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『英語でしゃべらナイト』プロデューサーの仕事術は「無理しなくていい」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.01.02 11:00 最終更新日:2018.03.08 23:13
私は、NHKで『英語でしゃべらナイト』『爆笑問題のニッポンの教養』『仕事ハッケン伝』『欲望の資本主義』といった数々の番組を、プロデューサーとして立ち上げ、携わってきた。
時々、何を大事にして番組制作をしているのか? と、プロデューサーとしての立ち位置を問われることがある。もちろん大事にするものはいろいろとあるのだが、ひとことで言えといわれれば、「場を作ること」に尽きる。
もちろん、「時代を読む」などの発想の根本の話は別として、まずは場作り。自由闊達な、風通しの良い「場」だ。
場作りというと、「現場に差し入れを欠かさない」「スタッフをねぎらう」……など、チームワークをよくするための気づかいなどをイメージする方もいるかもしれないが、そういうことではない。もっとシンプルにして、本質的なことだ。
関わってくれている人々が、その資質の最も良質な部分、本来持っている能力を発揮してくれているかどうか、さらにいえば、その場を無理なく楽しむ気分になることができているかどうか……そういう場を作ることが最も大事だ、ということになる。
人間、本当にいろいろなタイプがいる。コツコツと計画的にことをなす几帳面な人、気まぐれな気分屋、普段はのんびりしているが、ここ一番の集中力は持っているタイプ……。
出演者やスタッフ、仕事を共に進める彼ら、彼女らの姿を見ている時、「いったいどんな子どもだったのだろうか?」とぼんやり想像することがある。
たとえば、小学生の頃、夏休みの宿題を最終日に一気に仕上げてつじつまを合わせるタイプだったディレクターに、仕事の進捗をあまりせっついて報告を求めても仕方がない。
逆に、日々きちんきちんとこなすことが喜びのスタッフを、あまり放っておくのもよろしくない。三つ子の魂百まで、とはよく言ったものだが、幼少期の姿、無邪気な立ち居振る舞いのなかに、人それぞれの資質というものはすでに表われているものだと思う。
やはり理想は、人それぞれが持っている資質、気質、才能が、自然な形で発揮されることだ。せっかち、のんびり屋、直感派、論理派、飽きっぽい、粘り強い、閃(ひらめ)きに長ける、記憶力に長ける……などなど、それらが個性となり、組み合わさって、全体として番組の力となっていくことだろう。
それぞれがそれぞれのスタイルで、リラックスし参加できる場。スタッフだけでなく、出演してくださる方々にもそう思っていただくことは、本当に重要だ。
たとえば、「バラエティーだから、ハキハキと明るく」などという固定観念が、そのまま強迫観念になってしまったら、最悪だ。「お仕事」として「明るく振る舞う」のは、その本人にも無意識に歪んだストレスを残し、その引きつった笑顔は、決して番組のためにもならないだろう。映像は正直だからだ。
仕事の要(かなめ)には、人間への洞察がある。自分のやりやすい形を提示できる、流儀を見つけられる……大事なのは、そんな開放的な場を作ること。みんな、無理をしなくていいのだ。
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以上、丸山俊一氏の新刊『結論は出さなくていい』(光文社新書)より引用しました。NHKで異色番組を連発し続けるプロデューサーによる「逆転の発想法」とは?