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12月から掛金上限額大幅アップに“大損”の罠「iDeCo貧乏」にならない! 新「ほったらかし投資術」

ライフ・マネー 記事投稿日:2026.11.01 06:00 最終更新日:2026.11.01 06:00

12月から掛金上限額大幅アップに“大損”の罠「iDeCo貧乏」にならない! 新「ほったらかし投資術」

2016年9月、個人型確定拠出年金の愛称「iDeCo(イデコ)」を発表(写真・共同通信)

 

「以前は、『専門家なら積み立て投資をするならiDeCoを選ぶ』と言っていたんですが、潮目が変わりました」

 

 こう話すのは、家計再生コンサルタントでファイナンシャル・プランナーの横山光昭氏だ。横山氏は長期積み立てによる「ほったらかし投資」で、資産を2倍にする方法を本誌で指南し、“資産2倍”FPの異名を持つ、すご腕。この指南の際に紹介していたのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)だ。この制度が改正され、12月分から掛金の拠出限度額が引き上げられる。運用する掛金が多くなればなるほど、運用後の利益が増える可能性もあるわけで、ウハウハの改正に思えるのだが……。

 

「そう思っていると、落とし穴があるんです。2026年1月から、退職金受取時のルールが、5年から10年に変更されました。これまではiDeCoを一時金で受け取った後、5年経過してから会社の退職金を受け取れば、どちらも税制優遇(退職所得控除)を最大限、利用できました。この期間が5年から10年に延長されたことで、退職所得控除の“二重取り”ができなくなってしまったんです。今後は、iDeCoもしくは退職金を受け取るときにがっぽりと税金を取られるケースが増えてくると思います」(「 」内は横山氏、以下同)

 

 iDeCoには所得税などの控除があるため、高額所得者であれば節税効果がある場合も考えられるが、大半が“退職所得控除の壁”に阻まれるという。

 

「きちんと計算していかないと、退職所得控除の金額をオーバーしてしまい、結局、税金を取られてしまうということになりかねません。

 

 勤続年数や退職金の金額で変わり、一概にどう受け取るのがいいかは言えませんが、以前より複雑で考え方が難しくなったといえるでしょう」

 

 iDeCoを始める年齢にも注意が必要だ。たとえば50歳で始めた場合、1年で40万円しか退職所得控除が増えないため、控除額は10年で400万円にしかならない。

 

「iDeCoの掛金を増やして積み立てると、運用で400万円を超えて、すぐに控除額をオーバーする可能性があります。また、iDeCoは原則として年1回しか掛金額を変更できず、60歳以降しか引き出しもできません。掛金を上げても、もしものときに対応できないなんてことになりかねません。さらに、何かの事情で拠出をやめたとしても、口座管理手数料が毎月かかります」

 

 掛金アップに安易に飛びつくと、「NISA貧乏」ならぬ「iDeCo貧乏」に陥る罠が潜んでいるのだ。

 

「制度が変わっても、投資にまわす金額の考え方は基本的に変わりません。生活防衛資金を確保したうえで、手取りの6分の1を投資にまわす。これを目安に掛金を考えるべきです」

 

NISAとの使い分けがポイントに

 

 iDeCoの魅力が薄れたことで、横山氏が「選択肢に入れたい」と話すのが、NISAだ。

 

「2024年から変更となった新NISAでは『投資枠』が大幅に拡大し、利便性が高くなりました」

 

「新NISA」では、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が240万円。つみたて投資枠と成長投資枠との合計で、生涯非課税保有限度枠は1800万円になる(うち成長投資枠の上限額1200万円)。制度利用の終了期限はない。各枠の再利用も可能となり(※商品を売却した場合、その取得金額分の枠が翌年に復活)、使いやすくなっているのだ。

 

 では投資する場合、iDeCoとNISAの併用と、NISAのみではどちらがよいのか? 50歳男性が、月10万円の掛金で投資した場合を試算してもらった。

 

「50歳から65歳までの15年間、『NISAのみで月に10万円』投資するケースと、『iDeCoとNISAを併用して月に10万円(内訳はiDeCoが6万2000円、NISAが3万8000円)』投資するケースで運用したとします。利回りは年間5%、退職金はないものと仮定します。

 

 ざっくりの計算ですが、NISAのみの場合は約2660万円になります。一方、併用の場合は、15年分の所得控除による節税効果を加え、最後に引かれる税金を差し引くと約2770万円になります。このように『iDeCoとNISAの併用』のほうが約110万円プラスになりますが、これはあくまで『50歳からの15年間』かつ『退職金がない』場合の試算です。

 

 iDeCoの受取時には退職所得控除が使えますが、運用期間(勤続年数)が長くなるほど運用益も大きくなりやすく、そこに退職金がいくらかでも加算されるとしたら、控除枠からはみ出す金額が増えるでしょう。そのはみ出した超過分の半分には税金がかかるので、結果『NISAのみ』のほうが得になる計算です」

 

 横山氏はこう続ける。

 

「NISAはiDeCoと違って、いつでも引き出せる自由度と、非課税で投資できるのがメリットです。iDeCoはあくまで老後の資金と運用しつつ、NISAはライフイベントなどで必要なときに引き出せる金融資産と、使い分けるのもいいと思います」

 

 そこで考えたいのがNISAの投資商品だ。

 

「信託報酬と呼ばれる手数料と。純資産総額の2つで選ぶのがいいと思います。『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー、愛称オルカン)』の純資産総額は14兆円を超えています。母体が小さい金融商品だと、大きな買いが入ると値動きが起きますが、ここまで大きくなると一時的に値を下げることもできないでしょう。金融商品なので当然、賛否両論あると思いますが、私はオルカンでいいと思います。

 

 少しリスクを取ってもリターンを狙いたい方は、アメリカ株の指数であるS&P500と連動するインデックスファンドとオルカンの抱き合わせもありでしょう」

 

 横山氏は、投資の考え方の変化についてこう話す。

 

「10年ほど前までは『投資は怪しい』という考えでした。でもいまは『投資はするべき』に変わってきています。ただ、制度が煩雑になってきているので、出口戦略が重要なのです」

 

 積み立てて“ほったらかす”だけでなく、出口も準備。ちょいとたいへんだが、これが“貧乏”にならないために必要なのだ。

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出典元: 週刊FLASH 2026年11月10日・17日合併号

著者: 『FLASH』編集部

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