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駅弁130年史(1)宇都宮で誕生し、日清戦争で基礎が固まる

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.05.16 11:00 最終更新日:2018.05.16 11:00

駅弁130年史(1)宇都宮で誕生し、日清戦争で基礎が固まる

写真・駅弁の元祖・幕の内弁当(姫路駅)

 

 駅弁愛好家・安田理央氏いわく、「駅弁とは、その土地の美味しいものをコンパクトに凝縮したもの」。いまや旅先だけでなく家でも楽しめる駅弁の、これまで語られなかった苦難と繁栄の歴史を追う!

 

 

「駅弁の始まりは宇都宮駅説をはじめ、諸説あります」と駅弁女王・小林しのぶ氏が言う。宇都宮駅で、1885年(明治18年)7月16日、初めて売り出された。

 

 その後、高崎駅や国府津駅、浜松駅、姫路駅などでも竹包みの握り飯が販売され、これが駅弁のルーツとなった。1888年(明治21年)に東海道線沿線で販売開始した「東華軒」の元祖『竹包み』弁当などがある。

 

 当初は一部の駅のみで売られていた駅弁。大きく広がったのは当時の国政の影響が強い。

 

 幕の内駅弁の元祖・まねき食品によると「1894年の日清戦争などで、各地方ごとの軍の需要が増え、弊社を含め駅弁の売り上げが一気に伸びた」とのこと。軍拡により兵士が増え、その胃袋を満たす軍弁として駅弁が発展していったのだ。

 

「駅弁は当時としてはかなり豪華な食事でした。弊社の文献によると、日本最古の幕の内駅弁は、明治22年に姫路駅で販売を開始しました。米が一升6銭の時代に、駅弁は12銭だったのでかなり高価ですね。

 

 現在、鉄道イベントなどで販売する復刻版『幕の内駅弁』は2000円前後で、当時の献立をできるだけ忠実に再現しています」(まねき食品専務取締役・竹田典高氏)

 

【駅弁年表(1872-1894)】

 

●1872年(明治5年)10月14日新橋〜横浜間の鉄道が開通

 区間の距離は29キロメートル余り。1922年、「鉄道記念日」と制定された。

 

●1885年(明治18年)7月16日宇都宮駅で初めて売り出される

 旅館「白木屋 」が販売。ゴマをふりかけた梅干し入りの握り飯2個とたくあんを、竹の皮で包んだだけのもの。

 

●1888年(明治年21)7月1日「東華軒」に弁当立売許可が出される

 国府津駅で販売開始。東海道本線の駅弁の草分けに。現在も小田原駅や熱海駅で多彩な弁当を販売している。

 

●1889年(明治22年)12月経木の折り箱に入った幕の内駅弁が登場

 山陽鉄道姫路駅で「まねき食品」が販売。竹の皮包みからの脱皮第一号だった。日本駅弁の元祖と呼ばれる。

 

●1890年(明治23年)11月すしの駅弁が登場

 東北本線一ノ関〜盛岡間開通の記念に販売されたのが始まり。盛岡駅ではサツマイモ弁当も売り出された。

 

●1891年(明治24年)4月「桃中軒」創業

 沼津駅で弁当類を12銭、ひとよ鮨を8銭、おにぎりを5銭で呼び売りとしたといわれている。

 

●1894年(明治27年)鉄道当局が立ち売りの服装を細かく規定

 上衣は紺か黒無地の襦袢に袢纏、腹掛けや股引は紺、左襟には駅名、右襟には販売店の屋号を入れるなど。

(週刊FLASH 2018年4月24日号)

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