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樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』徳川家康が健康で長寿だった7つの理由

ライフ・マネー 投稿日:2023.01.30 06:00FLASH編集部

樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』徳川家康が健康で長寿だった7つの理由

徳川家康が健康で長寿だった7つの理由

 

 NHK大河ドラマどうする家康』がスタートしました。書店には家康関連の書籍が並び、家康ブームが巻き起こっています。

 

 家康は数え年75歳(満73歳)で亡くなりました。当時の平均寿命は30代半ばから40代前半といわれますから、その約2倍の長さ。当時としてはきわめて長寿だったといえます。家康が豊臣氏を滅ぼし、天下人としての地位を確立したのは74歳のとき。家康といえば、「鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥」の句で有名ですが、「我慢強さ」だけではなく、「健康」「長寿」でなければ、天下人にはなれなかったのです。

 

 

 昨年10月の当連載では「エリザベス女王が健康で長寿だった7つの理由」について解説しましたが、今回は同じテーマを家康で考えます。

 

■(一)健康について積極的に学ぶ

 

 家康は「健康オタク」として知られています。健康のための生活習慣について学び、病気の予防を心がけていたのです。

 

 家康は『和剤局方』『本草綱目』など、中国から取り寄せた漢方の医学書、薬学書を愛読し、自ら薬を製剤・調合し、服用していたといいます。ときに侍医を言い負かすこともあるほど、医学の知識にも精通していました。

 

 家康の側近である天海上人は、秀忠、家光と合わせ3代の将軍に仕え、108歳まで生きたといわれます。家康はその天海からも健康長寿の秘訣を伝授されていたはず。家康の健康法は、当時としては最先端のものであったに違いありません。

 

 家康が亡くなったのは1616年ですが、さかのぼって関ヶ原の合戦(1600年)のころの家康は、かなりの肥満で褌(ふんどし)の紐を自分で締めることができず、侍女に締めてもらっていたという逸話もあります。肖像画の家康は、かなり恰幅よく描かれています。

 

 また、家康は糖尿病だったという説もあります。肥満や病気によって体調が万全でなくなったという失敗体験をバネに、家康は「健康オタク」に転じた可能性が高いのです。

 

■(二)麦飯、玄米、一汁一菜

 

 家康の食事は、麦飯、玄米に具だくさんのお味噌汁で、一汁一菜のシンプルなものを好んでいたようです。「粗食」と表現されることも多いのですが、たくさんの栄養素をバランスよく摂取できる、究極の健康食といえます。玄米は、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、食物繊維は白米の6倍も含まれています。

 

 日本人は世界的にも長寿ですが、その理由は、一汁一菜の伝統的日本食にあるとする研究もあります。ただ、日本人も脂っこいものやジャンクフードをよく食べるようになったことから、この先日本人の平均寿命が高いままでいられるかどうかは、まったく不明です。

 

 ビタミンやミネラルは野菜や果物に豊富に含まれますが、家康の時代は旬の野菜からしか摂取することができなかったので、季節によって偏りが出てしまいます。その点、毎日食べる主食を麦飯や玄米にすれば、ビタミンやミネラル、食物繊維を一年を通して、しっかりと摂取することができます。ちなみに私も毎日、玄米を食べています。

 

 天下人であった家康は、当然、麦飯や玄米に比べて高価な白米を食べることもできたはずですが、味や贅沢さよりも栄養を重視していたわけです。

 

■(三)よく噛んで食べる

 

 家康は自らの健康法を「健康十訓」として残しており、その第一訓には次のように書かれています。

 

「一口、四十八回噛む」

 

 食べ物を口に入れたら48回は噛む。つまり、よく噛んで食べなさいということです。

 

 当時の麦飯は押麦ではないので、かなりの歯ごたえがあったはず。麦飯や玄米を食べるということが、そのまま「よく噛む」ことに通じるわけです。

 

 よく噛んで食べると、脳内物質のセロトニンが活性化します。セロトニンが活性化すると、気分が安定して、集中力もアップするので、仕事のパフォーマンスが上がります。

 

 また、よく噛んで食べることは、認知症予防にとても役立ちます。噛むことが脳に適度な刺激を与え、老化防止につながるのです。逆に残存歯が少ないなどの理由で、よく噛んで食べることができない人ほど、認知症のリスクが高まります。

 

 また、老化の初期段階の徴候としては「噛めない」「飲み込めない」ということが挙げられます。これを専門用語では「オーラルフレイル」(歯や口の機能の虚弱)と言います。噛めない、飲み込めない人は、食事がとれなくなるので、急速に老化が進み、誤嚥性肺炎で亡くなる確率も高まるのです。

 

( 週刊FLASH 2023年2月7日号 )

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