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白鴎大・岡田晴恵氏 “コロナの女王”が提言「医療第一にして経済を動かすのが21世紀型の感染症対策」【さらばコロナ禍・専門家を直撃!】
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2023.05.11 06:00 最終更新日:2023.05.11 06:00
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、ついに季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行。感染爆発期、ワイドショーに引っ張りだこだった専門家たちはいま、何を語るのか。“コロナの女王”の異名を取った、白鴎大学教授の岡田晴恵氏を直撃した。
一躍、時の人になった岡田氏だが、テレビ局が注目したのには理由がある。これまでに100冊を超える感染症関連の著書を出し、しかも専門書だけでなく、なかにはパンデミックを予見した、フィクションもあったからだ。
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さらに岡田氏は2022年末、小説『コロナの夜明け』(KADOKAWA)を上梓した。
「多くの報道番組に出演した実体験から、小説では架空の番組を設定。報道人をはじめ専門家や政治家など、コロナ禍で闘う人々の葛藤を記しました。登場人物のほとんどに、実在のモデルがいます」
登場するのは検疫官、臨床医、看護師、保健所職員や高齢者介護施設の施設長や遺族、政治家や弁護士、大学生や舞台を失った芸人らだ。岡田氏はそれらのモデルに取材を重ね、コロナ禍の3年間を物語に昇華させた。
「武漢でウイルスが発生して以来、私は連日、パンデミック対策の説明や提言をしてきました。しかし、政府の専門家は、科学的にあり得ないような施策をおこないました。私は法を順守したうえで、初期は感染爆発を抑え、その間に医療を整備して、患者が迅速に受診できる体制作りを訴えました。発熱外来、投薬、大規模医療施設などの必要性について、田村(憲久)厚労相(当時)とも情報共有し、一緒に動いていたのに、政府専門家の賛同は得られず、人流抑制、自粛の声ばかり。結果、入院できず自宅や高齢者福祉施設で多くの人が亡くなり、後遺症で苦しむ人も現れました。オミクロンでは、高齢者福祉施設でクラスターが多発し、積極的な治療ができずに死亡者が大勢、出ました。無念です。先に医療を拡充したほうが、経済も早く回復したのではないか。医療第一にして経済を動かすのが、21世紀型の感染症対策だと思います」
おかだはるえ 専門は感染免疫学、公衆衛生学。医学博士(順天堂大学)。国立感染症研究所、ドイツ・マールブルク大学ウイルス学研究所、経団連21世紀政策研究所などを経て現職
文・鈴木隆祐