?チリツモ貯金、ポイ活にも落とし穴…森永卓郎氏ら専門家がバッサリ

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.11.05 06:00 最終更新日:2022.11.05 06:00

女性誌の“セコセコ”節約術は効果があるのか?チリツモ貯金、ポイ活にも落とし穴…森永卓郎氏ら専門家がバッサリ

スーパーで買い物する女性

 

 物価高騰が止まらない。その一因である円安も続いており、日米の金利差が為替に影響しているにもかかわらず、日銀は10月27・28日の金融政策決定会合で、大規模金融緩和策の維持を決めた。私たちの生活を直撃する値上げラッシュは終わりがみえない。

 

 庶民の窮状を受け、女性誌では「スーパーマーケット総選挙」(「女性セブン」)や「食費1か月1万円生活」(「週刊女性」)などの “節約術” の記事が毎週のように誌面を賑わせている。

 

 

 しかし、日常の買い物などでの倹約で、本当に生活防衛はできるのか。実際に誌面に掲載された節約術の効果のほどを、識者や都市銀行員が直言する。

 

<節約術>ーー買い物に行く前に冷蔵庫を空にする

 

 食材の無駄買いを減らすためだが、エコノミストの森永卓郎氏(65)は「安いときや特売のときに買えなくなってしまいます」とバッサリ。

 

<節約術>ーー買い物に行く前に冷蔵庫の中を写真に撮る

 

 ダブリ買いを防ぐためだが、「そうしないと冷蔵庫の中がわからないなんて、ものを入れすぎているか、とてつもなく記憶力が悪い(笑)」(森永氏)。

 

<節約術>ーースーパーでは飴をなめながら買い物する

 

 口寂しくならないため、冷静に買い物ができるそうだ。しかし「デブになります」(森永氏)。他方、同意の声もある。

 

「空腹こそ節約の敵。なかなかいいアイデアだと思います」(都市銀行員)

 

<節約術>ーーレジの前に行ったらひとつだけ商品を返す

 

 購入品全体を見直すことで、本当に必要なものかを考えるためのようだ。

 

「最初からカゴに入れなきゃいいでしょう」(森永氏)

 

<節約術>ーー小銭で “チリツモ貯金”

 

 割引などで得をした際、そのぶんは使ったつもりで貯金にまわせばいいという。

 

「現金を使っている時点で節約ができていない。クレジットカードやスマホ払いならポイントが貯まる」(森永氏)

 

「貯まった小銭は最後、両替する必要がありますが、最近は両替もタダではないので微妙ですね」(都市銀行員)

 

<節約術>ーー “ポイ活” をする

 

「ポイント活動」の略で、クレジットカードやスマホ決済などで付与されるポイントを積極的に貯めることを指す。家計再生コンサルタントの横山光昭氏はこう述べる。

 

「お財布に無理なくポイントを貯められるなら問題はありません。ただ結局、お金を使わないと享受できないわけですから、使うということを促されるわけです。そもそも、今から買おうとするものが必要かどうかひと呼吸置いてみる。そうしないと、私たち消費者はそのシステムに踊らされてしまいます。僕はあんまりポイントは気にしないタイプで、投資の際に楽天カードを使うので、楽天ポイントが貯まっている程度です」

 

「昔から言われているのは、スマホ決済やクレジットカードは、消費を増やす傾向があるということ。ポイントがつくとしてもです。結果、節約できない可能性が高い」(都市銀行員)

 

<節約術>ーーお金をかけずにレジャーを楽しむ

 

 休日はショッピングモールに行くのではなく、庭でバーベキューをする、公園に行くなどで出費を抑えるという。

 

「ショッピングモールに行くほうが、バーベキューよりも安いと思います。食材も高くなっているので」(都市銀行員)

 

 昭和の時代から、節約術は、女性誌のキラーコンテンツだ。だが、細かくて面倒なことはまっぴらごめんという御仁も多いだろう。この時代を乗り切る本質的な手段はないか。森永氏は大胆な策を提示する。

 

「今すぐ、東京や大阪といった大都市を捨て、50kmくらい離れた郊外に引っ越すべきです。私は、もう30年も2拠点生活を続けていて、私のように “トカイナカ” (埼玉県所沢市)に引っ越せば物価は3割下がります。自分で畑をやれば、半額以下にできます。65歳を過ぎての移住は手遅れになるので、決断は今です。

 

 仕事をリモートに切り替えればトカイナカ暮らしは成立します。私自身も東京にはなるべく行かず、仕事の8割はリモート。たとえば、現在取材は100%、Zoomか電話で受けていますし、ラジオや大学の大教室の講義も自宅からやっています。対面は、少人数のゼミだけです」

 

 横山氏は「投資」に力を入れるべきと話す。

 

「基本的には積立投資信託がおすすめです。今のように株価が低いときには多く買い、高いときは少ない量を買うことで、長期的にはかなりの確率でプラスに転じます。応用編として、『ETF』という上場されている投資信託があり、とくに、アメリカの上場企業の株をまとめて買える『VTI』や『VOO』、全世界が対象の『VT』が高配当を期待できます。楽天証券やSBI証券などを介して、インターネットで気軽に買えます。円安とはいえ、やはり資産のすべてを円で持つことは危険。たとえばここ1年で使う予定があるぶんは円で持っておく必要がありますが、3年以上使わない資金はドルなどで持っておけば安全です」

 

 先の読めない今、必要なのはセコい節約術ではなくライフスタイルの変更と、資産を増やす努力だ。

 

写真・長谷川 新、岩松喜平

( 週刊FLASH 2022年11月15日号 )

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