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マックのハッピーセットに約600万円! 66歳男性が悩むコレクションの“行く末”「同じ思いの人に家ごと託したい」

ライフ・マネー 記事投稿日:2026.05.01 06:00 最終更新日:2026.05.01 06:00

マックのハッピーセットに約600万円! 66歳男性が悩むコレクションの“行く末”「同じ思いの人に家ごと託したい」

1978年製の希少な「ドナルド」の人形を抱えた髙薮乾一さん(写真・木村哲夫)

 

 フィギュアやCD、鉄道模型など、大切にしていたコレクションを、遺族に二束三文で売り飛ばされないためにやっておくべきこととは――。コレクターが直面する“終活”のリアル。

 

 自営業の髙薮乾一さん(66)のコレクションは、マクドナルドの「ハッピーセット」のおまけのおもちゃ「ミールトイ」。その行く末を、どのように見据えているのか?

 

 玄関のドアを開けた瞬間、視界に広がるのは、どこか懐かしい米国の風景だ。隣接するガレージの棚には、『トイ・ストーリー』や『ミニオンズ』のキャラクター、バービー人形が整然と並び、壁にはビンテージのシリアルボックスがところ狭しと飾られている。

 

 1978年製の希少な「ドナルド」の人形を抱えた高薮さんは、圧倒的なマクドナルド愛から、界隈では「マックけんいち」の名で知られている。

 

「大学時代から、アメリカ文化に強く惹かれていました。鮮やかな色使いや英字のデザイン、パッケージのカッコよさに魅了されていたんです。大きな転機になったのは35歳のころ。アメリカの『ハッピーセット』を特集した記事を読んで、衝撃を受けたんです。当時の日本は簡素なおもちゃが中心でしたが、向こうではディズニー映画と連動したシリーズ展開が主流で、完成度の高さがまったく違いました。すぐに輸入業者に連絡し、資料を取り寄せました」

 

 やがて国内にも専門店があることを知り、本格的な収集がスタート。米国や英国、フランスなど、各国のマクドナルド目当てに50回以上も渡航するようになった。シリーズ全種類をそろえ、ハンバーガーを入れる箱さえも集める日々が続いたが……。

 

「2000年くらいから、『ポケモン』など日本のキャラクターがおまけになることが増えてきて、収集をやめました。もともとアメリカのアニメに惹かれて始めたので、方向性が変わったと感じたんです。ただ、ディズニー系だけはその後も買うことがありました」

 

 30年以上にわたって収集してきたミールトイは、総数およそ1万点にのぼる。ガレージだけでは収まりきらず、別の一室にもケースが天井近くまで積み上げられている。

 

「金額にすると総額で500~600万円くらいでしょうか。当時は“どれだけ持っているか”が評価の基準で、量で抜きん出れば注目も集まりました。でも、ネットの普及もあり、お金を出せば簡単に手に入る環境に変わってしまって。私は現地での出会いや入手した瞬間、そのときの空気まで含めて、積み重ねてきたんです」

 

 時代の移り変わりとともに、かつての熱量はゆっくりと落ち着いていった。

 

「60歳を過ぎたころから、区切りを考えるようになりました。このコレクションをどう扱うか、いまも答えを探しています。仲間に分ける方法もありますが、現実的には時間がかかる。しかし、リサイクルショップなどに一括で売却するのは、しっくりこないんです」

 

 現在は、自作のディスプレイ棚と組み合わせて販売する取り組みも始めているが、量が多すぎて全体をさばくのは容易ではない。

 

「理想をいえば、あと10年で住宅ローンを完済するので、内装にもかなり手を入れたアメリカンな家と、コレクションを丸ごと引き受けていただく形がいちばんですね。価値を理解し、同じ思いで受け継いでくださる方に託したいと思っています」

 

「デジタル遺品を考える会」代表で、“私物の行方”について調査を続ける古田雄介氏に、髙薮さんのコレクションについて、アドバイスしてもらった。

 

「ニッチな趣味であるほど、その価値をわかってもらうことが難しくなります。趣味世界を共有していない家族は、委ねられても困ってしまうでしょう。ただ、高薮さんは収集する過程に重きを置き、いまでは収集物にそこまで執着していないとのこと。口頭でもいいので、そこを伝えておけば、委ねられる側の迷いはかなり晴れるはず。残された家族の“後悔の種”をなくしておく配慮があれば、十分かと思います」

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出典元: 週刊FLASH 2026年5月5日号

著者: 『FLASH』編集部

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