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「ガンで困らない給付金」美人ファイナンシャル・プランナーに聞く

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.08.15 11:00 最終更新日:2018.08.15 11:00

「ガンで困らない給付金」美人ファイナンシャル・プランナーに聞く

 

 ガンは治らない病気ではなくなったが、再発や転移の不安はつねにつきまとう。そんなとき、いくらあっても困らないのが「お金」。その調達法は?

 

 ガンのような、高額な治療の経済的負担を軽減してくれるのが「高額療養費制度」だ。 

 

 

「医療費によって生活ができなくなるようなことを回避するための制度で、ある一定の金額を超えたぶんは、国が負担してくれるのです。この制度のおかげで、日本人は安心して医療を受けられます」

 

 そう説明するのは、ファイナンシャル・プランナー(FP)の北見久美子氏だ。 

 

「加入しているのが国民健康保険でも、会社員の社会保険でも適用は一律です。年齢と所得によって、自己負担の上限額は変わります。

 

 70歳未満で一般的な年収(370万〜770万円)の方の場合、8万100円プラスアルファが月の自己負担の上限額。これを超えて支払ったぶんは戻ってくるわけです」(北見氏・以下同)

 

 上限額の詳細は、表を参照してほしい。例として55歳・年収500万円の男性が、1カ月に100万円の医療費がかかった場合をシミュレーションしてみた。

 

「ガンで困らない給付金」美人ファイナンシャル・プランナーに聞く

 

 病院の窓口で30万円(3割負担)を支払った後、21万円あまりが高額療養費として戻り、自己負担は約8万7000円となる。

 

 また、過去12カ月以内に自己負担が3回以上、上限額に達した場合は、「多数回該当」として上限額が引き下げられる。たとえば、本誌に登場したガンサバイバーの男性は、1錠6000円以上の抗ガン剤を一日4錠服用しなければならない。薬代だけで月に80万円近くにもなるが、この制度のため、毎月の支払いは4万4400円ですんでいる。

 

 なんとも心強い制度だが、いくつか注意点がある。

 

「基本的には申請が必要です。そのため、制度自体を知らない、あるいは申請を忘れることで損をしている人も少なくありません。ただし、診療を受けた翌月1日から2年以内なら申請は可能です。

 

 加入している健保によっては、医療機関から提出されるレセプト(診療報酬明細書)から自動でおこなってくれるところもありますが、一部にすぎません。

 

 申請には領収書や保険証などが必要です。いちばんおすすめしたいのが、事前に『限度額適用認定証』を入手しておくことです」

 

 この「限度額適用認定証」は加入している健保に申請することで交付される。国保の加入者の場合は、市区町村の担当窓口へ。

 

 病院で診療を受ける際に、あらかじめ認定証を提示することで、支払う額が自己負担の限度額内となる。これにより、一時的に大きな負担がかかることを避けられるのがメリットだ。

 

 事後に申請する場合、超過額が戻ってくるのには受診後、少なくとも3カ月程度はかかるという。ちなみに70歳以上なら、自動的に自己負担上限額までの支払いとなるので手続きは不要だ。

 

 シンプルでわかりやすい制度だが「上手な利用法」があると北見氏は言う。

 

「この制度の対象となる医療費は、同一月(1日〜月末)であることが原則。月をまたいで入院した場合など、上限額に達せず、制度が適用されないことがあるので注意が必要です。

 

 緊急性がない手術を医師からすすめられている場合、月末を避けて月の初めに手術し、その月のうちに退院する、という形が理想的です」

 

 ほかにも覚えておきたいのは「世帯合算」が可能なこと。夫婦共働きで別の健保に加入しているようなケースは対象外となるが、専業主婦やリタイアした親との同居など、被扶養者の自己負担額は同じ月であれば合算できる。

 

 また同じ月なら、別の医療機関で診療を受けても合算が可能。ただし、合算できるのは、69歳以下の人の場合。各医療機関で自己負担が2万1000円を超えたもののみとなる。

 

 なお、対象となる医療費は、保険適用の診療に対してのみ。先進医療や歯科のインプラント、入院時の食事代や差額ベッド代などは対象とならないので、覚えておこう。

 

(週刊FLASH 2018年7月3日号)

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