4~5月に茨城県と東京都で麻疹(はしか)の患者が計3人確認された。茨城県では4年ぶり、東京都では3年ぶりになる。
「茨城県の30代男性患者は4月14日にインドから帰国、新幹線で新神戸~東京間を移動しました。帰国から1週間後に発熱やせきの症状が出て、23日には発疹が現れたといいます。
その患者と同じ新幹線に乗っていた都内の男女に感染が確認されたため、自治体が移動経路などの情報公開に踏み切りました」(社会部記者)
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厚生労働省のホームページには、《麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症として知られています。麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症します》とある。
症状については《感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています》というから軽くみてはいけない。
そしてこの麻疹、今後も増加する可能性が指摘されているのだ。いとう王子神谷内科外科クリニック」の伊藤博道院長に話を聞いた。
「新型コロナ禍前の2018~2019年、10代・20代を中心に小さな流行がありました。その後、新型コロナの流行で人の移動が減り、感染対策として『3密を避ける』『マスクをつける』『手洗いうがい』などが徹底されたため、麻疹も封じ込められていました。
しかし、発展途上国などでは麻疹が蔓延していたので、新型コロナが5類感染症になり、人の往来が戻るとともに患者も増えてきたのです」
さらに伊藤院長は「この数字は氷山の一角」と指摘する。
「感染初期のおよそ3日間はカゼと見分けがつきませんから、病院で受診することなく外出をしてしまうことがあると思います。しかし、その時期も感染力はとても強いので、すでに何倍もの感染者がいると思われます」
仮にすべての人が免疫を持っていないとして、1人の感染者が何人に感染を広げるかを示す「基本再生産数」は、12~18人とされている。
有効な予防法はワクチン接種だ。過去に2回予防接種を受けていれば大幅に感染リスクは下がるが、国が接種を推奨する「定期接種」となっていたかは世代によって違う。
厚生労働省によると2000年4月2日以降に生まれた人は2回のワクチン接種を受ける機会があったが、それ以前に生まれた人は定期接種としては1回だった。1972年9月30日以前に生まれた50代で、ワクチン未接種でかつ感染していなければ注意が必要だ。
( SmartFLASH )