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【コメ暴落】コシヒカリ買取価格が62%も下落「これじゃ赤字もいいとこ」農家が悲鳴…新米が古米より安くなる不思議な理由とは

ライフ・マネー 記事投稿日:2026.10.10 06:00 最終更新日:2026.10.10 06:00

【コメ暴落】コシヒカリ買取価格が62%も下落「これじゃ赤字もいいとこ」農家が悲鳴…新米が古米より安くなる不思議な理由とは

買取価格の急落は、コメ農家にとって死活問題だ(撮影・岡村青、写真はイメージです)

 

「令和の米騒動」といわれたパニックが、まるで嘘のようだ。2026年は一転、多くの産地でコメがダブつき、買取価格が急落。2025年産の古米より、2026年産の新米のほうが安くなるという逆転現象まで起きている。

 

「これを見ろよ、1万3000円だろ。バカにするのもほどがあるよ。これじゃ、赤字もいいとこ。まるっきり “ブッコミ” だよ」

 

 茨城県内のコメ生産者が筆者に示したのは、県内のJAが発表した「令和8年産 適格請求書発行事業者 買取単価表」で、JAが生産者から直接コメを買い取る際の価格を示したもの。

 

 これを見ると、コシヒカリ1等60kgが1万3000円となっている。同じ等級・重量のあきたこまち、ふくまるはともに1万1000円だ。ところが、2025年はコシヒカリが3万4000円、あきたこまちが3万3000円、ふくまるが3万3500円だったという。コシヒカリの場合、実に約62%の下落となる。

 

「この倍は欲しい。去年の値段はそこそこだったが、今年は一気に下がり、これじゃ死活問題だ。燃料・肥料・資材が値上がりしてるなかでコメだけが下がってる……『これじゃ、やってけねぇー』と嘆いてる仲間も多い」(同)

 

 コメの相対取引価格は、長らく低調な数字が続いていた。農水省の資料によれば、2021年産(60kg)の平均が1万2804円、2022年産が1万3844円、2023年産が1万5315円とゆっくり上がってきたが、2024年産で2万5179円に急騰し、さらに2025年産で3万5330円に暴騰した。まさに「令和の米騒動」の直接的な原因で、この価格が今年、大暴落した形だ。

 

 なぜ、これほど激しい価格変動が起きるのか。そもそも、コメの値段は、誰がどのようにして決めているのか。

 

 一般的なコメの流通経路は、
【生産者→JA(集荷業者)→卸売業者→小売業者→消費者】
 というものだ。JAから小売業者への直接販売や、生産者による消費者への直販もある。

 

 生産者がJAを通じてコメを出荷する場合、大きく分けて2つの方式がある。JAに直接売り渡す方法と、全農(全国農業協同組合連合会)を通じて委託販売する方法だ。

 

「前者は、生産者が出荷した段階で農協が直接買い取ることをいい、後者は生産者が全農に委託販売することをいいます。これをわれわれは『全農委託米』と呼んでいますが、『概算金』と呼ばれる前払い金の対象になるのは後者で、どちらを選択するかはもちろん生産者ご自身です」(JA北つくばの担当者)

 

 両者の大きな違いは、代金の支払われ方にある。

 

「前者はコメの出荷段階で代金が生産者に全額、直接支払われます。後者は出荷段階で生産者に代金の一部、これを概算金といいますが、一時的に前払いします。このケースだと、全額支払われるのは全量完売後なので期間がかかります」(全農茨城県本部の担当者)

 

 直接売る場合は、出荷時に代金を受け取れる半面、その後に米価が上昇しても差額は得られない。一方、委託販売では精算までに時間がかかるものの、販売実績によって追加払いを受けられる可能性がある。

 

 概算金は市場動向や作柄などを見込んで決められ、金額は地域によって異なる。2026年産については、茨城県産コシヒカリが60kg1万7000円(2025年産は3万円)、新潟県の魚沼産コシヒカリが1万8500円(2025年産は3万2500円)となっている。2026年は、前年に比べ、概算金も半値近くまで下落している。

 

 冒頭のコメ生産者が憤慨した買取価格は、前者の、JAに直接売った場合の金額だ。では、この価格は、誰が決めているのか。

 

「農協組合長および常務、営農、米穀販売、経済部等の部長による『農産物取引検討委員会』を編成し、ここで価格が検討され、ここでの結果をもとに、さらに理事会で審議され、最終的に価格が決定されます」(JA北つくばの担当者)

 

 では、JAが買い取ったコメは、その後いくらで売られるのか。JA水郷つくばの担当者は、最近の値下げの実態を明かす。

 

「うちの場合、販売先はおもに大手卸売業者ですが、顔と顔を突き合わせて決めています。じつは9月中旬ごろまで、コシヒカリ1等60kgは1袋1万5000円で売却していましたが、この後、コメの動きの鈍さから1万4000円に下がり、10月1日にはさらに1万3000円に下げたんです」

 

 わずか半月ほどで、60kgあたり2000円も値下げしたことになる。

 

「うちでも相対で価格を決めています。販売先は大手スーパー、生協などのほか三井系、住友系の大手商社などです」(JAやさとの担当者)

 

 JAと卸売業者の取引価格は、当事者同士の交渉によって決まる。全国一律の価格があるわけではなく、同じ品種・等級・重量でも、取引実績や数量などによって価格が異なる。

 

 その後、卸売業者や小売業者の仕入れ条件、経費なども加わり、消費者が店頭で目にする販売価格が決まる。

 

 茨城県内の米穀店経営者が嘆く。

 

「コシヒカリは5kg2800円で販売していますが、これがギリギリです。3000円を超えたらお客さんは買ってくれません。昨年末ごろ、コメのダブつき情報が入り、徐々に動きがにぶくなってきましたが、うちのような街場の米店でも、今年は在庫を抱えている状態です」

 

 生産者からの買取価格が急落する一方、販売店も在庫を抱えている。こうした価格変動は、コメを作る側にも売る側にも大きな負担となる。

 

 では、適正な米価とは、いくらなのか。

 

「一般的に生産者価格としてコシヒカリ1等60kg2万円、消費者価格はコシヒカリ5kg3000円が妥当と言われています」(JA北つくば談)

 

 ただし、これはJA担当者の見解であり、全国共通の基準があるわけではない。実際、前記したように、5kg3000円を超えたら客が離れるという声もある。

 

 冒頭の生産者は、価格変動のリスクを抑えるための方策について、こう語る。

 

「生産者が直接販売する直販率を高める、政府が現在1カ月半程度の備蓄米を半年ないし1年分まで増やす、輸入米77万トンを削減するなどいろいろある。けれど、一朝一夕にいくもんじゃないからね」

 

 生産者が直販率を高めるということは、JAへの依存度を下げることでもある。

 

「もともとコメは食管法に基づいて政府が全量買取をしており、JAが政府に代わってコメを一手に集荷してきました。しかし、1995年に食管法が廃止されたことで、政府は全量買取をしない代わりに、生産者による直販も認められるようになりました。

 

 JAは巨大組織ですから、購入したコメを率先して赤字処分することはない。それは、新米はもちろん、古米についても同様です。その結果、JA以外の新米が暴落すると、JAの古米より安くなるという逆転現象が起こるわけです。

 

 何が悪いわけでもないのですが、システムが巨大すぎて改善もあまりうまくいかず、結果的にコメ農政は迷走を続けたままなのです」(経済担当記者)

 

 米価に翻弄される生産者の苦悩は、いつまでも終わることがない。

 

取材/文・岡村青

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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