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総資産は数百億円以上!シンガポール大富豪は「ファミチキが大好き」日本の将来を「残念」と語る理由

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.09.15 06:00 最終更新日:2024.09.16 22:23

総資産は数百億円以上!シンガポール大富豪は「ファミチキが大好き」日本の将来を「残念」と語る理由

不動産投資家のレイさん

 

 オリエンタルラジオ・中田敦彦、伊東美咲ら著名人が続々移住するなど、世界の富裕層が集まるシンガポール。そこに暮らす“ホンモノの大富豪”たちは、「落日の日本」の将来をどう見ているのか――。

 

■推定資産数百億円以上・レイ氏(40代)

 

 不動産投資家。生活や子供の教育拠点を世界に複数持つ超セレブ。砂糖や大豆などの国際取引もしている。

 

 レイさんは学生のころから30年近く、不動産投資をしている。最初の成功体験はサンフランシスコの物件だ。

 

 

 大学を出て給料の高い仕事につき、給料を頭金にして古い建物をリフォームして転売し、約1億円を手にした。そのお金はさらにお金を産み、今では世界の主要都市の一等地に不動産を持っている。

 

「人生は経験によって決まります。変化を求めて、3週間に一度くらいのペースで世界中を旅しています。シンガポールはアジアの文化を持ちながら、人々が英語を話すので幼い子供を育てるにはよい国だけど、刺激が少ないので長くはいられないかもしれません」

 

 彼女はシンガポールのオーチャードロード付近に住んでおり、ファミリーオフィスも開いている。日本でいえば東京・銀座のような超一等地だ。巨大な敷地の一軒家を訪問したのは午前中だったが、赤ワインを出してくれ、お昼に差しかかるとピザ、フルーツ、お茶をメイドが持ってきてくれた。

 

 移動はファーストクラスに乗ることが多いが、子供たちはエコノミーのときもある。自分が稼いだお金であり、子供たちのお金ではないからだ。自分自身も、4時間以内のフライトであればエコノミーでもかまわないと言う。

 

「子供たちには自立してもらいたい。私は育児のために自分を犠牲にするつもりはありません。旅には子供たちも同行させていますが、スーツケースは自分で持たせるようにしています。AIの時代こそ心と魂が重要で、好奇心旺盛で勇敢であって欲しいと願っています」

 

 筆者は、レイさんの東京の不動産の視察を、6日間アテンドしたことがある。

 

「あなたと東京で過ごして、相撲部屋や歌舞伎を観たのは本当に楽しかったわ。銀座で食べた寿司はとても美味しかったけど、私にはヘルシーすぎた(笑)。ホテルに帰った後にお腹が空いて、スナックとかファミチキとかを食べちゃうことになって。私も子供たちもファミリーマートが大好きなの」

 

 レイさんはブランド物にはまったく興味がなく、不動産やアート作品が好きだ。好奇心が旺盛で、東京の美術館では、展示品すべてを知りたがり、英語で説明をするのに苦労をした。

 

「宿泊はフォーシーズンズホテルが好きです。東京でもニューヨークにいるようなサービスを受けることができ、皆がアメリカ英語を流暢に話すから。日本の旅館だと星のやがいいわね。日本は素晴らしい国なのに、若い人たちの多くが、子供を持とうとしないことは残念ね。シンガポールの建国の父であるリー・クアンユーのような、大胆で勇気があって、新鮮なアイデアを持ったリーダーが現われることを期待します」

 

 外のテラスでの取材の途中、シンガポール特有のスコールに見舞われた。レイさんは、「雨が好きなの。とってもきれいな風景!」と子供のようにはしゃいだ。

 

■日々の暮らしは倹約。投資は自分がわかるものに

 

 今回、シンガポール在住ファイナンシャル・プランナーである筆者がふだん利用している店の店主など身近な人を取材し、想像以上に彼らの資産額が大きいことに驚かされた。

 

 彼らは、自分がよくわかっているものに投資をしながら、日々の暮らしは倹約をしている人が多く、納得をしたものにしかお金をかけない。皆、日本の文化や食が大好きで、多くが日本の不動産に投資をしたいと考えていた。

 

 健康にも気を使っており、長く収入を維持するために、体への投資を惜しまない人たちだった。

 

 筆者も執筆協力をした『世界標準の資産の増やし方 豊かに生きるための投資の大原則』(東洋経済新報社)の著者で、シンガポールの投資家にも詳しいヘッジファンドマネージャーの河北博光氏に聞いた。

 

「シンガポールをはじめ中華圏の富裕層は、基本的に不動産投資で成功しています。株式市場が成熟していないぶん、より不動産が中心となる傾向があるのです。どれだけ思い切って不動産に投資したかによって、資産額に差が出ています。これは平成バブル崩壊前の日本の富裕層と似た発想ですね」

 

 さらにシンガポールならではの特徴もある。

 

「インフレの国なので、銀行預金ではなく不動産や高利回りが期待できるファンドなどに投資をしていますが、欧米人ほど分散投資という考え方はありません。ただ、シンガポールは国が小さいために海外へのニーズもあり、知識層は海外の株式や不動産などにも投資しているようです。不動産ではオーストラリアや日本など、カントリーリスクが少ない国が人気のようです。自国の不動産投資で成功体験があるので、海外不動産に対しても積極的だと感じます」

 

 株式投資についても共通点があるという。

 

「皆さん、相場を見すぎずに楽しみながら眺めているようです。投資に熱中するあまり、依存症のようになる人がいますが、ある程度余裕を持ち、長期的視点で市場と接している点が成功の秘訣でしょう」

 

 そんじょそこらの“小金持ち”にはない心の余裕。あくせく働く我々もあやかりたいけれど……。

 

取材/文/写真・花輪陽子(シンガポール在住ファイナンシャル・プランナー)
外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年から生活の拠点をシンガポールに移し、ファミリーオフィス(富裕層一族の資産管理会社)などでウェルスマネジメントに従事。近著は、ファンドマネ―ジャーの河北博光氏著『世界標準の資産の増やし方 豊かに生きるための投資の大原則』(東洋経済新報社、執筆協力)

( 週刊FLASH 2024年9月24日・10月1日合併号 )

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