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世界の車窓から消えた、美しき廃墟駅!砂漠のど真ん中、雲の上……日本では考えられない圧巻のスケール

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2023.06.18 06:00 最終更新日:2023.06.18 06:00

世界の車窓から消えた、美しき廃墟駅!砂漠のど真ん中、雲の上……日本では考えられない圧巻のスケール

世界一豪華な「元廃墟駅ホテル」/カンフランク駅(スペイン、アラゴン)

 

 鉄道駅としての役目を終えつつもそこに残り、土地特有の風土や歴史を今日に伝えるーー。話題の写真集『絶対に停まらない 世界の廃墟駅』より、今では列車が不通となった世界中のユニークな駅を4大陸別に一挙紹介!

 

 世界129カ所の廃墟となった駅の写真を収録した『絶対に停まらない 世界の廃墟駅』の編集者・尾崎憲和氏が、廃墟駅について語る。

 

「鉄道の隆盛と凋落によって生まれた『廃墟駅』の特徴は、数ある廃墟の中でも身近だということです。身近さには、二つの意味があります。

 

 

 一つは地理的な近さです。飛行機や自動車が今のように普及する以前、移動や輸送の中心は鉄道と船でした。陸上では鉄道に沿って人の暮らしが営まれ、多くの人が利用する場所に駅はありました。

 

 もう一つは時間的な近さです。鉄道が歴史に登場するのは、18世紀後半の産業革命以降で、世界中に鉄道網が張り巡らされたのはせいぜいここ100年ほどのことです。

 

 つまり廃墟駅は、この100年の間に生まれ、役割を果たし、そして打ち捨てられた “若い廃墟” なのです。ぜひ、美しい写真を味わいながら、駅の在りし日の姿、そしてこれからの歴史に思いを馳せてほしいです」

 

<ヨーロッパ編>

 

(1)世界一豪華な「元廃墟駅ホテル」/カンフランク駅(スペイン、アラゴン)

 

 1915年建設。1928年、スペインのサラゴサとフランスのボルドーを結ぶ国際鉄道の中継駅としてオープン。1970年にフランス側で鉄橋が大破する事故が起き路線が廃止。以降、廃墟と化したが、今年1月、高級ホテル「Canfranc Estacion」としてオープン。客室は全104室あり、プールや3つのレストランも併設されている。

 

(2)174年の歴史を経てカフェに姿を変えた/ヒストン駅
(英国、ケンブリッジシャー)

 

 1847年に開業したこの駅は、農産物、とくに果物の輸送を扱うためのものだったが、貨物輸送は1966年に、旅客は1970年に廃止された。駅の敷地は部分的に取り壊され、ホームと小さな建物が撤去されたが、駅舎は残った。2021年からはカフェ「THE STATION HOUSE」として営業中。ケーキやワッフルが人気だという。

 

(3)城であり、駅でもあった/ハルト・ロワイヤルダルデンヌ駅(ベルギー、アルデンヌ)

 

 かつては王族が所有する駅を持つ巨大な城で、のちに高級ホテルにもなったが、現在残っているのは銃眼付きの塔とゆったりした曲線を描く古い壁だけ。城は1874年に建てられ、駅は1896年に開業。ベルギー鉄道の166号線がすぐ横を通っている。鉄道は今も運行されているが、駅は1909年に閉められ、以来打ち捨てられている。ホテルとして使用されていた城は、1968年に全焼し取り壊された。

 

アメリカ大陸編>

 

(4)南米有数の豪華絢爛な駅は一大観光地に/ジェネラル・アルティガス駅(ウルグアイ、モンテビデオ)

 

 ウルグアイの首都モンテビデオ市の中心駅で、国内外のさまざまな地域との間を結ぶ列車の発着点だった。開業は1897年、廃止は2003年。歴史的な建築の美しさは今でも高く評価され、観光地として人気を博している。設計者はイタリア人。

 

(5)開業当時、世界で最も高かった駅/ミシガン・セントラル駅(米国、ミシガン州、デトロイト)

 

 1914年開業。開業時、世界で最も高い18階建ての駅ビルだった。1988年に営業終了。30年間放置されたあと、フォード社が駅を買収。荒廃した街の再生の象徴とすべく、新しい「ミシガン・センター」の中心地として現在改装中。

 

(6)標高4,000m超え雲の上にある!/カイぺ駅(アルゼンチン、サルタ州)

 

 1959年、トランス・アンデス・サルタ−アントファガスタ鉄道が、硫黄鉱山採掘のため、海抜4233メートルのこの地まで支線を敷いた。1991年に閉山したが、線路は残された。現在、アンデス山脈の絶景が楽しめる観光列車「雲の上の列車」が走る。

 

<アフリカ編>

 

(7)「名もなき駅」は不毛の砂漠のど真ん中に/第6駅(スーダン

 

 完成は1897年から1898年。ヌビア砂漠の真ん中、エジプトとの国境付近のワジ・ハルファとアトバラ間にあり、ただ番号で呼ばれる。地下水と近くの検問所のために作られたのだろう。今はワジ・ハルファを通過する列車さえ、たまにしか来ない。

 

(8)野生馬が棲む砂漠の「映える廃墟」/ガルブ駅(ナミビア、カラス州)

 

 ナミビア南部のナミブ砂漠に位置。1906年に海沿いの町リューデリッツからの鉄道沿いに建設された。貴重な地下水源があり、野生の馬の生息地でもある。砂漠にぽつんと佇むさまが「映える廃墟」として話題に。最近、4人の若い観光客が壁に落書きをして写真をSNSに投稿、炎上した。

 

<オセアニア編>

 

(9)蒸気機関車の盛衰と運命を共にした/フェアライト駅(ニュージーランド、オタゴ地方)

 

 1878年開業。ニュージーランド南島の南、クイーンズタウンから約45分の場所に位置。定期運行は1937年までだったが、それから「キングストン・フライヤー」というヴィンテージの客車を牽引した観光蒸気機関車が、運行と休止を繰り返した。現在は期間限定で運行中。

 

(10)「青色のトンネル」を抜けた先にある/へレンズバラ駅(オーストラリア、ニューサウスウェールズ州)

 

 イラワラ鉄道の単線区間のトンネル間に1889年に建てられたが、炭鉱地域で傾斜がきつくトンネル内の空気も悪いため迂回路線が作られた。1915年に新駅が完成し、旧駅は廃止になった。近くのトンネル内は国内有数の土ボタルの生息地であり、発光で青一色になる幻想的風景が見られる。

( 週刊FLASH 2023年6月27日号 )

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