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スケベいすを抱えて東へ西へ「私は“月収100万円”フリーランス風俗嬢」店に所属せず、自らHPを起ち上げて集客する女性たち

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.12.01 06:00 最終更新日:2024.12.01 06:00

スケベいすを抱えて東へ西へ「私は“月収100万円”フリーランス風俗嬢」店に所属せず、自らHPを起ち上げて集客する女性たち

フリーランス風俗嬢の先駆けのひとりであるマミコさん

 

「この仕事を始めてからの約10年間で、今はこれまでにないほど仕事が増えています。お客さん側の心理が変わってきてるような気がしますね」

 

 都内の熟女デリヘルで働く藍子さん(62・仮名)がそう語るのは、コロナ禍が収束したからだけではない。

 

「『頂き女子りりちゃん事件』と『新宿タワマン刺殺事件』という、若いお嬢さんへの恋愛感情をきっかけにした事件が立て続けに起きましたよね。それで結局、相手にされるのは『お金次第』ということに、お客さんが気づき始めたのかな? 私のお客さんは、企業の管理職とか50代以上の方が多いのですが、ちゃんと話し相手になってくれる上の年代の女性と遊びたい人が増えてきているのかなって」

 

 

 そんな動向を受けて、店に在籍せず、フリーランスとして働く女性が増えている。

 

 社会問題になっている大久保公園(東京・歌舞伎町)の「たちんぼ」のように街娼として収入を得たり、アプリや出会い喫茶を利用したりするのではない。ホームページ上で、集客から顧客の予約受付までをすべて自分でおこなう風俗嬢だ。

 

 開業して7年になる40代前半のマミコさん(仮名)は、都内を中心に「セックスレッスン」を売りに仕事をするフリーランス風俗嬢だ。

 

 キスとフェラは、客に “人生最高のうまさだ” と言われたことが何度もある。独立前はデリヘル、出稼ぎ、吉原の格安ソープランドなどで3年ほど働いていた。

 

「吉原で働いていたとき、お客さんから男性器やセックスの悩みについて相談されることがとても多くて、これは誰にも言うことができずにモヤモヤしてる人が多いのかな、と思っていました。そのとき、『セックスレッスン』の起業アイデアが降ってきました」

 

 すぐにマミコさんはHPを立ち上げ、必要書類を揃えて警察署に届け出(無店舗型性風俗特殊営業)をし、フリーランスの道を歩み始めた。

 

 マミコさんのレッスンは顧客の性に関する悩み、たとえば「前戯でパートナーが演技をしているので、本気で感じてもらいたい」「早漏(遅漏)を改善したい」といった要望を聞き、対応策などの提案を3時間にわたっておこなうもの。女性経験がなかったり、コンドームの付け方をよく知らなかったりする男性も多いそうで、指導をするという。

 

「3時間ずっと頭を使っているので、仕事終わりはぐったりします。でも、自分の心身の調子によってスケジュールが組めるので、そこはフリーランスになってよかったと思います」

 

 初回料金は5万円(2回め以降は3万円~)。客はHPから予約して、マミコさんと待ち合わせ、ホテルでレッスンを受ける。

 

「月によって波はありますが、収入は50万~70万円くらいです。出勤日数や接客人数は、吉原で働いていたときの3分の1で、収入は約1.5倍になりました。店舗に所属していたときは売り上げの50~70%を受け取っていましたが、現在はすべてが自分の取り分になります」

 

 マミコさんは、数年前に発達障害の一種であるADHD(注意欠如・多動性障害)とASD(自閉スペクトラム症)と診断された。店舗時代よりも、スケジュールが自由に組める現在のほうが、精神的に格段にラクになったそうだ。

 

「風俗業界に入る前には30回以上転職し、学生時代には友達がまったくいませんでした。診断を経て、点と点が繋がった感じがありました。人生でいちばん長く続いているのがいまのフリーランスなので、自分の特性に合っているのかなと思います」

 

■自称「日本初のマットデリヘル嬢

 

 フリーランス風俗嬢になって2年め、30代後半のゆみさん(仮名)のセールスポイントは、160cm台の身長と、Gカップという抜群のスタイル。そして吉原の高級ソープランドや、地方都市の有名ヘルス店で得たマットプレイの技術だ。

 

 中部地方を中心に、マットとくぐり椅子(スケベ椅子の一種)を持参して顧客の待つホテルへと向かう。ときには東京や大阪からも指名がかかる自称 “日本初のマットデリヘル嬢” なのだ。

 

「ローション、くぐり椅子、マットなど全部を合わせると10kgは超えていると思うので、大荷物を持って移動するのが大変です。あとは毎回マットを膨らませて、使用後にしぼませて拭いて畳む作業が大変だなと思うときがあります(笑)」

 

 マットプレイとは、空気で膨らませたマットの上で、ローションをつけた体を相手に密着させ、快感に導くプレイだ。体重のかけ方などが難しく、特に技術が必要だといわれている。

 

 どういうわけか中部地方のある都市に店舗型のマットヘルス店が多く、ゆみさんもマットヘルス嬢としてコロナ禍のなかでも所属店のランカー(ランキング上位)だった。

 

「風俗とかけ持ちをしていた介護業での人間関係にほとほと疲れてしまい、『もう人に雇われたくない!』と強く思って行動に出ました。そんなときにこの “ひとりマットデリヘル” のアイデアが湧いてきて、誰かに先を越される前に早く始めなくちゃと思ったんです」

 

 HPにも性格が出ている。さきほどのマミコさんのサイトが「HOW TO」コラムなど読み物が充実した「伝道師タイプ」とすれば、ゆみさんのサイトは一流人気店のようなビジュアル満載の「エンタメタイプ」だ。

 

 トップページを開くと、《男に生まれたからには経験すべき快楽がここにはある》というキャッチコピーが目に飛び込んできて、マットプレイ未経験の男性を “その気” にさせる。料金は160分だと4万5000円だ。

 

「今は、ビジネスを自分でイチから創っていける楽しみがあります。月収は、在籍嬢(店舗勤務の風俗嬢)時代よりも波がありますが、平均すると以前と同じくらいです。国産大型バイク一台が買えるくらいですね」

 

 国産の大型バイクというと、100万円はくだらない。それだけの収入があるゆみさんは、マミコさん同様、警察署に営業を届け出ており、税理士に依頼して確定申告しているという。

 

「 “夜の街” 界隈は、納税に関して昨今いろいろと勘繰られやすいですし、届け出のないもぐりのお店はお客さんも嫌だと思うんですよね」(ゆみさん)

 

 マミコさんは、確定申告をしていたことで、2020年4月の緊急事態宣言発令で街中から人が消えたとき、持続化給付金を申請し、受け取ることができたそうだ。

 

 ともにアラフォーであるマミコさんとゆみさん。冒頭で藍子さんが証言したように、いまや風俗業界で「若さ」は重要なファクターではないのだ。

 

「テクニック面はもちろん、一緒にいて楽しい、気がラクになるといったキャラクター面でも独自のセールスポイントがあれば、最近のお客さんは、年齢や素人っぽさにあまりこだわらない気がします」(ゆみさん)

 

 風俗嬢が自分の魅力を最大限にブランディングし、値づけできるようになったのだ。マミコさんが語る。

 

「今の風俗業界は供給過多の買い手市場で、安売りしなければならない状況です。誰かに管理されるのはたしかに気楽ですが、自立心を持てば買い叩かれる状況から脱することができると思うんです。搾取されないための働き方を私はしているつもりです」

 

 在籍嬢と違って黒服に守ってもらえず、心ない言葉を浴びせかけられることもある。プロモーションも自分でしなければならない。それでも、彼女たちはフリーランス風俗嬢という働き方に満足しているのだ。

 

写真・福田ヨシツグ 取材/文・中塩智恵子

( 週刊FLASH 2024年12月10日号 )

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