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「スキルス胃がん」から生還した江本孟紀(76)「がん保険は役に立ったが、次も入っておこうとは思わない」理由

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.06.02 06:00 最終更新日:2024.06.02 06:00

「スキルス胃がん」から生還した江本孟紀(76)「がん保険は役に立ったが、次も入っておこうとは思わない」理由

食べることと奥浅草が大好きで、わざわざ浅草に事務所を構えたと語る江本氏(写真・久保貴弘)

 

 各界の有名人に聞いた、入っていてよかった「がん保険」。病気お金の問題を、赤裸々に語ってもらった!

 

「今年で手術から7年になります。半年に一度は検診に行っていますが、引っかかったことはありません。食べたいものをなんでも、毎日6食くらい食べています(笑)」

 

 2017年にスキルス胃がんが見つかった江本孟紀氏は、当時70歳。5年生存率がステージ4だと7%以下という難しいがんだけに、開腹手術を受ける決断までは早かった。

 

「5時間の手術は無事に終わりましたが、術後の痛みは、いまでも覚えています。手術の翌日から歩いたほうがいいと言われましたが、痛くて歩けたもんじゃないですよ(笑)」

 

 

 入院は個室を選び、ゆったりと過ごすことができた。

 

「それまでの人生で入院をしたことがなかったし、一生のことを考えたら1万、2万ケチってもしょうがないと思ってね(笑)、個室にしたんですよ。個室代は1日5万円くらいでした」

 

 入院の際は、病院スタッフのすすめで事前に「限度額適用認定証」をもらったという江本氏。高額療養費制度は、適用されるまでいちど全額を立て替える必要があるが、この認定証があれば、上限額までの支払いですむ(現在は、マイナ保険証があれば認定証の準備は不要)。

 

「それに、当時入っていた生命保険も多少、役に立ったとは思います。それでも、部屋の差額をもらえるような保障はなかったですね」

 

 プロ野球を引退した後の30代で、毎月の掛け金が15万円もする保険に加入していたが、この時点では解約してしまっていた。

 

がん保険には入っていましたが、放射線治療が対象で、僕はやらなかったから、保障は下りませんでした。でも、それで損したという感覚は僕にはないですね。もうね、それは若い人の考え方だと思う。70代後半になってね、『次は保険に入っておこう』とは思わないですよ。入院費用が足りたんだから、それでいいかな、と思います」

 

 そう言う江本氏だが、現在、頭を悩ませているのが、網膜中心の黄斑部にむくみや出血が起き、視力が低下する「加齢黄斑変性」を患っていること。定期的に目に注射を打つ治療を受けている。

 

「1カ月半から2カ月に1回、3割負担で4万5000円くらいの自己負担です。これだけ払っても、症状が改善することはなく、いまの薬では進行を遅らせるだけ。しかも、この病気は保険に入っていたとしても保障対象ではないし、治療費も高額療養費の上限額までは届かないから、自分で払うしかないんです」

 

 そう言うと、江本氏は達観したかのようにこう続けた。

 

「『人生100年時代』なんていい加減なことを国は言っているけど、100歳の人がこうして喫茶店にいないでしょ? それはもう、『UFOがいる』みたいな話と同じ(笑)。僕も80歳まであと3年。もうじき迎えが来るなと悟ったら、目に注射なんか打たないですよ。もう医者には行きません。私くらいの年齢になったら、人生の出口を考えておくべきだと思ってます」

 

 どこまで本気なのか、いたずらっぽく笑うのだった。

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