
大腸がん手術後に取材に応じた小川泰平氏(写真・梅基展央)
犯罪ジャーナリストとして、テレビやYouTubeなどで事件の解説を続けている小川泰平氏(64)は、7月に自らのYouTubeで大腸がんであることを告白した。次第に体調が悪くなる様子をあえて配信し、手術の前後には病室からも配信した。退院した現在は、人工肛門(ストーマ)を装着しての生活を続けている。
長く事件取材の第一線で活躍してきた小川氏が、「見逃していた」というガンの前兆とは。小川氏に “徹底聴取” した!
「『やっぱり60歳を過ぎると食欲が落ちるよね』と、同年代の人間と話していたんです。私は63歳のときから食べる量が減ったんですよ。ダイエットもしていないのに、1年で10kg体重が落ちました。人より動いているという自負があったから、『ちょっと遅れて食欲減が来たんだな』くらいに思っていました」(小川氏・以下同)
この急な食欲減が、発端だった。もともと小川氏は、“ラーメン刑事” の異名を持つほどのラーメン好き。健康不安は、まったくなかった。
「私は週に8杯はラーメンを食べていました。年間では400杯近くですね。それが私の健康法だと思っていたんです。だって、私は30年以上風邪をひいてないんですよ。調子が悪ければ、ニンニクをガツガツ入れれば、翌朝には治っていました。
日ごろから階段を駆け上がったりしていましたね。あとは、2カ月に1回、血液検査をしていました。ニンニク注射も打っていた。だいたい3時間睡眠なのですが、それでもまったく健康に問題はありませんでした」
そんな丈夫な体の持ち主である小川氏だが、忍び寄るがんの脅威には逆らえなかった。次に訪れた予兆は、大便の変化だった。
「半年くらい前から便秘と下痢を繰り返すようになったんです。いままで下痢はあっても便秘はなかったのに、だんだん便秘の回数が多くなってきたんです。でも数日で良くなるので気にしませんでした。踏ん張って排泄しようとすると、時折、鮮血が混じっていました。黒ずんだ血も混ざっていたはずですが、それには気づきませんでした」
さらに、便そのものが細くなっていったという。
「この数カ月、便がボールペンぐらいの細さになってきた。それが5cmから7cmぐらいの長さで、2~3本しか出ないのです。だから、しょっちゅうトイレに行くようになりました。
あとでわかったのですが、腫瘍ができて腸が塞がっていたんです。7月ぐらいからラーメンを少し控えましたが、そのころには自分でもおかしいと思っていたんです」
病院嫌いを公言していた小川氏は、ついに7月21日にクリニックで診察を受ける。19日には気丈にもYouTube配信をおこなったが、すっかり元気を失い、か細い声になっていた。話そう、という集中力がまるでなくなったのだという。
「21日にクリニックで症状を話したら、すぐに『CTを撮ってくれ』と言われました。仕方なく撮ってくると、先生が『ちょっとうちでは無理です』と言うのです。さらに『ご家族は?』と神妙なことを言うので、『大腸がんとかですか』と聞いたら『まあそうです。かなり大きいです』と。それを聞いた途端、頭が真っ白になりましたよ。私はなんでもしっかりメモを取るのですが、そのときはメモすら取っていませんでした」
事件記者としての習慣すらも吹き飛んだ。そこからは、「考える余地がないくらいの速さ」でことが進んでいった。
「すぐに大きな病院を紹介されて行ったら、『明日、造影剤を入れて撮影します』と。撮影したのは土曜日でしたが、月曜日に大腸カメラをやって、火曜日に診察ではっきり『大腸がんです。ステージ3です』と宣告、明日入院してくれとなりました。29日に入院し、1週間後に手術することが決まったんです」
そして8月5日、小川氏の大腸がんの摘出手術がおこなわれた。
「手術室に入ると、すごく眩しくて驚きました。あとはとにかく寒い。いろいろな機材がおいてあって、それを冷やすためなのか、気温が低いのです。なにか音楽がかかっていたのを覚えています。
手術室には先生と看護師さんが大勢いるんですよ。20人近くいたんじゃないかな。主治医、麻酔科の先生、それに執刀医、第一助手、第二助手……。そんなことを思っていたら、すぐに寝てしまいました。気づいたときにはICUにいたんです」
翌日には病室に戻ったというが、小川氏の手術は、7時間半もかかったという。そんな大手術で切除されたものは、子供のこぶし大の14cmもの腫瘍、それに付随した大腸17cm、そしてリンパ節16カ所。手術後は「とにかく痛かった」と、苦悶の時間を振り返った。
「でも、いちばん痛かったのは痛み止めの麻酔注射でした。『それっておかしいでしょ!』って先生に言ったんです。本末転倒じゃないですか。それぐらい首の注射は痛かったです。『腕の点滴でどうにかなりませんか』と頼みましたよ」
小川氏は、手術から1週間後に配信を再開した。病室からのYouTube撮影では、みずからの状態を克明に明かしている。手術を経ても、ジャーナリズム魂は消えることはなかったのだ。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







