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ずん・やすは賃貸ワンルームで独身生活「孤独死の可能性はゼロじゃない」と終活考える…8割が男性、現役世代も約半数の実態

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.08.25 06:00 最終更新日:2024.08.25 06:00

ずん・やすは賃貸ワンルームで独身生活「孤独死の可能性はゼロじゃない」と終活考える…8割が男性、現役世代も約半数の実態

「僕も孤独死の可能性はゼロじゃない」と「ずん」のやす(写真・越野 遥)

 

「この取材で、一回ちゃんと終活を考えとけって神様が言ってるんだと思います」

 

 都内の賃貸ワンルームマンションで独身生活を送るお笑いコンビ「ずん」のやす(54)は、真面目な表情でこう語った。

 

「急に自分の体力や体の機能が落ちてきて、耳鳴りがするので耳鼻科に行ったら『老化です』と言われました。最近、自動車免許を取得したときも試験問題の量が多く、途中からしんどくて読めなくなりましたし、おしっこが近くなって必ず2回ぐらい起きます。心電図検査で期外収縮だと診断されてからは、何かあったらすぐに救急車を呼べるように、携帯を近くに置くようになりました。心臓の異常ですし、孤独死の可能性はゼロじゃないですよね……」

 

 

 誰にも気づかれずに亡くなる「孤独死」。故郷でお盆法要をおこなって都会に戻ってきたこの時期は、否応なく意識してしまうのではないか。

 

 50代独身男性である本誌記者は、2023年に大腸がんに罹患。結果的にステージ1とわかったが、最初の診断はステージ3bだったため、初めて死が頭をよぎったと話す。

 

「まず考えたのは、地方に暮らす両親のこと。それから自分はどう亡くなりたいのかを考えると、わりとすぐにイメージが浮かびました。僕の場合、選択肢はホスピスで死ぬか、実家で死ぬかの2つ。がんの場合、自宅で突然孤独死することはないだろうとは思いましたが、レコードや楽器、オーディオなどのコレクションを少しずつ手放していくことにしました」

 

 淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博氏はこう語る。

 

「2020年の50歳時の未婚率は男性28.25%、女性は17.81%です。これだけ一人暮らしが当たり前の社会になると、自分も孤独死をする危険性はあると、まず意識を持つことが大事です」

 

 孤独死が起こる背景には、社会的な問題もある。

 

「非正規労働者が増えたことで社縁が薄くなっていることも、孤独死が増えた原因のひとつだと思います。中高年の引きこもりも非常に多く、“孤独死予備軍”といえるでしょう」(結城氏)

 

「縁ディングノートプランニング協会」代表理事で、相続コンサルタントの一橋香織氏は、孤独死の起きる年齢についてこんなデータを示す。

 

「賃貸住居の場合、死亡時の平均年齢は61.9歳で65歳未満が約半数、男性は約8割を占めるという調査があります(日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会「第8回 孤独死現状レポート」2024年1月)。死後数日たって腐乱した状態で発見されると特殊清掃が必要となり、原状回復に平均90万円ぐらいかかってしまいます」

 

 前出の結城氏もこう話す。

 

「一人暮らしが増えれば、孤独死自体は仕方ないと思うんです。むしろ、住み慣れた自宅でひっそりと亡くなった人は、幸せな死に方をされたのかもしれません。孤独死対策で必要なのは、遺体の発見が1週間、10日と日がたってしまうこと。腐乱してしまうと故人にとっても不幸なことですし、近所のご迷惑となってしまいます」

 

 それを防ぐためには、まずは人間関係を築くことだ。

 

「人との繋がりを作ることが自助となり、自分の遺体を早く発見してもらえることに結びつきます。一人暮らしをしていても、まずはそのことを意識してほしいと思います」(同前)

 

 一橋氏も、孤独にならないよう自助努力が必要だと話す。

 

「友人が少ない方は趣味を持つ、ボランティアに参加する、地域の青年会やお祭りの会に入る、消防団に入るなどのアクションを起こしましょう。ラジオ体操などに参加するのもいいと思います。毎週決まった曜日にスポーツジムに行くのもおすすめです。『〇〇さん、今日は来ていないけど、どうしたんだろう?』とまわりの人に気づいてもらえることが大事だと思います」

 

 自分の死をまわりに気づいてもらうことが、孤独死対策の第一歩。孤独死を意識するようになったという、やすはどうだろうか。

 

「大事なのは、『何かあったときに気づいてくれる人』ですか。そうですね、マネージャー、キャイ~ンのウド(鈴木)ちゃん、天野(ひろゆき)くん、相方(飯尾和樹)かな。でも、仕事がないと2、3日会わないことなんてしょっちゅうなんですけどね」

 

 といっても、毎日の暮らしのなかで、あまり孤独は感じないという。

 

「イワイガワの(岩井)ジョニ男さんとは、よくゴルフに行くんです。ほかのゴルフ仲間も大切な友達です。僕のロールモデルは関根勤さん。もともとタバコはやらないし、お酒も飲まない健康体そのもの。僕より16歳年上ですが、すごく体力があって、ゴルフではいちばん飛ばすんですよ。もう一人はさんま師匠。師匠も独身ですし、『ゆくゆくは芸人だけの老人ホームを作ろう』と言っていただいてるんです。離婚したヤツも、もともと一人のヤツも集まって、お笑いをやって楽しく過ごそうって」

 

 それが実現すれば、老後も安泰だが……。

 

「実現したら芸人の孤独死は減るはずですが、問題は実現性ですね。4分の3ぐらいは冗談だと思うんですよ。となると、老後はどうしよう。僕はずっと猫を飼いたいんですけど、猫じゃダメですもんね……」

 

 一人で死なないのがいちばんだが、死の瞬間は選べない。せめて腐乱する前に見つけてもらえるよう、対策を練っておこう。

( 週刊FLASH 2024年9月3日号 )

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