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「国立進学校バカでも入れます」提言にほくそ笑む私立高ライフ・マネー 2017.09.02

『写真:AFLO』

『写真:AFLO』

 

「筑駒(つくこま)」の名前で、エリート進学校として有名な筑波大学付属駒場中・高校が、文科省の有識者会議での提言に困惑している。

 8月29日にまとまった「国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革」に関する報告書で、有識者会議は、国立大学付属高に対し、入学試験を学力試験ではなく抽選で、という提言をおこなった。

 筑駒は2017年、東大に102名の合格者を出している超エリート校。もし抽選で誰でも入れるようになれば、生徒の学力が大幅に低下し、東大への進学者が激減することは必至だ。せっかく今まで築いてきたブランドもあっという間に消えてしまうだろう。

 現場はどう考えているのか。本誌が筑駒の副校長に話を聞いたところ「この件に関してコメントすることはできない。すべての取材に同じ対応をしている」とのこと。

 一方、付属校を担当する筑波大学の宮本信也副学長は、読売新聞の取材に対して、「抽選で合否を決めれば生徒の学力に幅が出て、教育の質を保てなくなる」と発言している。

 そもそもなぜこのような提言が行われたのか。文科省の資料には「附属学校の本来の使命・役割に立ち返り、多様な入学者選考の方法を実施すべき」とあるだけで、明確な理由はよくわからない。

 文科省担当者に問い合わせると次のように話した。

「報道では、すべての付属高に抽選を提言したように受けとめられていますが、一般的なレベルの学校のモデル校を目指すのか、進学校のレベルのモデル校を目指すのかによって話は変わってきます。すべて一律の抽選ではなく、最終的な判断はそれぞれの学校の裁量によります」

 すべてを抽選にするわけではないと話すが、提言では「学力テスト等を課す場合もその割合を下げる」よう求めており、なるべく入試のハードルを下げたい意向があるのは間違いない。

 実際、学校側は強く警戒している。それは、こうした国公立校の入試への介入は前例があるからだ。

 かつて東京都、千葉県、愛知県、三重県、岐阜県、福井県が採用した「学校群制度」である。学校間に格差があるのはおかしいという批判を受け、平等を図るため導入したものだ。

 1967年、東京都は都立高校入試にこの制度を採用した。学力試験の科目数を9から3に減らし、内申書を学力試験と同等に重視。本人の希望に関係なく合格者を学校群内の各校に割り振ったため、都立高の人気は急落した。

 この結果、1964年に192人の東大合格者を出していた全国トップのエリート進学校「日比谷高校」は大打撃を受け、東大合格者数は年々減少。1990年代には一桁台まで落ちる事態となった。

 当時の状況を、日比谷高校出身の故町村信孝元外務大臣は2014年の『週刊朝日』のインタビューでこう話している。

「日比谷つぶしだと感じました。学校を選べなくなったため、成績優秀な生徒が私立を選択するようになり、都立高校全体の進学実績が落ちました。脈々と築き上げてきたよき伝統が学校群制度によって崩れてしまった」

 都立高を壊滅させた学校群制度は、石原都知事によって、2003年度入試から全廃された。日比谷高校の副校長が言う。

「学校群制度によって、東大合格者200名は維持できなくなりました。時間をかけ、ようやくいまでは54名まで戻すことができている状況です。

 学校としては、設置者である東京都の政策に従うほかありません。筑駒の件も、設置者の政策に左右されるでしょう。かつての本校のケースを考えれば、入試方法によって学力が低下する可能性もあります」

 日比谷高校の衰退で、トクしたのは優秀な生徒が流れた私立高校。今回の有識者会議の提言も、私立高校は対象外だけに、ほくそ笑む私立の姿が目に浮かぶ。

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