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ウコンで肝障害、トクホ茶で下痢…サプリメントに気をつけろ!
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.09.09 06:00 最終更新日:2018.09.09 06:00
「これを取るようになってから、体の調子がいいような気がして……」
「これを飲んでいるから、多少の無理をしても大丈夫!」
そう思って、健康食品やサプリを毎日、愛用している人は多い。しかしそこに含まれている成分が、体にいいどころか、むしろ健康被害を引き起こす原因になっているとしたら……。
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テレビの健康番組でもよく紹介される健康食品&サプリの、隠れたリスクを追った!
内閣府の調査によれば、健康食品を利用している消費者は国民の約6割。50代以上に限ると約3割がほぼ毎日、利用しているという(平成24年・消費者委員会資料)。
いまや健康食品の市場規模は2兆円超といわれ、名だたる企業もこぞって参入しているのはご存じのとおり。だが、その裏側には大きな危険が潜んでいる。
「健康食品という名前でありながら、そのリスクは大きいです。多くの人がなんの警戒もせずに食べ続けている現状を危惧しています」
そう語るのは、国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部長の畝山智香子氏だ。
「食品添加物は危険性がしばしば指摘されますが、健康に影響が出ない『1日摂取許容量(ADI)』が設定されているうえ、実際の使用量はさらにそれよりも少なくなります。体に影響が出ることは、まずありません。
それが健康食品となると、体に影響が出る量であっても、人は喜んで摂取します。同じ物質でも添加物なら怖がり、サプリに入っていればありがたがる。
そういうことを理解せずに『健康のために』とサプリをせっせと買い求め、食べ続けてる人が多いのです」
例として、畝山氏が挙げるのがマリーゴールド色素だ。「ルテイン」の名前で、着色のための食品添加物として使われている。このルティンが、「目の疲れに効く」という触れ込みで、健康食品の成分としても販売されている。
「添加物としてなら、使用量に制限もありますが、健康食品になると、どれだけ入っているかわからないのです」(畝山氏・以下同)
健康食品として販売されている成分には、その機能が海外では認められていないものも多い。
「たとえば、ウコンによる肝障害の報告が多いことはご存じでしょうか。ウコンは、日本では肝臓にいいと宣伝されていますが、海外ではそのような話はありませんし、肝臓にいいとする、信頼できる根拠もありません。
肝臓に問題があり、お酒を控えるよう医師から言われている人が、ウコンを飲んで安心して大量のお酒を飲み、さらに体調を悪化させてしまう……。
健康食品によって偽りの安心を得ることで、本当に必要な対策をとらなくなることが、大きな問題のひとつです」
ほかにも近年、記憶力の改善や認知症の予防に効果があるなどとして、イチョウ葉エキスのサプリが人気を集めている。しかしこのイチョウ葉は、動物実験では発ガン性が確認されている。
「食品添加物として申請されても、認可されないでしょう。また、イチョウ葉に含まれるギンコール酸はアレルギーを誘発し、皮膚障害を引き起こすという報告例もあります」
また、消費者庁と国民生活センターでは、サービスで発生した事故について「事故情報データバンクシステム」で情報を発信している。そのなかには、健康食品についての具体的な相談内容が書かれている。たとえば……。
<新聞広告で蜂の子が耳鳴りによいとあったので定期コースを申し込んだが、飲用すると蕁麻疹が出た>
<定期購入のダイエット青汁を飲んだら便が緩くなった>
<脂肪肝なのでウコンが効くと思い健康食品を注文したが、飲んでみると具合が悪くなった>
<テレビ通販で購入したコラーゲン食品を食べ頰や体が腫れた>
前出のルテインについては、目の疲れに効くはずが「飲んで3日後に左目がよく見えなくなった」という相談が寄せられている。トクホについても「トクホ表示があるお茶を飲んだら、下痢が2日間も続いた」という報告があった。
さらに健康食品が厄介なのは、体に対する被害だけではなく、解約に応じない、返金してくれない、などの金銭トラブルが多い点だ。
こうした状況を受けて、消費者庁は「個人の感想です」「効果には個人差があります」といった「打消し表示」の取り締まりを、これまでより厳しくする姿勢を示している。
「とにかく手を出さないのがいちばんですが、もし健康食品で自分や家族が体に変調を来したら、すぐに食べるのをやめて医療機関などに相談してください。販売元に電話をすると『それは体が戦っている好転反応なので、大丈夫です』などと言われることがありますが、明らかな嘘です。
それらしい言葉に騙されないこと。また、契約などでトラブルに巻き込まれたら、消費者ホットライン『188』に電話すれば、最寄りの相談窓口につながります」(森田氏)
正確な情報を得るためには、公的機関のウェブサイトを見ることが大切だ。代表的なものが、国立研究開発法人・医薬基盤・健康・栄養研究所の「『健康食品』の安全性・有効性情報※1」、また、この記事内でも紹介した「事故情報データバンクシステム※2」だ。
「健康食品は、安全性や有効性の事前評価がおこなわれず、長期間・大量に摂取しやすい点などから、リスクが高いものです。健康食品こそがもっとも不健康というのは、なんとも皮肉なことです」(畝山氏)
いつまでも健康でいたいと願うのは、当然のこと。しかしそれは簡単に手に入るものではない。健康食品とは、あくまで幻想にすぎないのだ。
※1 https://hfnet.nibiohn.go.jp/
※2 https://www.jikojoho.go.jp/ai_national/
(週刊FLASH 2018年8月14日号)