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そのスクワット、逆効果です!「間違ってる筋トレ」では筋肉はつかず「開脚」も関節を痛めるだけ…筋トレ専門家が教える「正しいフォーム」

NGなスクワット(左)と、OKなスクワット
「ここ10年近くは、筋トレブームといってもいいと思います。しかし、トレーニングの結果、怪我をする人が増えているんです」
30年以上にわたり、実業団や個人選手に筋力トレーニングやコンディショニングの指導をおこなってきた坂詰真二氏(スポーツ&サイエンス代表)がこう語る。最初から頑張りすぎたり、誤ったフォームで筋トレを続けたりしてしまう人が多いのだという。
「間違ったフォームのままマシンなどで重いものを持ち上げると、肩や腰、膝の関節などに不要な負荷がかかり、痛めてしまいます」
さらに、YouTubeが普及した現代ならではの弊害もあるという。
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「トレーニングの方法を配信する人は多くいますが、単純な筋トレの動画では視聴者が集まらないためか、ジャンプをしたり、特殊なアクロバティックな動きを入れたりする配信者が増えています。それをまねして、怪我をしてしまう人が多いんです」
そこで今回は、もっとも基本的な筋トレメニューのNG&OKフォームを紹介する。そのなかでも、特に効果的なのがスクワットだ。
「 “トレーニングの王様” といわれ、お尻と太ももとふくらはぎの3カ所を同時に鍛えられるのがスクワットです。毎日おこなう必要はなく、週に2回ほどで十分鍛えられます」
自分のフォームがNGかどうかは、どう見分ければいいのだろうか。
「トレーニングの結果、生じる筋肉痛や筋肉の張りは問題ありません。ですが、膝や腰、関節などに痛みが出る場合は動きが間違っている証拠。それでは、筋肉は1グラムもつかないんです」
間違ったフォームを見直さないと、取り返しのつかない体のトラブルにも繋がる。
「60歳を過ぎても筋肉は鍛えられますが、関節は消耗品。一度痛めると、元どおりの状態に戻らないことがあります。フィットネスは引退のないスポーツで、長く続けられなければ意味がありません。現状を維持するため、できれば10年前の状態まで体力を戻すためにも、正しいフォームで、継続しましょう」
筋トレを始める前におこなうべきストレッチも、 “逆効果” にならないようにしたい。
「中高年が痛めやすい部位のトップ3は膝、腰、肩です。肩の場合、フィギュアやロボットは肩の関節を軸に動かしますが、人間は肩甲骨も軸になります。肩まわりのストレッチは、いきなり腕を上げるのではなく、まず肩甲骨を大きく動かしてからおこなえば、肩を痛めないですみますよ」
関節を痛めてしまう間違ったストレッチはほかにも……。
「じつは、股関節を開く必要はほとんどないんです。そもそも、歩行や階段昇降などの日常生活の大半は、前後の動きです。開脚よりも、年齢とともに固くなるお尻をストレッチして、その動きをスムーズにするほうが大事です」
現代の日本人は、日常生活のほとんどの時間、同じ体勢のまま動かないのだという。
「デスクワークでは、同じ姿勢で何時間もパソコンを使い続けています。そんなときは軽くストレッチをして腕や肩を伸ばすだけでも違います。筋トレをおこなう場合も、事前に5分ほど、事後にはじっくりと15分程度、正しく筋肉を伸ばすことが理想ですね」
正しく筋トレ&ストレッチをすれば、理想の肉体に近づけるはずだ。
監修/実演・坂詰真二氏(NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト) 写真・木村哲夫