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「チェーン店うなぎ」12店の美味しさ、重さ、厚さを大調査!“ファスト部門”1位は松屋…「全体的に去年より美味しい」4000食食べたマニアも太鼓判

コスパ、蒲焼の重さや大きさ、身の軟らかさ、サイズなど、幅広い視点で評価した
一年でもっとも「うなぎ」が食される季節が始まった。
うなぎは高級食材の代名詞だが、専門店以外でも手軽に食べられるようになった。かつては “ゴムみたい” といわれた格安うなぎは、どれだけ美味しくなっているのか?
うなぎを4000食以上食べ、『読めばもっとおいしくなる うなぎ大全』(講談社)の著書のある「うなぎ大好きドットコム」主宰者の高城久(たかしろひさし)氏が、近年チェーン店で展開されている鰻について語る。
「チェーン店と専門店のうなぎの違いをよく聞かれるんですが、『回転寿司』と『回らない寿司』くらい大きな差があります。『串打ち三年、裂き八年、焼き一生』という言葉があるように、うなぎの調理は非常に奥が深い。専門の職人は、日本が世界に誇る食文化の伝承者です。しかし、たとえば近年話題の『鰻の成瀬』では、職人を使わずにボタン一つで焼き上げる機器を導入しています。まさに “職人レス” でコストを抑えることに成功しているんです。ほかのチェーンも、蒲焼の加工品をいかに美味しく出すか、企業努力を重ねていますね」
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外食チェーンでは、コスト面から中国産のうなぎが主流だ。だが、多くの消費者は「国産のほうが美味しい」と思っているはずだが……。
「それは誤解ですね。育てる環境に違いはありますが、中国産でも “ニホンウナギ” ならば、質自体は同じ。むしろ、時季によっては中国産のほうが美味しいこともあります。ちなみに、チェーンによっては、アメリカウナギや東南アジア原産の『ビカーラ種』という、国産のニホンウナギの半値以下のうなぎを使っているところもあります」
うなぎを、生まれや育ちで判断してはいけないのだ。そこで本誌は、高城氏に、食べ比べて評価してもらった。
今回テイクアウトしたのは、回転寿司から和食系のファミレスまで12チェーン。高級感のある「本格」部門と、手軽に食べられる「ファスト」部門に分け、コスパ、蒲焼の重さや大きさ、身の軟らかさ、タレの風味や香ばしさなど、幅広い視点で評価した。
「全体的に、去年より美味しくなっています。これらのチェーンが、うなぎの奥深い魅力を知るきっかけになればと思います」
ではさっそく、和風ファミレスや専門チェーンで “プチ贅沢”が楽しめる、本格うなぎ編からランキングスタート!
※すべてテイクアウトの並盛、税込み価格です(2025年6月24日現在)。すべての商品は、編集部で購入したものを独自調査したものです。常に今回のデータと同じになるとは限りません。
■本格うなぎ編 第1位
「藍屋」/浜名湖産うな重 3564円/総合点21点(香ばしさ:5 軟らかさ:4 タレ:4 旨み:4 コスパ:4)
・重さ 94g
・大きさ 縦145mm×横67mm、縦9mm×横34mm(2枚)
・厚さ 10mm
「串打ちの跡があるので、手焼きですね。タレで食べさせるのではなく、うなぎ本来の味で勝負をし、美味しさを追求しています。ご飯も少し硬めでうなぎに合っています。専門店の味ですね」(高城氏、以下同)
■本格うなぎ編 第2位
「味の民芸」/鹿児島県産うなぎ一尾のうな重 3950円/総合点19点(香ばしさ:5 軟らかさ:3 タレ:5 旨み:4 コスパ:2)
・重さ 129g
・大きさ 縦120mm×横67mm、縦115mm×横64mm(2枚)
・厚さ 11mm
「うなぎの味がしっかりしていて、あっさりめのタレがこの身に合っています。タレでごまかしておらず、へんに喉が渇いたりしませんね。とくに、尻尾が香ばしい仕上がりになっています。相当こだわって作ったんでしょう。意識の高さを感じます」
■本格うなぎ編 第3位タイ
「鰻の成瀬」/うな重(梅)1600円/総合点18点(香ばしさ:4 軟らかさ:4 タレ:4 旨み:4 コスパ:2)
・重さ 94g
・大きさ 縦147mm×横86mm
・厚さ 13mm
「いい原料を使っています。うなぎの旨みも感じられるし、タレもしつこくなくて、とてもバランスがいい。機械を使ってお店で焼いており、この味を職人レスで実現したのはすごいんですが、一尾にすると、3000円近くになるんです。十分に満足を得ようとすると、割安感が薄れてしまうかもしれません」
■本格うなぎ編 第3位タイ
「夢庵」/うな重 2290円/総合点18点(香ばしさ:2 軟らかさ:5 タレ:4 旨み:4 コスパ:3)
・重さ 109g
・大きさ 縦132mm×横60mm、縦118mm×横40mm(2枚)
・厚さ 10mm
「身がとても軟らかいですね。年に1、2回食べるという方には、この関東風の “とろふわ” 感がいいのだと思います。うなぎの旨みを感じ、タレもしつこくなく、不自然ではありません。十分に美味しいと思いますが、軟らかさを追求するぶん、香ばしさが弱くなる傾向はどうしても出てしまいますね」
■本格うなぎ編 第5位
「華屋与兵衛」/華屋の上うな重弁当 2689円/総合点17点(香ばしさ:2 軟らかさ:4 タレ:4 旨み:3 コスパ:4)
・重さ 156g
・大きさ 縦106mm×横84mm、縦102mm×横61mm(2枚)
・厚さ 12mm
「太物のうなぎを使っていて、見栄えがとても豪華。専門店では4000円ほどするのでは。とても軟らかくて、うなぎの旨みと、タレのバランスがいい感じがしました。5位になってしまいましたが、ハイレベルだと思いますよ」
■本格うなぎ編 第6位
「名代 宇奈とと」/うな重 1060円/総合点14点(香ばしさ:4 軟らかさ:2 タレ:2 旨み:2 コスパ:4)
・重さ 94g
・大きさ 縦122mm×横99mm
・厚さ 12mm
「最後の仕上げに炭火で焼き直すのは、チェーンではココだけ。うなぎの質はそれなりですが、この工程で他店にはない香ばしさが生まれますし、パフォーマンスとしても楽しいですね。値段も安いです」
続いて、牛丼チェーンがしのぎを削る激戦ゾーン、「ファストうなぎ編」のランキングを公開!
■ファストうなぎ編 第1位
「松屋」/うな丼 980円/総合点19点(香ばしさ:4 軟らかさ:3 タレ:4 旨み:5 コスパ:3)
・重さ 78g
・大きさ 縦117mm×横95mm
・厚さ 11mm
「松屋は以前『東高円寺 小満津』など名店に監修を頼んでいたこともあり、タレは醤油と甘さのバランスがいいです。うなぎ自体の旨み、香ばしさも感じられ、牛丼チェーンのなかではいちばんだと感じました」
■ファストうなぎ編 第2位
「すき家」/うな丼 980円/総合点17点(香ばしさ:3 軟らかさ:4 タレ:3 旨み:4 コスパ:3)
・重さ 74g
・大きさ 縦106mm×横84mm
・厚さ 9mm
「軟らかくて、うなぎの旨みがしっかりしています。少しタレの味が濃いのがもったいないですね。焼いていることは食べてすぐわかりますが、香ばしさのインパクトはふつう。でも、この値段でこのクオリティは立派です」
■ファストうなぎ編 第3位
「なか卯」/うな重 980円/総合点16点(香ばしさ:2 軟らかさ:4 タレ:3 旨み:4 コスパ:3)
・重さ 71g
・大きさ 縦69mm×横85mm
・厚さ 11mm
「とても軟らかく、旨みを感じられて、タレも美味しい。錦糸卵がついているので、ダブルにしても飽きずに食べられますね。うなぎと卵はすごく相性がいいので、うなぎの全メニューを卵つきに振り切ったアドバンテージは大きいと思います。すき家もそうですが、ゼンショーさんは去年より美味しくなっていて、企業努力を感じます」
■ファストうなぎ編 第4位タイ
「ガスト」/うな重 1340円/総合点14点(香ばしさ:2 軟らかさ:4 タレ:2 旨み:3 コスパ:3)
・重さ 88g
・大きさ 縦81mm×横75mm、縦90mm×横32mm(2枚)
・厚さ 12mm
「軟らかくて、うなぎの味を感じます。しっかり焼いてあるから、もうちょっとタレが薄いほうが、味が引き立つと思いますけどね。このタレでご飯を食べるぶんにはとても美味しいですし、子供たちは喜ぶと思います」
■ファストうなぎ編 第4位タイ
「吉野家」/鰻重 1229円/総合点14点(香ばしさ:4 軟らかさ:3 タレ:3 旨み:2 コスパ:2)
・重さ 102g
・大きさ 縦112mm×横53mm、縦110mm×横38mm(2枚)
・厚さ 14mm
「しっかり焼いてあるので、香ばしさを感じられ、食欲をそそります。全体的なバランスはいいと思います。ボリューム以外に、ある意味突出したところがないのが、弱点といえば弱点です」
■ファストうなぎ編 第6位
「くら寿司」/うな丼 830円/総合点13点(香ばしさ:1 軟らかさ:5 タレ:4 旨み:1 コスパ:2)
・重さ 56g
・大きさ 縦103mm×横27mm、縦104mm×横34mm(2枚)
・厚さ 12mm
「タレで煮込まれているんじゃないかというくらい、うなぎの身に味がしっかりと染みていて、軟らかいですね。そのぶん、うなぎそのものの旨みが感じにくい。バランスとしてはよくできています。回転寿司の寿司ネタをアレンジしたものでしょうし、他店との比較はしづらいですけどね」
写真・木村哲夫