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こたつ内の洗濯物が発火、毎年100人死亡の「着衣着火」…暖房器具も原因上位の「冬の火事」年末年始は要注意
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.12.26 17:50 最終更新日:2024.12.26 17:50
関東では乾燥注意報発令が続いている。12月19日未明、東京・足立区で5棟が燃える火事が起こり、火元の住宅に住む2人が亡くなった。さらに各地で火事が相次いで発生している。
「2023年までの5年間で、暖房器具による事故は582件起きており、そのうちの8割以上が電気や石油を使った機器によるものです」
と語るのは、経産省所管の独立行政法人「製品評価技術基盤機構(NITE)」製品安全センター製品安全広報課の宮川七重氏だ。
宮川氏によると、出火原因として上位に入る電気ストーブの火事の場合、リコールなど製品に問題があることが多い。一方、石油ストーブの場合、灯油タンクの口金やキャップがきちんと閉まっておらず、それに気づかずストーブのそばまで持ってきた際に誤って燃焼部にかけてしまう事故が多いという。石油と間違えてガソリンを給油してしまい、事故が起こるケースもあるそうだ。
「冬場で注意すべきなのが、暖房器具の近くで洗濯物を干すことです。濡れているうちは重みがある洗濯物が乾いてくると軽くなり、温められて上昇する空気に煽られて暖房器具の上に落ちてしまうことがあります。焦げ臭いと気づいたときには、すでに燃えているということもあるようです」(宮川氏、以下同)
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こたつで洗濯物を乾かすのも厳禁だ。半乾きの洗濯物をこたつの中に放り込んだ経験がある人も多いだろうが、こたつの上部のヒーターユニットにふれて火事に繋がる場合がある。同じく“冬ならではの火事”として宮川氏が注意を喚起しているのが「着衣着火」。料理をしているときにガスコンロの火が、衣服に着いて燃え上がるケースが多いそうだ。
「綿などの植物性繊維やレーヨン、パイル地などの服は着火すると燃えやすく、衣服の袖口や腹部から燃えだすと非常に危険です。消防庁によると、着衣着火による死者は2017年~2021年の5年間で492人。毎年100人前後が亡くなっていることになります。
冬はたくさん着込んだり、毛足が長いもの、毛羽立っているモフモフした衣服を着たりすることが多いと思います。そうした格好でガスコンロで調理をしていると、気がつかないうちに袖口がガスコンロに近づいてしまうようです。コンロの奥のものを取るために手を伸ばした際も、衣服が炎に接近するので大変危険ですし、厚着していると火がついたことに気づくのが遅れがちです。服と炎との距離が自分で思っているよりも近くなってしまっていることは多いため、距離を意識し、近づきすぎないようしましょう」
もし服に火がついてしまい、近くに水場や消火器がない場合は、「ストップ、ドロップ&ロール(止まって、倒れて、転がる)」。パニックになって走ってしまうと、風で酸素が取り込まれ、火の勢いが大きくなってしまう恐れがある。まずはその場で止まり、倒れこむことで体と地面の間の隙間をなくす。そして、燃えている箇所を地面に押しつけるようにしながら左右に転がることで、衣服に着いた火を「窒息消火」させる。また、両手で顔を覆うようにし、顔への火傷を防ごう。
鍋料理の季節は、自宅でカセットコンロを使用する機会も多くなる。そのときに注意すべきはカセットボンベの装着ミスだ。
「カセットコンロにボンベを差し込んだとき、ガス漏れの音や臭いがしないなどを確認してください。また、ボンベを温めすぎると破裂します。IHクッキングヒーターの上にカセットコンロを置いて鍋の準備をしているときに、誤ってヒーターのスイッチが入ってしまったり、石油ファンヒーターの前にボンベを置いておいたりしたことが原因になります。爆発する危険もあるので、注意していただければと思います」
事故を防ぐためにも、大掃除のときにチェックしてほしいのが、コンセントやテーブルタップ、電子レンジだ。
「コンセントにホコリが溜まっていると、トラッキング現象(ホコリに湿気が加わり、放電。絶縁の役割を果たしている樹脂部分が徐々に炭化してトラック〈電気の通り道〉が生成される現象)が起き、ショートして火花が散ってまわりに火が燃え移ったり、コンセントが炭化して出火したりします。また、電子レンジの庫内に食品のカスなどがついたまま使い続けると、それが炭化して火がついてしまうことがあります。ぜひ、大掃除の際には庫内もきれいにしていただければと思います」
関東では好天が続き、空気が乾燥した状態がしばらく続きそう。暖房器具などの使用方法には十分注意し、大掃除でホコリを払って火事を防ぎ、新しい年を迎えたいものだ。
( SmartFLASH )